恋がしたくなった時、気になる人がいる時、気分転換したい時、失恋した時、など様々でしょう。
恋愛が様々であるように、恋愛小説を読むきっかけも様々です。
そこで、今回は多くの人に読んでいただきたいおすすめ作品5選を紹介いたします。そして、
「どんなストーリーなの?」
「主人公はどんな人?」
「どうしておすすめなの?」
これらもご紹介したいと思います!
小説を読むなら恋愛モノがいい、という方
恋愛小説を何から読めばいいかわからない、という方
ジャンルを問わず小説が好きだ、という方
必見です!
恋愛小説の名作おすすめランキング第5位~第1位
第5位 『薬指の標本』小川洋子
著者 :小川 洋子
出版社:新潮文庫
発売日:1997/12/24
【あらすじ】
ある事故をきっかけに工場をやめた主人公の女性。
彼女は、偶然目に止まったアルバイトの求人広告に応募することにする。
その仕事内容は、標本管理のお手伝いだった。
面接に向かうと弟子丸という技術者が待っていた。
一通りの手続きを終えると、彼女の採用が決まった。
帰り際、彼女は弟子丸氏の薬指への熱心な視線を忘れることができなかった。
標本にするという行為は、有機的なものから無機的なものへ移し替えるということ。
そこで、務める主人公の女性と弟子丸氏の奇妙な愛の物語。
それぞれの愛の形を、あなたはどのように受け止めるでしょうか。
【「私」の主人公像】
彼女は素直で穏やかたな女性です。
弟子丸という怪しげな技術者の元で誠実にカルテの作成を行い、奇妙な標本室をひたむきに管理します。
ところが弟子丸氏にとって彼女の誠実さやひたむきさは、助手として評価することがあっても、魅力的には映らないのかもしれません。
なんせ彼は一流の標本技術者ですから・・・。
彼にとっての彼女の魅力は、薬指にあるのです。
そんな歪んだ彼の愛に気づきながらも、彼に惹かれずにはいられない、そんな女性です。
【おすすめのポイント】
小川洋子の作品の特徴とも言える、「奇妙な美しさ」がおすすめのポイントです。
この作品には、様々な人がそれぞれの事情で標本にして欲しいを持ってきます。
それらは、通常標本にはできないものばかりなのですが、弟子丸の手にかかれば標本になってしまうのです。
そんな奇妙な標本たち。
それらの描写が奇妙な艶を持っています。
この「奇妙さ」が小川洋子の文学の特徴であり、素晴らしいところです。
また、「超えてはいけない一線」を超えるのか、それとも超えないのか、ハラハラさせられます。
最後までどうなるのかわからない緊張感が、作品に張り詰めているのです。
第4位 『ノルウェイの森』村上春樹
著者 :村上春樹
出版社:講談社文庫
発売日:2004/9/15
【あらすじ】
37歳の「僕」はハンブルク空港行きのボーイング747のシートに座って『ノルウェイの森』を聴いていた。
その曲は僕を激しい混乱へと導いた。
学生時代の、直子のことを思い出した。
直子は「僕」の親友、キズキの恋人だった。
3人は仲が良く、行動を共にしていたが、ある日キズキが自殺してしまった。
キズキを失った悲しみと恋人を失った直子への同情を感じる「僕」。
そんな喪失感を埋められないまま二人は別々の大学へと進学する。
それから月日が経ち「僕」と直子はデートを重ねるようになった。
ところが彼女と初めて夜を共にした直後、彼女は姿を消してしまった。
一人になってしまった「僕」の前に突如現れた緑。
活発な彼女は直球的なアプローチで「僕」を必要としている。
「僕」と直子と緑が織りなす、傷つきやすく、孤独で、繊細な恋愛物語。
・・・「僕」の主人公像
今回の「僕」は高校生から大学生にかけて成長していきます。
高校時代のキズキとの楽しかった日々から、直子、そして緑という女性との関係を通して繊細な感情を抱くことになります。
こうした点が前青春三部作とは異なり、もっと人間の柔らかい部分を「僕」が抱え、そして向き合っています。
【おすすめのポイント】
松山ケンイチ主演の映画にもなっているこの作品。
見所は、直子と緑、それぞれの女性像の大きな違いだと思います。
直子は都内の女子大に通う女の子です。
キズキの死後、「僕」と恋人同士になるのですが、夜を共にした後から大きな混乱を抱えるようになります。
彼女は華奢で、繊細で、女性らしい人物です。
一方緑は活発で、素直な女性です。思ったことはすぐ口にしてしまうから、誤解されることもあります。
それでも自分に素直であることをやめないんです。
そんなエネルギッシュで素直なところに、「僕」は惹かれて今います。
緑が「僕」に「完璧なわがまま」を苺のショートケーキで例える場面があるのですが、彼女のこの発言、激しく同意しました!
