村上春樹のおすすめ小説ランキング:第3位~第1位
第3位 『海辺のカフカ』
出版社:新潮社
発売日:2005-02-28
【あらすじ】
東京に住む15歳の「僕」田村カフカ。彼には母親はいない。
父親は高名な彫刻家だが、猫を殺すという恐ろしい趣味を持っている。
ある日父親に「母と交わり父を殺し、姉とも交わる」という呪いをかけられたことをきっかけに、家出をし、深夜の夜行バスで四国の高松で降りる。
読書が大好きなこの少年は、この土地にある私立図書館に通うようになる。
そこで知り合った司書の大島さんは、寝る場所のない少年に図書館で寝てもいいと言う。
一方もう一人の主人公、ナカタさんは60歳半ばの男性で、知的障害を持っている。
生活保護を受けていて、かつては民芸家具の職人をしていた。
猫探しを得意とする彼は町で話題になっていた「猫殺し」を殺害し、東京を離れた。
その頃、少年カフカは司書を通じて自分の父親が殺害されていることを知る。
殺害された彫刻家のもとに、いるはずの少年が姿を消していることから、カフカ少年は殺人の疑いをかけられ、捜索されることになる。
【「僕」の主人公像】
これまで村上作品の主人公は20代〜30代の男性がほとんどでしたが、今回は少年が主人公であるという点で特徴的です。
これまでの「僕」にはハードボイルド的な要素がありましたが、カフカ少年はもっと、思春期の混沌を抱えている、未熟でいかにも少年らしい人物像です。
この作品にはカラスと呼ばれる少年、というカフカ少年に助言をする少年をいます。
カフカ少年の家出の決意をしても、カラスと呼ばれる少年はそれをからかいます。
15歳の少年が、知らない土地でどうやって生きていこうというのでしょうか。
こうした助言から、自立していこうという決心と、大丈夫だろうかという不安を同時に抱え、混乱します。
こうした描写には、未熟な少年らしい一面を感じます。
【おすすめのポイント】
この作品には、いわゆる少数者が登場します。
司書の大島さんは血友病患者であり、性的少数者です。
一見男性の身なりをしているのですが、大島さんは女性です。
村上作品の多くは性描写を含みます。
村上春樹はこれについて「魂と魂のぶつかり合いを描きたい」のだと述べています。
この点からも、性的少数者の存在はあまり描かれてこなかったので、特徴的だと言えるでしょう。
(『スプートニクの恋人』のすみれは性的少数者でしょうか、それともたまたま好きになった人が女性だったのでしょうか…。)
また、知的障害を持つ人物をもう一人の主人公として設定する点も興味深いです。
この点に関しては、これまで描いたことのなかった人物像を「ナカタは〜」と三人称で自分を名乗ることで作り上げています。
また、この作品はギリシャ悲劇のエディプス王の物語と、『源氏物語』『雨月物語』を下敷きにしています。
村上春樹は大学時代演劇を専門に学んでいたので、それも影響しているのでしょうか。
少年の心の成長を描いた物語でありつつ、古典のテキストを織り交ぜた読み応えのある作品です。
第2位 『ねじまき鳥クロニクル』
出版社:新潮社
発売日:1997-09-30
【あらすじ】
法律事務所で事務職をしていた「僕」は会社を辞め、日々家事を営んでいる。
妻のクミコは雑誌の編集者を務めている。二人の結婚生活は平穏だった。
しかし飼い猫が行方不明になったことをきっかけに、二人の関係もバランスを崩していく。
それからクミコは突然家を出ていしまった。
連絡のつかなくなった彼女を求め探し出した「僕」は、彼女の失踪に彼女の兄ノボルの存在が関係していることに気がつく…。
【「僕」の主人公像】
「僕」は仕事を辞め、家事をこなす主夫。
村上作品の「僕」は非常に料理が上手で、家事もきちんとこなします。
ところで妻が家を出ていく、というテーマはこれまで多く作品に取り入れられていましたが、今回の作品は、去っていった妻を取り戻す、という点ではこれまでの「僕」の行動パターンとは違っています。
また心理学者である河合隼雄との対話集の中で、「僕」と妻の夫婦の間には夏目漱石の『門』のイメージがあったとも語っています。
