谷崎潤一郎のおすすめ小説本ランキング!人気作品ベスト20を一挙紹介!

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谷崎潤一郎のおすすめ小説ランキング:第3位~第1位

3位 卍(まんじ)

出版社:新潮社
発売日:1951年12月12日

『改造』(昭和3年)から1年余にかけて初出が掲載され、内容は両性愛の溺愛・寵愛ぶりを徹底的に手がけた無類の悦楽小説。
長編ながら大阪弁が起用され、その構成には非常な重厚を思わす美文が飛び交っている。

【あらすじ】
主人公「園子」の独白体の手記によってストーリーが展開し、手記の宛先は正体不詳の「先生」である。
美術学校に通う園子と園子の級友「光子」との間に同性愛関係が始まり、その関係に光子の夫が加わりつつさらに複雑な恍惚が表れ始める。

本作も著名な作品ですがその内容は余り知られない様子で、ぜひこれを機会に読んで頂きたいとランクインさせて頂きました。

テーマは非常に重く、セクシャル的な問題を取り上げていながら内容の実には偏愛があり、両性愛・同性愛のあり方を変質的な溺愛ぶりをもって、そのまま「行方知れずの恋の淵」へと誘っていきます。

本作の主人公を「園子」としておりますが、恐らく多人公的な一作で、その多彩な形容は結末を結末と見せない継続的な幕引きを取っています。

「谷崎作品を何も知らない」という人にこそ、本作をおすすめしたいです。
この一作で、谷崎文学の「セクシャル描写」は詳細に伝わることと思います。


2位 細雪

出版社:新潮社
発売日:1955年11月1日

『中央公論』(昭和18年)に初出が掲載された長編小説で、上・中・下の3段構成で綴られた谷崎文学きっての代表作。
川端康成、伊藤整、三島由紀夫など、多くの作家・書評家たちから絶賛された「純粋の名作」ともいわれる。
本作は昭和天皇に献上されるという異例の快挙を成し遂げ、普段小説を読まない天皇も本作だけは読了した、という逸話もある。

【あらすじ】
舞台は大阪船場に始まり、そこで由緒ある家柄に生まれ育った4姉妹が登場し(鶴子・幸子・雪子・妙子)、3女・雪子の縁談を軸にストーリーが展開する。
もともと上流階級に属すその家柄は、時代の変遷に伴い戦後の風情を醸し始め、そこで育つ4姉妹にも底儚い幸福と不幸の影が見え隠れし始める。
生活の平凡に飽きを見せ始めた4姉妹の日常は、四季の移ろいとともに、段々「定められたそれぞれの結末」へと辿り始める…。

まず構成がよく、そこに描かれる人物描写も実に洗練されていて、ストーリー展開には「非の打ち所がない」といった集約的な人生の移ろいが表出されています。

そのあり方が斬新を伴い秀逸で、他の谷崎作品のうちでも類を見ない「稀な精彩」を奏でているでしょうか。

谷崎文学の精華ともいえる名作で、短編に見られる「1場面だけをピックアップした演出」にさらなる膨大な脚色と設定を敷き詰めた、超大作的な一品です。

上・中・下と3段構成の仕上がりですが、そのうち1編だけを選んで読んでも価値があると思われますので、ぜひ「日本の名作・細雪に触れること」を意識して読んでみて下さい。

それまで持たれた「小説へのイメージ」が一気に変わることと思います。


ランキング
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1位 春琴抄

出版社:新潮社
発売日:1951年2月2日

『中央公論』(昭和8年)に初出が掲載された中編小説で、句読点の打ち方や会話文の通常の入れ方を大幅に変更した独特の文体を持つ。
川端康成からは「加える箇所も削ぐ箇所も一切ない、天性が創作した作品」と絶賛された名作である。

【あらすじ】
薬種商鵙屋の次女・「春琴」は幼少の頃に目の病気に罹り失明し、その後は弦楽を学んで生業の糧とする。
もとより春琴を慕いつつ丁稚をしていた「佐助」が春琴に弟子入りを望み、受け入れられたのちは献身的に奉公していく。
ある晩、何者かにより春琴は顔に熱湯をかけられ、唯一の自慢であった美貌を失った。
それを機に、春琴は人と会うのを避け始める。
佐助は「自分さえ見えなければよい」と自分の両目を釘で突き、その後も結婚をしないまま、春琴の身の周りの世話をし続けた。