女性の方ならわかるのではないでしょうか?
関連記事⇒【名作選】村上春樹のおすすめ作品ランキングベスト10はこちら!
[ad#ad-1]第3位 『レインツリーの国』有川浩
著者 :有川浩
出版社:新潮文庫
発売日:2009/6/27
【あらすじ】
関西から上京した向坂伸行は中学の時に愛読していた『フェアリーゲーム』の結末について気になっていた。
主人公とヒロインの男女が結ばれなかったのだった。
当時必ず結ばれると確信していただけあり、がっかりしてしまったのだった。
ある日ふと思いついたように『フェアリーゲーム』の結末について検索をかけて見た。
掲示板には短い感想ばかりが並んでいたのだが、一つだけ、熱心に書き綴っているスレを見つけた。
そのハンドルネームは「ひとみ」。
彼女は「レインツリーの国」というブログを更新していた。
自分と感性が近く、しかし女性の視点から書かれたその感想に心に響くものがあった伸行は、思い切ってひとみにメールを送った。
ネット上の見ず知らずの人物にメールを送ることは初めての経験だった。
翌日ひとみから返信が来た。
期待していなかっただけに、伸行は興奮を抑えられず、もう一度メールを送った。
すると彼女はまた返信を送って来た。
このようにしてメールのやり取りを始めた二人。
そして思い切って伸行はあってみたいと連絡します。
お互い顔を知らない二人は、初めてのデートには本屋さんの『フェアリーゲーム』の本棚の横で待ち合わせにしました。
そしてそこにいた女性がひとみ。
せっかく出会えたのに、その日は伸行が思い描いていたデートにはなりませんでした。
あいにくの雨で二人は傘をさし、距離が遠いせいでひとみは口数を減らしてしまいました。
ひとみが静かなところがいい、というので人気のないレストランに入るとタイ料理屋で、彼女は半分以上も残していました。
そして映画館でも、後ろに長蛇の列が並んでいるのにもかかわらず「洋画で字幕がいい」と頑として譲らず、伸行はだんだんイライラし始めてしまいます。
ひとみって感性が近くて、メールではあんなに楽しかったのに、どうしてこんなに盛り上がらないのだろうか。
会話も全然噛み合わないし、会わない方が良かったのではないだろうか。
そんな思いが伸行に湧きあがります。
見事なまでに噛み合わない二人。
その日最悪の出来事は、映画の後に起こったのでした。
ひとみがエレベーターに乗ったとき、定員オーバーのブザーが鳴りました。
ひとみが乗ったタイミングでなったので降りるのはひとみ、誰しもがそんな目で見ているのに彼女は一向に動こうとしません。
「他の誰かが降りろみたいな態度して!」
イライラを募らせていた伸行はこのとき怒りをぶつけました。
それも関西弁です。
すると彼女は「定員オーバーだったんですね」と気づき、悲しそうな顔をしました。
彼女は、ある重要なことを伸行に言っていなかったのです。
それ以降二人は本当の気持ちをぶつけ合うようになりました。
本当の気持ちをぶつけ合ううちに、二人はより一層惹かれあっていきます。
ひとみが隠していたこととは何か、そして二人はそれをどのように受け止めていくのか。
歯がゆくも甘酸っぱい恋の物語です。
【主人公像】
関西から上京して来た伸行は、きっと顔立ちがいいのでしょう、ある女子社員からアタックを受けます。
彼女は自分の見せ方がうまく、伸行も彼女が可愛いことは認めています。
しかし可愛いだけでは付き合っても結局飽きるのだろうな、と伸行は考えてしまいます。
彼は理屈っぽく、議論をするのが好きなのです。
だからこそ、彼はひとみに惹かれているのです。
感性が近く、でも別の視点を持っていて、ハッとさせるような文章を書く彼女に、彼は興味を抱いています。
【おすすめのポイント】
