夏目漱石のおすすめ小説本ランキング!人気作品ベスト20を一挙紹介!

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夏目漱石のおすすめ小説ランキング:第3位~第1位

3位 夢十夜

出版社:岩波書店
発売日:1986/3/17

現在(明治)を始め、神代・鎌倉・100年後と、10の不思議な夢の世界を綴る。
「こんな夢を見た」という書き出しが有名。
漱石としては珍しい幻想文学のテイストが濃い作品。

「『こんな夢を見た。
六つになる子供を負ってる。
たしかに自分の子である。…』
田圃道を子供をおぶって歩いている。子供は目クラである。
あぜ道を行くうち、子供は周囲の状況を次々と当て始め、恐ろしくなった自分は子供を放り出して逃げることを考える。」
(「第3夜」より)

多くの作家が自分の本来の姿を垣間見ようと、この「夢に映った自分」を作品において表現してきましたが、漱石のその骨頂はこの『夢十夜』に集約されています。
幾日をかけて自分が実際に見た夢の出来ごとをリアルかつ端整な美文をもって仕上げた本作は、未だに色褪せずその情景の絶妙を表しています。

私はとくに第3夜に書かれた奇妙で不思議な児(こども)の存在に引かれたもので、現在をもって何度読み返しても、次々新しい感想が沸き上がってくる「尽きない魅力を秘めた一編」に受け止めています。

漱石作品の内で最も幻想がかった秀逸の作品で、また漱石中期の作品でもあり非常に豊かな脚色・発想の下に描かれてあり、漱石作品を読もうとする際にはぜひ一度、手に取ってもらいたい作品です。


2位 教育と文芸

出版社:岩波書店
発売日:1986年10月16日

「時代の要求に伴って自然主義の教育が求められるがすべて、ではいけなく、 四分は浪漫主義の教育も残すべきで両者の調和が必要だ」(本文より)
このセンテンスを軸にして、当時に流行し文学から付随する学問の領域を学際的に占領していた「自然主義」への思いを、漱石なりの“余裕派テイスト”に締めくくった味わいの評論雑篇。

明治期から大正を経て昭和へと変遷する中、段々とその幅を拡大させていった「自然主義文学」への思いの丈を、当時「主義」をともにし寄り添った鴎外との経験を交えながら、とことん浪漫派文学の必要性に焦点を当てます。

本作は先述の作品と同じく評論系ながら、その本意には文学を思う上で非常に貴重なテーマを扱った発展型の史料にも思われ、とくに文学・文芸に興味を持つ人にはぜひおすすめしたい一品です。

私は漱石の評論雑篇の内で本作の主張に一番引かれたもので、恐らくもう50回以上は読み返してきたかと記憶します。

文体は決して堅苦しくなく、その内容や詰まるところは詳細に切り刻んで描かれているので、読みやすいと同時に、全ての読者に文学や小説にまつわる「新しい発想」を与えることと思います。
漱石の評論系作品の中でイチオシの作品です。


ランキング [ad#ad-1]

1位 虞美人草

出版社:筑摩書房
発売日:1988年1月26日

漱石が職業作家として執筆した第1作で、その描写は非常な美文で仕上げられており、漱石自身も「一字一句にまで渾身をもって明記した」というほどの至高の美作!

「ここで虞美人像!?」という人も多いかと思いますが、本作のストーリーは漱石全作においても「人間描写」「人間ドラマ」「心理描写」「背景模写」などあらゆる点を語る上で絶品にあり、ヒューマンドラマでも恋愛小説でもない「自然と人との融合を描いたような超自然的なドラマ」にスポットを当てた、非常に珍しく貴重な作品なのです。

漱石自身は「少し力が入りすぎて、失敗作だ」と述懐していますが、それは“読者想定”をした上での言ともいわれ、恐らく漱石が作家生命をかけて奮迅して(捨て身で)描いた作品は、後にも先にもこの『虞美人像』をおいて他にないでしょう。
それほどの作品です。

漱石の初期から中期頃の作品には多く見られますが、その文体リズムと脚色の度合いは他の作家を圧倒するほどにずば抜けており、その成果により得られた描写のあり方には漱石にしか描けない繊細と明媚が極端に浮き彫られています。
いえばこの『虞美人像』にはその脚色の連続が加味されていると言ってよいでしょう。