【おすすめのポイント】
この作品は3部構成になっています。
第1部、第2部は「僕」と妻のクミコの物語。
第3部の主要人物は赤坂ナツメグという人物です。
彼女はソ連の参戦直後、満州にて終戦を迎え、のちにファッションデザイナーとして活躍しますが、彼女は船の甲板から日本兵が動物たちを殺す場面を目撃します。
この作品は3冊に渡っていて非常に長いです。
そして登場人物が多く、その時間軸が複数あり、難しいです。
しかし、この物語が戦争をテーマにしているという点で、簡単には読めない、構えて読む作品だ、と理解していただけるのではないでしょうか。
生々しく残虐なシーンも含み、あまり気軽な気持ちでは読めません。
非常に重いテーマを含んでいて、暗い気持ちにもなります。
しかし村上春樹がノーベル文学賞を取るのではないか、と期待される理由が、ここから明らかになるだろうと思います。
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第1位 『1Q84』
出版社:新潮社
発売日:2009-05-29
【あらすじ】
10歳の少女青豆と少年天吾は出会い、孤独な二人は誰もいない教室で手を握り合い、見つめあった。
それから長い年月が過ぎ去った。
二人は連絡を取ることもなく、それぞれ孤独で生きがいの見つからない日々を送っていた。
そんな1984年の4月。
インストラクターを務めていた青豆と、予備校の数学講師をしている天吾はそれぞれに「1Q84年」の世界、「クエスチョン・マーク」の含んだ世界に入り込んでしまう。
【青豆と天吾の主人公像】
BOOK1、2、3と3部構成になっている本作。
前半の2冊が「青豆の物語」と「天吾の物語」が交互に描かれています。
後半の3冊目には、「青豆と天吾」を外から見る牛河という人物の物語が描かれています。
人物が一人称「僕」ではなく三人称であることも大きな特徴ですね。
青豆はスポーツインストラクターとしての一面と、暗殺者という裏の一面を持っています。
運動神経のいい女性で、小説を読むことはあまりないのですが、歴史に関する
一方天吾は数学講師であり、かつ小説家を志し、新人賞を取ろうと必死に小説を書いています。
【おすすめのポイント】
ジョージ・オーウェルの『1984』をご存知でしょうか?
1949年に発刊された近未来を描いた小説なのですが、『1Q84』はそれを逆から描いき、現実と空想を織り交ぜた過去の世界の物語です。
村上作品の初期作品は「ありのままでいいじゃないか」というスタンスを取っていたのですが、この作品は「こうだったかもしれない」という仮説を物語にしています。
村上作品の流れからして、これまた異色の作品です。
また、大変売れ行きが良く、話題になった作品でした。
『海辺のカフカ』の売り上げ部数は6年で75万部でしたが、この作品は4日間ですでに75万部を超えていたのだとか。
また翻訳も多く出ており、現在30カ国の言語で翻訳がされています。
すごいですね…。
『ねじまき鳥クロニクル』は物語が複雑で重たいテーマを含んでいましたが、こちらの作品は長いですが、読みやすいです。村上春樹入門者にもオススメしたい作品です!
まとめ
村上春樹のおすすめ人気小説ランキングベスト10のおさらいです。
第1位 『1Q84』
第2位 『ねじまき鳥クロニクル』
第3位 『海辺のカフカ』
第4位 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
第5位 『スプートニクの恋人』
第6位 『ダンス・ダンス・ダンス』
第7位 『ノルウェイの森』
第8位 『羊をめぐる冒険』
第9位 『1973年のピンボール』
第10位 『風の歌を聴け』
いかがでしたか?今回は10冊ご紹介しましたが、素敵な作品はまだまだあります。
これを読んで作品に興味を持っていただけた方がいらっしゃれば幸いです。
ムラカミワールドに魅力を感じた方は是非一度、作品を手にとってみてください!
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