ファンタジー超大作「十二国記」シリーズで有名な作家、小野不由美先生ですが、さて、小野不由美先生を、どのジャンルの作家さんととらえられますか?
この方を一躍有名にしたのは、実は「悪霊シリーズ」という少女小説ホラーであることは、比較的有名な話であると思います。
そう、小野不由美先生は、他作家さんの追随を許さないほどの、素晴らしいホラー作品の書き手でもあるのです!
小野不由美先生の、ホラー小説作品、どれがおすすめか?
個人的ランキングを、挙げていきましょう!
小野不由美ホラー小説、おすすめランキング3位
3位「ゴーストハント(旧悪霊シリーズ)」
ゴーストハント1 旧校舎怪談 (幽BOOKS)
小野 不由美 メディアファクトリー 2010-11-19
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漫画化され、それを元に2006年秋から半年間アニメにもなった、ゴーストハント(旧悪霊シリーズ)は、少女小説とは思えません。
これを小野不由美先生、え!?こんなお若い年齢で書かれた!?と逆算して驚きを隠せないほどの内容です。
ただ、霊が出ましたー、おどろおどろしいですー、怖いですー、じゃありません!
SPRという心霊研究事務所が存在します。
ここで、依頼を受けた心霊現象の調査をしますが、機械を駆使して、霊現象か、それ以外のものか、両方から原因を潰す、アヤシゲなお祓い団体ではないのです。
所長は、渋谷一也(愛称ナル)若干十七歳、容姿端麗、頭脳明晰、性格…悪し…。
悪いといっていいでしょうか?
つっかかって来る人を表情ひとつ変えずにやりこめてしまう頭と口の回転に、大笑いです。
誰も、ナルに勝てません。
ちょっとしたことで、ナルの事務所で助手としてバイトをすることになった女子高生の麻衣目線、一人称で書かれますが、小野不由美先生は、当時の少女小説でお約束だった、女の子の一人称「あたし」で書かなきゃいけないことと、その恋愛小説でなきゃいけないこと、これを逆手にとって、最後にそれをひっくり返す見事な技法を見せて下さいました。
もう、まだお読みでない方は、最初からじっくり、伏線を拾いながら読んで下さいよ、としか申せませんよ。
何が面白いか。SPRの協力者たちが、いわば霊能者たちですが、それぞれ違う力を持つ、そして超個性派で、この面々を見ているだけで笑えちゃいます。
緊迫感ないのか、とツッコみたくなるほどです。
真面目に除霊するんですよ、ちゃんと。
それぞれの持ち場がありますから。
シリーズが終わってしまったことが非常に残念です。
色々訳アリでしてね…。
2位「屍鬼(しき)」
屍鬼〈1〉 (新潮文庫)
小野 不由美 新潮社 2002-01-30
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発売当時は、広辞苑かと思うほどの厚み、ハードカバーで上下巻、後に文庫5巻で出された「屍鬼」を2位としてお勧めいたします!
人口千数百人の、外界から隔絶されたような外場村が舞台となります。
この村は、よそ者、いわゆる訪問者や移住者に対して排他的な傾向がある分、内部の結束力が強いです。
そして、尾崎敏夫を若院長とする尾崎医院と、室井静信を若御院とする寺は、村において絶対的な存在、その一段上に「兼正」と呼ばれる土地があるのですが、そこに都会からの移住者のために、洋館が移築されます。
一家が越してくるに先立ち、貧血を前駆症状として衰弱が進み、数日で死に至る村人が続出、そんな中、移築された洋館に、桐敷一家が越してきますが…。
土葬の習慣が残る村には、「起き上がり」という、死者が墓から甦る伝説があります。
寺の跡取りと同時に作家である静信は、それを素材に小説を書いていて、自分のファンだという桐敷夫婦の十三歳の娘、沙子と夜な夜な語り合うようになるんです。
沙子が、少女なのに生死観が大人より突き抜けて、達観しすぎ、冷淡にも思え、「死は誰にでも等価」と言う、そりゃそうなんだけど、人が次々死んでく村でそれはね、と思います。
でも、静信はそれにシンパシーを感じてしまう人だったんですね。
親友である敏夫と、そういう点で道を隔て、少女の姿で長い時を生きてきた沙子をボスとする、吸血一族、その犠牲となって起き上がってしまった、死んだ村人たちを巡る狩りの始まりに、これはどっちが正しいのか?と思考がブレてしまうひとつの理由になってしまいます。
屍鬼になってしまった村人の悲哀と狩られる恐怖が残酷に描かれるし、沙子たちに家畜同然として家族を殺された村人の嘆きも心に痛いじゃないですか。
そして沙子は、人間を食料と思わなきゃ生きていけないのに、書物をたしなむ感性や信仰心を残して本当は人恋しい、だから、怖くて悲しいホラーなんですよ。
長いし、最初はなかなか進まないけど、我慢して読んで下さい!後半手に汗握りますから!
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1位「残穢(ざんえ)」
残穢 (新潮文庫)
小野 不由美 新潮社 2015-07-29
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2016年1月に映画公開もされた、「残穢(ざんえ)」(ナンギな漢字です…)を1位にお勧めします!
これは、ミステリー仕立てのホラーというべきでしょうか。
現実にはミステリーとして、過去の事実を探っていく、けれどそれはあるマンションの怪奇現象が発端であり、その原因を辿ると、過去へ、過去へと遡り…という、この調味具合がすごいです。
ホラーが好きでも、ミステリーが好きでも楽しめる内容です。
ドーン!と来る怖さではありません。
ただ、もしかして後ろに誰か立ってるかも、と振り向きたくなくなったり、この家の立つずっと昔は何があったんだろ?と落ち着かなくなったり、背筋がぞわっとしてしまう、日本人独特の恐怖心をあおる表現です。
なんで「残穢(ざんえ)」か?祟りとか呪いとか、取り憑いたという意味でとらえるのではないからです。
「穢れ(けがれ)」に、特定の人が、いわゆる感染をしてしまい、同じマンションなのに、違う部屋で同じ現象が起きたり起きなかったりする、それは逃げても追ってきて、引っ越し先の次の住人が連鎖して恐怖体験をしたりする、「穢れ(けがれ)」が残り、それに触れて捕まるという意味です。
主人公が、作家たる「私」で、ご主人も小説家、怪談を集めていた設定なので、小野先生自身を彷彿とさせていますが、あくまでフィクションとされています。
ただ、妙にリアルな部分があるので、もしかしてこういう生活をしてらっしゃるかな、と想像してしまう部分がありました。
次点にもおすすめホラー小説がある小野不由美作品です!
ランキング1~3までを個人的にご紹介ですが、ややラノベ風ではありながら、内容は非常に重くて悲しく感じる「緑の我が家」と「過ぎる十七の春」も素晴らしすぎる名作として、次点にするには惜しい!とおすすめさせて頂きます。
新装版 緑の我が家 Home, Green Home (講談社X文庫)
小野 不由美 講談社 2015-08-04
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新装版 過ぎる十七の春 (講談社X文庫)
小野 不由美,樹 なつみ 講談社 2016-03-04
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小野不由美先生のホラー小説の登場人物には、「こう生きてる(生きてた)んだな」と、芯のようなものを感じます。
神のような人であろうと、ゲスであろうと、存在感がある、だからホラー小説といえど、あなどれません。
ホラー小説怖いよ、嫌いだよ、と敬遠せず、人生小説と思って、ランキング1~3と次点2冊を、是非どうぞ!
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