私は初めて本作を読んで、「こんな文章表現がこの世にあったのか…」などと決して大袈裟ではないまるで「幻想的な感動」に捕われたものでした。
漱石を読む以上、この『虞美人像』はぜひとも外してほしくない一品で、たとえその数ページを読むだけでも“価値がある”と私は思っています。
それほど全身に「衝撃と感動」が突き刺さる作品です。
ぜひ手に取って、一度読んでみて下さい。

次点紹介

以下、今回のランキングには入れませんでしたが、私のおすすめする次点作品を紹介します。

次点 吾輩は猫である

出版社:宝島社
発売日:2016年6月24日

『ホトトギス』(明治38年)に初めて発表され、反響が大きく連載が期待されたため以降一年と半年をかけて連載された。
漱石の処女小説の長編です。

言わずと知れた本作ですが、発表された当時は「人間描写」や「背景描写を踏まえた人情物語」が主流だったのに対し、動物の目線で物語が描かれたことに幾分もの興味が大衆から得られ、その連載が大きく期待された漱石初めての童話的な小説です。

ですがその内容からテーマは根深いところにあり、大人が読んでも「うーむ」と唸らされる途中から結末までの展開には、今も変わらず多くの論評が寄せられ、世代を越えて作品そのものが成長してゆく稀な小説と言ってもよいでしょう。

私は本作を小学生のときに初めて読みましたが、やはりその頃から今をもって感想を言えば、読んだ当初の思い出とはずいぶん違った感動を持たされ、猫の表象描写から周囲に集う人間の様子までを細かく読み解くうちに、「かなり奥が深い小説かも…」と味わいを深める結果と相成りました。

漱石作品をご紹介する上ではやはり欠かせない一品に思えますので、ぜひ漱石作品を読まれるときには“手始め”程度でよいので一度手に取って読んでみて下さい。
本作はあまりにも有名なため、恐らく皆さんも小学生から中学生頃に読んでいると思われたので、次点でのご紹介にさせて頂きました。

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まとめ

ここまで読んで頂きありがとうございます。

以下に、私がおすすめする夏目漱石著作の作品を纏めます。

・1位 虞美人草
・2位 教育と文芸
・3位 夢十夜
・4位 文壇の趨勢
・5位 文芸とヒロイック
・6位 文鳥
・7位 趣味の遺伝
・8位 永日小品
・9位 坊つちやん
・10位 明暗
・11位 坑夫
・12位 道草
・13位 一夜
・14位 こころ
・15位 倫敦塔
・16位 琴のそら音
・17位 二百十日
・18位 それから
・19位 三四郎
・20位 草枕

夏目漱石といえば恐らく「文豪」や「日本きっての偉大な小説家」といったような「小説家としての名声」を多く得ている作家だと思いますが、彼は小説だけでなく非常に多くの論評や書評、また詩作や漢文にも通じているオールマイティな人物であり、その創作の幅はとても一口には言えません。

「漱石全集」を何巻目でもよいので開いてみれば、そこには作品集から多くの思想文がふんだんに乱積みされてあり、その数だけでも「とても一人の人間が書いたとは思えない…」と言えてしまうほどの、想像を超えた作品の数を垣間見ることができます。

漱石の創作のテーマは恐らく「人間」で、“その人間がどうして世の中を生きて行くか?”といった俗的な厚みのものと、その人間の生活から次は生命(いのち)に向き合い、“その人の命と自然との調和や融合をどうして図っていこうか?”といったような、非常に“単純な発想や創意”では語り尽くせないほどの重厚な構図がふんだんに敷かれています。

そしてその内容と描写を表す“美文の語り”は(恐らく)誰でも「うむ」と言わせられてしまうほどの端正で流暢な成り立ち。

これは私的な思いになりますが、漱石ほどの美麗かつ純粋な文章を書ける作家を、私は漱石を知った前後に見たことがありません。
それだけ内容は色濃く、テーマは濃厚で、それでいてなお作品描写が非常に巧い。

漱石作品の魅力はズバリ、

“語り尽くせないほどの心情の動きを「流水」に留めるように美文で書き上げ、なお作品として脚色・展開を逃がすことのないその筆勢の凄まじさ”

でしょうか。

ランキングさせて頂いた作品は、20位から1位までのどれをピックアップして読んでもらっても構いません。
恐らくどれを取っても「読み応えのある作品」に違わないでしょう。

ぜひ日本人に生まれたことを機会にし、一度「漱石作品」を手に取って、あなたの文学コレクションに加えてみて下さい。

あなたの素敵な小説との出会いを願っています。


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