有川浩の『図書館戦争』という作品をご存知でしょうか。
2013年に、岡田准一を主演にした映画が公開されていました。
『図書館戦争』の中に『レインツリーの国』という本が少し登場するのですが、それを実際に小説にしたのがこの本です。
『レインツリーの国』は恋愛物語なのですが、ある設定があり、それが伸行とひとみの関係を深めていきます。
その点がこの物語の特徴です。
また伸行の視点から書かれる章とひとみの視点から書かれる章があり、男女の見方の違いも見えて来ます。
この視点の違いを読んでいくのはとても面白いです。
読むたびに発見があります。
第2位『錦繍』宮本輝
著者 :宮本輝
出版社:新潮文庫
発売日:1985/5
【あらすじ】
蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラに乗った勝沼亜紀は、目の前の男に気がつくと目が離せなくなった。
その男は十年前に離婚元夫、有馬靖明だった。
亜紀は目の前の奇妙な巡り合わせに言葉を失った。
鮮やかな紅葉がゴンドラの外に広がっているにも関わらず、目の前の男を凝視している。
しかし靖明は顔を伏せたまま亜紀のことも見上げずに、目的地に着くとそそくさと降りてしまった。
靖明の首にある痛々しい古傷を見て、あの事件を思い出さずにはいられなかった。
それから彼女は松葉杖をつく息子を連れて満天の星空見たが、それでも靖明のことを忘れられるはずがなく、そしてますますあの事件の真相を知りたいという衝動に駆られた。
しばらくして、彼女は靖明に手紙を書いた。
それから二人の手紙のやり取りで、二人を引き裂いた悲しい事件の真相が明かされる・・・。
【主人公像】
勝沼亜紀の手紙から女性らしい上品な言葉遣いが見られます。
それはとても品が良く、柔らかい印象を受けます。
育ちの良さも見受けられます。
彼女は当時26歳でした。
星野建設の社長である父を持ち、父に大切な娘として育てられて来ました。
そして息子を持たなかった父は、婿に継いでもらおうという狙いもあり、靖明に別々の3件の探偵を尾行させて靖明を徹底的に調べ上げたのです。
そんな父に認められた結婚でしたが、事件によって父は星野建設での面目を潰され、靖明には離婚するように仕向けました。
彼女はそんな展開を、受け入れざるを得ませんでした。
父の前では靖明のことはもうすっかり忘れた、とい言いますが、そう簡単には忘れられませんでした。
一方で、有馬靖明という男は情緒的で、どこか寂しげな男性です。
実はゴンドラに亜紀と乗り合わせたとき、彼女のことに気づいていたのでした。
しかし彼女に合わせる顔がなく、ずっとうつむいたままだったのでした。
それから亜紀の手紙を受け取ります。
初めは手紙なんて送られてもあの事件については何も語りたくはないし、迷惑だと言います。
それでもやめない亜紀の長い手紙を読んでいるうちに、いたたまれない気持ちになりました。
なんと自分は罪深い人間なんだろう、とどうしようもない気持ちがこみ上げて来ます。
電車に揺られながら広告を眺めている時、スナックで酒を飲んでいる時などにです。
手紙は人を情緒的にします。
二人は手紙によって心の中をさらけ出していくのです。
【おすすめのポイント】
この物語は、勝沼亜紀という女と有馬靖明という男の手紙のやり取りを繋げることで物語られています。
勝沼亜紀の言葉と有馬靖明の言葉。
手紙を並べることによって、両者の人間性や心情がひしひしと伝わって来ます。
彼らの語りの先に、受取手としての彼らがいるのだと思うと、その言葉の一つ一つがとても鮮やかです。
そして時間の経過も感じられます。
ある事件の真相をめぐって、二人は手紙のやり取りをしているのですが、それと同時に彼らの現状についても語られます。
