『ちょっと今から仕事やめてくる』なんて、アナタは言えますか?言えませんよね。
このお話は、ブラック企業に勤める20代の男性が、いっけん軽薄ともとれる、そんな一言をやっと言えるようになるまでの葛藤のお話。
「すまじきものは宮仕え」と昔の人がいうように、人に使われることは何かと苦労も多いのは確か。
しかし、仕える先が恐怖のブラック企業ともなると、苦労以上の生死に関わることなのです。
軽いタイトルの裏には、今現在働いている人、仕事が合わなくて苦しんでいる人への応援メッセージが隠れています。
仕事をやめたい人、やめたくない人、どちらにも読んで欲しい小説です。
ちょっと今から仕事やめてくる 作品詳細
著者 :北川恵海
出版社:メディアワークス文庫
発売日:2015/2/25
【映画化決定】
放映日:2017年5月27日 全国ロードショー
キャスト:福士蒼汰、工藤阿須加、黒木華、小池栄子、吉田鋼太郎
主題歌にコブクロ「心」
ちょっと今から仕事やめてくる 原作のあらすじ
中堅の印刷関係の会社に就職した青山隆。
彼は、第一志望の一流企業にこそ入れなかったものの、ようやく手にした内定に喜びいっぱい、真っさらな気持ちで社会に出ている……はずでした。
しかし就職してすぐに、学生時代の甘い考えを根こそぎひっくり返すような、そんな毎日にのみ込まれて行くのです。
嫌な仕事をおしつけて、営業成績が悪いと狂ったように怒鳴りつける上司。
サービス残業は当たり前、土日をかまわずケータイにかかってくる電話や、駆けつけなければいけない得意先。
疲れすぎて眠れない日が続き、仕事でもさんざんだったある日、帰宅途中に電車を待つホームで、ふと考えます。
「このまま気を失って線路に落ちたら、明日会社に行かなくても済むのかな」と。
ホームから今にも転落しそうな青山を、「久しぶりやな」とガッシと腕をつかんで引き戻した大阪弁の男がいます。
彼の名前は「ヤマモト」
青山の小学校時代のクラスメイトというのですが……
同級生!?ヤマモトとの友情
聞き上手なヤマモトに悩みを打ち明ける青山。
彼からのアドバイスで仕事へのやる気もめばえ、徐々に前向きな気持ちになってゆきます。
固い友情を感じ始めたものの、しかし今度は「ヤマモト」の正体に疑問を持ちはじめるのです。
「こんな同級生いたかなぁ??」
ヤマモトの存在は不思議です。
仕事に疲れ切って、身なりさえ無頓着になった青山を買物に連れてゆきオシャレする喜びを教えたり、会話ではこうしたら信頼を得られるよ、なんて飲み屋で言ってきたり。
しょっちゅう電話しあって、実際会って、笑いあって楽しい時間を共有して……
「彼女か!!」
いや、サポーターに近いかもしれません。
なんかもっとピッタリする言葉があったような……そう、カウンセラーです!
私には、そう感じられました。
くだけた関西弁が優しいヤマモトと、仕事で落ち込んではいるけれど、根は明るい青山が友情で結ばれてゆく。
とても温かい気持ちになります。
パワーハラスメント
やっと仕事にやりがいをみつけはじめた青山ですが、思わぬトラブルにみまわれます。
はじめて結んだ大きな契約の相手先に、受注されていたのと違う商品が届くという痛恨のミスでした。
それから、これまで以上の暴言を上司に浴びせかけられるようになります。
「ゴミだ」「生きてる価値もない」
関わりを持ちたくないとばかりに、同僚からの無視。
この上司こそ、ゴミだ、クズだ、何の価値もない!
読んでいてそう思うのですが、青山は純粋なのか良い人すぎるのか、全ての失敗の責任を全部引受けて、落ちこんでしまうのです。
人格さえ徹底的に打ち砕かれたら、そうなるのも無理はないのですが……
ヤマモトはいちはやく、青山の異変に気付いて言います。
「なんで仕事やめへんの?」
しごく真っ当な言葉ですよね。
若いのに、可能性があるのに! ヤマモトの言葉よ刺され。
ヤマモト頑張れ!
(あれ、私ヤマモトを応援している)
もしかして幽霊?いったいヤマモトは誰なのか?
大阪弁で人懐こいヤマモトが、いつも自分を気遣ってつきまとうのが不思議で、そして「本当に同級生なのか?」という疑問を晴らしたくて、山本純(ヤマモトの正式名)をSNSで探します。
そして見つけ出したのが、3年前に過労から鬱で自殺した山本純という存在。
(ネットって個人情報で溢れていてコワい反面、やっぱり便利)
「じゃ、ヤマモトって誰?」
ビールが好きで、たこ焼きを焼くのが上手で、そういえば気がつけばストーカーのように自分につきまとっているような……
ヤマモトって幽霊?
自殺したものの成仏しきれなくてこの世をさまよっている?
もしくは、自分の境遇と同じ青山を助けるために出てきたとか……
この展開、がぜん話がおもしろくなってきます。
足があって、たこ焼き食べて、体温もあたたかいヤマモトの正体、知りたい!
そういう意味でもページをめくる手が止まりません。
ちょっと今から仕事やめてくる
ヤマモトの助言もあって、仕事をやめるという選択肢に思い至った青山。
良かった!
さっそうと「仕事をやめ」に出かけます。
直球で自分の思いのたけを、クソ上司にぶつけるところは、かなり爽快ですよ。
ちょっとだけ、引用してみますね。
「俺の人生を、お前が語るんじゃねーよ!」
「幸せにはたらいているなら、あんなに毎日怒鳴り散らしませんよね」
自分の価値をみつけ幸せになることが一番、それが回りをも幸せにするのだ、と怒りだけでなく、冷静にも言い切った青山です。
青山を「負け犬」と呼び続けた上司の、呆けたような顔が目に浮かびます。
まとめ
『ちょっと今から仕事やめてくる』は、若者が仕事より大事なものがあると知った時にとった行動をきりとった、爽快な物語。
今、自分の仕事がツラいと思っている人には、『ちょっと今から仕事やめてくる』が読者の「ヤマモト」になってほしいと思います。
もし身近で顔色が悪くて、仕事で悩んでいて、しかもやめるという選択肢さえ失っている。
そんな人がいたら、勧めてほしい1冊でもあります。
でも、ぜんっぜん深刻ぶったところがないのが、この本の良いところ。
働く人の気持ちを、ほぐしてくれます。
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