ユリゴコロのホラー並の不気味さが人気?原作本のあらすじ&感想

「ユリゴコロ」という言葉、聞いたことがありますか?
私はありませんでした。
それもそのはず、作者の造語なのですから。

語感から言えば「“揺れるこころ”くらいの意味あいなのでは?」と予想したのは私だけでしょうか?
ブー!大はずれ!!
そんな生やさしいものではありませんでした。

自らの空虚感を埋めようと、突き動かされるような「殺人衝動」を抱えながら生きる女性の物語。

そんな風に、かいつまんで言ってしまっては面白さが半減なので『ユリゴコロ』のほうは、後でゆっくり紐解いてゆくとして……

小説『ユリゴコロ』は、私のようにタイトルに惹かれて手にとった人にも、ある程度の内容を承知で読もうかどうか迷っている人にも、是非読んでください!とオススメしたくなるような、出色の作品だと感じました。

その理由を書いてゆきたいと思います。

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ユリゴコロ 作品詳細

著者 :沼田 まほかる
出版社:双葉文庫
発売日:2014/1/9

【映画化決定】
放映日:2017年9月23日(土)
監督 :熊澤尚人
キャスト:出演:吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶、木村多江

【映画】ユリゴコロ 公式サイト

あらすじを出来るだけネタバレなしで……

自宅の押入れに、ひっそり隠すように入れられていた4冊のノート。
そのタイトルが「ユリゴコロ」

数年前に母を亡くし、今は一人暮らしの父の様子をうかがいに自宅へ帰ってきた亮平。
彼が、たまたま見つけてしまったのが「ユリゴコロ」でした。

「ユリゴコロ」と一緒にひと束の毛髪がノートには添えられていて、尋常ではない雰囲気を感じた亮平は、魅入られるようにノートを読んでゆきます。

それは書き手が不明の、ある女性の手記でした。
この女性は、生まれながら人間的な情緒が欠落しているがために、家族や学校、そして社会にうまく溶け込めずにいます。
かと言って女性は、悲しかったり辛かったりするわけでもなく、心が常に空白のまま生きている、その心象風景を淡々とノートに綴っていたのでした。

好き嫌い・可哀想・寂しいなどの、およそ人間らしい感情を持たない女性。
それら言葉の意味を知っていても、実感として持つことが出来ない自分を、かすみのかかったような目でぼんやり見ているとでもいうのでしょうか。
(私はしじゅう、うつろに暗い目を持つ人形をイメージしていました)

そんな異様さを気付かれないよう、外見・身振りなどに気を配り成長してゆく女性ですが、実は子供のころから「人を殺したい」という衝動を抑えることができず、殺人によって自らのアイデンティティを確立し、生きていることを実感してきたのです。

偶然の機会をのがすことなく、巧みに殺人をおかしていく女性の心の内側があますことなく不気味に書かれています。
良心の呵責や、罪の意識がなければ、人間って何でもやっちゃうんだな、とかなり怖くなります。

子ども時代から結婚して子供を生むまでが、手記として残されていて、手記はそのまま殺人日記でもあるのです。

亮平は、最初「これは父の創作なのか」、次に「身内が書いた実話」だと考え、では「いったい誰が書いたのか」と疑問を持ち、謎解きをはじめるのです。

そこで彼は、子どもの頃から封印していた、自らの生い立ちの不思議に思い至ります。
そして、亮平がたどりついた答えとは……

ユリゴコロの作者、沼田まほかるとは?

本名かどうか知らないのですが、沼田まほかるという名前は変ですよね。
性別不明にして、変わり者のイメージ。
(ちなみに、女性です)

しかし作家と聞いたとたん、何か不思議な本を書いてくれそうなワクワク感を持ってしまいます。
それは正しいです。裏切られません。

まほかるさんは、50代ではじめて書いた小説『9月が永遠に続けば』が2005年に第5回ホラー・サスペンス大賞を授賞。
2012年には『ユリゴコロ』大藪春彦賞し、この本が本屋大賞にノミネートされたことで彼女の作品は一気に注目され、一躍ベストセラー作家になります。

沼田まほかる作品は2017年9月に、初の映画化となります。
なぜ今までならなかったのか……が不思議なくらい、濃密で起伏にとんだストーリーなのです。

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沼田まほかるの特異な作風

50歳を過ぎてからのデビューということで、作品は多くありませんが、いずれも独特な作風で、読むものの心をガッチリと掴んで離しません。

特に大藪春彦賞と言うと、私なんかは“拳銃・たばこ・酒・クールガイ”などが登場するハードボイルド小説に与えられる賞というイメージでした。
たしか、受賞者も男性が多かったように思います。

ハードボイルドの定義をウィキペディアから引用します。

「文芸用語としては、暴力的・反道徳的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいう。」

『ユリゴコロ』はみごとに合致します。
女性がハードボイルドを書くとこうなるか!その手腕に脱帽です。

しかも、今まで読んで来たハードボイルドは探偵側からの視点で読ませるものだったのに対し、『ユリゴコロ』は殺人者その人から見た行動や心理が、淡々と簡潔に描写されているのです。

良心や罪悪感を持たない女性が綴る、殺人日記のコワさが、ハードボイルドという作風にぴったりなのですね。

前半と後半でズレてくる「ユリゴコロ」の読書感

『ユリゴコロ』を読みはじめて、最初「これはバリバリのホラー小説ではないのか」という印象を持ちました。
なぜか?殺人者の描写があまりにリアルだからです。
罪のない人間がなぜ殺されなければいけないのか……アメリカドラマによく見るシリアルキラーを彷彿とさせるのです。

しかし前半とうって変わって、後半は急に亮平の家族の話に焦点があたります。
亮平を愛する父母、祖父母、そして弟。
大勢の人が殺されたというのに、不謹慎だと思えるほどの、殺人者を含めて心の平安を予感させるような終わり方。
亮平の出生の謎がとけるところでは、ページをめくる手がとまりませんでした。

「ん、今なに読んでるんだっけ?」と思うほど、前半と後半を読んでいる感覚にズレがあるのです。

それが『ユリゴコロ』の人気のゆえんなのでしょう。
心臓の弱い人には、無理にとオススメできる小説ではありませんが、第一級のエンターテイメントだと思います。

まとめ

登場人物のひとりは間違いなくサイコパス(反社会的人格)
サイコパスに同調するなんて、ごく普通の人間には無理があります。
そこをどう読ませるか、という所をうまく考えた小説だなーと思いました。

ホラーとみせかけて、ドキドキハラハラの謎解き小説。
そして、味つけはハードボイルド。
殺人シーンの気持ちの悪さは鳥肌もので、何度も読むのをやめようと迷いましたが……
しかし途中でやめたら、もっと気持ち悪いと思い読み続けました。

すると後半は一気読み。

動機なき殺人のイヤなモヤモヤは残りますが、そこを「イヤミス」の範疇と捉えて“絵空事”なんだと、これは小説なんだと思える人にオススメします。


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