過去の二人と現在の二人。
この対立がなんとも哀愁漂うのです。
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第1位 『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子
著者 :川上未映子
出版社:講談社
発売日:2011/10/13
【あらすじ】
主人公の「私」・入江はフリーランスで校閲の仕事をしている。
自宅で仕事をする彼女は自分に自信がないし、人ともあまり関わろうとしない。
そもそもフリーランスの仕事を始めたのも、以前勤めていた会社で人間関係をうまく築けず、居心地が悪かったからだった。
そんなぱっとしない日常を変えよう、と思い立ち、ある日習い事を始めようとカルチャーセンターへ向かった。
そこで一冊の冊子を手に入れ、この中のどれかに絶対に入るんだ、と決意を固めようとしたものの、教室の数が多すぎて結局決められない。
そして決意を決めてもう一度カルチャーセンターへ訪れた時、ある一人の男性に出会う。
それは三束さんだった。
「真夜中の光はどうしてこんなにも綺麗なんだろう」
彼との出会いが、思いがけない方向に向かっていく。
単純な恋愛小説とは違う、ちょっと奇妙で、けれども素敵な、恋の物語。
【「わたし」の主人公像】
主人公の女性は、とにかく人と関わるのが苦手です。
ヲタクというわけではなく、何か奇妙な癖があるわけではなく、単に人と関わることに慣れていないのです。
とても臆病なんですね。
だからフリーランスの仕事で満足していたのです。
しかしこれではいかん、と思いカルチャーセンターへ行くも、結局教室を決められなかったり、と踏み出せない。
そんな彼女が人と話せる手段。
それはお酒を飲むこと。
酔いがまわることで、自分が人と話せることに気がついたのですね。
【おすすめのポイント】
個人的にですが、わたしはこの小説が大好きで、一読してすぐに読み返しました。
そして小説で涙を流したのも、この作品が初めてでした。
というのも、この女性の気弱な部分に、とても共感してしまいます。
人の「弱さ」を優しく掬い取っているんですね。
当てはまらない人ももちろんいると思うのですが、彼女に共感できる人は結構いると思います。
そしてそんな彼女が愛した男性、三束さん。
苗字も独特ですが、彼もまた独特な人物です。
とても、素朴で奥深い人物です。
この二人のバランスといい、切なさといい、夜の光の美しさといい…。
人の「弱さ」と「憧れ」の詰まった、素晴らしい作品です。
『わたくし率イン歯ー、または世界』や『乳と卵』の「だらだら文体」から進歩した、また新たな文体が川上未映子の中で創られたのではないかと思っています。
関連記事⇒【厳選おすすめ!】川上未映子の小説ランキングベスト5はこちら!
まとめ
第1位 『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子
第2位 『錦繍』宮本輝
第3位 『レインツリーの国』有川浩
第4位 『ノルウェイの森』村上春樹
第5位 『薬指の標本』小川洋子
いかがでしたか?
恋愛小説をご紹介しましたが、作家によって系統の違った恋愛物語でした。
皆さんの小説の好みによって読みたい本は様々だったと思います。
ネタバレをしないようご紹介したので、曖昧な箇所もあったと思います。
もっと知りたいな、と思った方は是非読んでみてください。
前から読んでみたかった小説、今日初めて知った小説。なんとなく引っかかるものを感じた小説・・・。
その一冊が、あなたにとって運命の小説かもしれません。
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