谷崎作品の中で唯一、サディズムとマゾヒズムの性楽を超越した純愛のストーリーで終始していて、本作に敷かれた不変の男女の情の姿は、発表当時から現代まで、男女を問わずにほとんどの読者から絶賛されています。

私は本作をまず映画で観たクチですが、映画でも小説でもどちらの内容でも一貫した情愛が感じられ、佐助と春琴の間で交わされる純愛のあり方は、恐らくたいていの人にとって理想的な「達観した愛の形」を詠っていると思えます。

谷崎がそれまで手がけてきた「マゾヒズム・女性崇拝」の形がそのまま「至高の純愛を表す美談」に移り変わったようなストーリー。

本物の「恋愛小説」を読みたいという人には絶対におすすめしたい一作です。
恐らく誰にとっても貴重な満足を得られる、文学史上、確立された名作の1つでしょう。

次点紹介

以下、今回のランキングには入れませんでしたが、私のおすすめする次点作品を紹介します。

次点 痴人の愛

出版社:新潮社
発売日:1947年11月12日

大正13年に「大阪朝日新聞」と雑誌『女性』に連載された、中年ながら真面目な男と、世間知らずで活発的な少女との偏愛を綴ったストーリー。

【あらすじ】
主人公・河合譲治による回顧譚の口調で始まり、自分と少女・ナオミとの偏愛ながら純愛も隠れた、ある特殊な思い出をストーリーにしている。
ナオミは15歳の若さで譲治とつき合い、はじめは従順な姿勢を保っているが、13も年上の譲治は彼女の気の多さ・活発さを抑えつけることができず、遂には立場が逆転してしまう。
逆転後は譲治がナオミの言うことを何でも聞くようになり、女性崇拝の王道が実験的にも展開されていく…。

恐らく谷崎作品のうちで1番有名な作品だと思います。
「ナオミ」という名前がまるで標語のように扱われ始めたのが本作の発表後、昭和40年辺りであり、そのことを契機にさまざまなテレビ番組・雑誌・コミックなどでこの「ナオミ」が登場してきたことと思います。

何年経っても色あせない魔力が漂う本作は、間違いなく谷崎文学の支柱になっているといってよいでしょう。
ですが、最近の「偏愛小説」(SM小説を含め)をよく読まれている人には、内容や脚色が少し物足りないかも知れません。
表現にやや古さが目立ちます。

もしまだ本作を読んでいないという人は、ぜひ読んでみて下さい。

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まとめ

ここまで読んで頂きありがとうございます。

以下に、私がおすすめする谷崎潤一郎著作の作品を纏めます。

・1位 春琴抄
・2位 細雪
・3位 卍
・4位 人魚の嘆き
・5位 蓼喰う虫
・6位 蘆刈
・7位 幇間
・8位 吉野葛
・9位 武州公秘話
・10位 瘋癲老人日記
・11位 大切な雰囲気
・12位 秘密
・13位 少将滋幹の母
・14位 少年
・15位 聞書抄
・16位 鍵
・17位 恐怖
・18位 三人法師
・19位 AとBの話
・20位 途上

谷崎潤一郎といえば、サディズムからマゾヒズムをはじめ、偏愛や溺愛といった性の悦楽を描き続けただけの「変質的な作家」と思われがちですが、彼の作品にはまだまだ多くの「隠れた逸材」が転がっています。

今回ランキングでご紹介しましたさまざまな作品ですが、どれもに特徴がありつつ、その特徴からは「その一作にしかない貴重な妙味や隠し味」といったものが満載していて、その構成は谷崎文学にしか出せない恐らく確立された実力がなすものを控えています。

一度、谷崎文学へのイメージから「サディズムやマゾヒズム」といった固まった偏見を除き、純粋な目で一品ずつを読まれると、その「隠し味」の辺りが如実にわかるのではないかと、そんなふうに思います。

谷崎文学の生粋性は、

「人間の本能を性に喩えて表現し、その特異の表現により、それ以上にはない生命と生活の正直が浮き彫りにされた点」

にあると思います。

実にさまざまな筆致・筆勢をもって作品執筆を手がける谷崎ですが、その内容は終始「人間の本性を暴露させること」に徹底していたようです。

今回ランキングした以外の作品にも実に多くの傑作が隠れていますので、今度はあなた自身の目と感性で、その傑作・名作のランキングを作ってみて下さい。

ぜひあなたの文学コレクションに、「谷崎文学に内在された本能の深みと形容の美談」を加えて下さい。

谷崎文学は、読者と本との、1対1を好みます。

あなたの素敵な小説との出会いを願っています。


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