海がきこえる あらすじと感想を語り尽くす!原作&7つの名シーンを一挙公開!※ネタバレ解説

海がきこえる

『海がきこえる』は1993年にスタジオジブリから届けられた、氷室冴子による小説を原作にしたスピンオフ作品として一躍有名に。

ジブリ映画にはなかなか珍しい純朴な人の素顔を此の上なく素朴に写した日記的な1作になっており、その作品の奥深さは味わえば味わうほどに感動がやってきます。

今回は本作『海がきこえる』の魅力からおすすめの名シーン・名場面、そして独断と偏見の私の感想を一挙公開します!

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『海がきこえる』詳細

出演:坂本洋子、飛田展男ほか
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2003年8月8日

概要

氷室冴子による小説。
また、それを原作として1993年にスタジオジブリが制作したアニメーション作品及び1995年にテレビ朝日系列で放映されたテレビドラマ。

1995年にテレビ朝日系列で放映されたテレビドラマ。
地元を出たことの無い高校生・杜崎拓が東京からの転校生・武藤里伽子に恋をする物語で高知市を主な舞台としている。

制作当初はその主題歌に、中島みゆきの『傷ついた翼』が検討されていたが、楽曲使用料の問題でなるべく予算を抑えなければならなかったジブリとしては、里伽子の声優を務める坂本洋子の『海になれたら』が使用を決めた。

原作

氷室冴子による原作の小説は、徳間書店『月刊アニメージュ』に1990年2月号から1992年1月号まで(1991年2月号は未連載)連載された。
懐かしさやノスタルジーを感じさせる作風や、挿絵をスタジオジブリの近藤勝也(のちのアニメ化の際には作画監督を務めた)が担当したことも話題になり、若い世代を中心にじわじわと人気を得た。

1993年の単行本化の際には、作者による編集が加えられ、拓と里伽子が高知城前でキスするシーン、拓と里伽子、松野と知沙が四万十川へ泳ぎに行くシーンなどが省かれた。

1995年、続編として『海がきこえるII〜アイがあるから〜』が単行本として出版された。
こちらは雑誌連載ではなく、同年テレビ放映された武田真治主演のドラマに先駆けて執筆された、原作者による書き下ろしである。

【あらすじ】
舞台は大学生活の1場面ずつにあり、まるで「ひと夏の思い出」のように語られていく。

東京の私立大学に合格した杜崎拓は、上京して、一人暮らしを始めた。
そんな折に偶然、拓は持ち物の中からハワイでの修学旅行で撮られた武藤里伽子の写真を目にし、里伽子との思い出を回想する。
そして、拓の大学生活が始まるのだった。

主な登場人物

杜崎拓(もりさきたく)
性格は純粋。
口が軽く、ぶっきらぼうなことも言うが、どちらかと言えば自分からは行動しない守り型の性格。
高校卒業後、東京の大学に進学する。

武藤里伽子(むとうりかこ)
両親の家庭問題で、高校2年生の8月に東京から母親の実家のある高知に引っ越してくる。
容姿端麗で学業成績ならびにスポーツも優秀だが、人付き合いは苦手。
転校生でありながら高知弁をあからさまにバカにしたり、クラス活動にも参加しないため、友人は小浜裕実一人のみ。
松野が想いを寄せる。
高校卒業後、地元の高知大学を受験し合格したが、実は密かに東京の女子大を受験し進学していた。

―高知県・地元の同級生―

松野豊(まつのゆたか)
拓の親友。
密に里伽子に恋している。
あることがきっかけで拓と絶交状態になっていたが、高校卒業後の夏休みに帰郷した拓と和解した。
高校卒業後、京都の大学(アニメでは「京都の国立大学」)に進学した。

小浜裕実(こはまゆみ)
里伽子の友人。
高校3年生のクラス替えの際、たまたま席が隣で里伽子と仲良くなった。
お嬢様育ちで、周りからは里伽子が「女王さま」なのに対してその「侍女」という印象を少なからず受けていた。
高校卒業後、神戸の女子大に進学した。
のちに「里伽子に利用されていたみたいな感じする」とアサシオに打ち明けている。

―東京の知人・友人―

岡田(おかだ)
東京時代の里伽子のクラスメイト。
元恋人でプレイボーイ。
里伽子との再会時には、里伽子の友達と付き合っていた。
ジャニーズ事務所にスカウトされても不思議ではないハンサムぶりで、拓は「ジャニーズ岡田」と呼称している。

津村知沙(つむらちさ)
拓の大学の先輩で長身の美人。
津村知沙に関わったことで拓は東京で偶然に里伽子と再会することとなる。
続編で拓は里伽子と知沙の両者に悩まされることになる。

田坂浩一(たさかこういち)
拓の大学で同学部だが学科が異なる先輩。
拓が定期的に通う書店でアルバイトをしている。
あることがきっかけで「リハビリ」中にある知沙と付き合いながら彼女を支えている。

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【簡単】3分半でわかる『海がきこえる』のあらすじ

(純朴な少年・少女の恋愛風景を奏でる風体で描かれる「1場面ずつの構成」が、ジブリ映画では超異色的な作品として名高い。
その所以には、2人の主人公を引き合いに立て、その2人に巡る互いの生活の模様が終始一貫して、ラストシーンで実を結ぶという過程にある)。

拓と里加子は段々互いの存在に惹かれるように寄り添い合うが、大学生活に到るまでのストーリー展開には「違う境遇と価値観」という、誰にでも起こり得る〝すれ違いの歯痒さ〟が色濃く残る。

舞台は東京。
大学へ通う杜崎拓は駅のホームで電車が来るのを待っている。
そこで拓が目撃したのは、過去に見知った女性。

その女性は拓の高校の頃の同級生、武藤里伽子だった。

高知県出身の拓は、地元で催される同窓会に出席するため、飛行機で東京から高知へ向かう。
その道中に、高校生頃の思い出を振り返る。

里伽子は運動も勉強も万能のクラスメイトからは憧れの存在だった。

里伽子はもともと転校生で、拓も高校生活を送る中、その途中でその存在を知る。
また東京出身の里佳子は高知県では〝都会っ子〟として見られ、余計に目立つ存在に。
そんな経過から、拓も里伽子に並ならぬ特別な感情を抱くようになる。

3月になり、修学旅行ではハワイへ行くことが決まる。
そしてその旅行中、里佳子はクラスメイトの森崎に、「所持金400ドルを全部なくしたから、お金を貸してほしい」と言う。
それを知って拓は里佳子を軽く叱り、身の周りのことをきちんとしておくよう、少し高みから注意をする。
この成り行きをきっかけに、拓と里伽子は段々打ち解け合うようになる。

里伽子は優等生ながら、人物観もなかなかさるもの。

拓や周りのクラスメイトの人相をだいたい把握しており、どんな立ち振る舞い方をすればどんな結果になるか、里伽子にはだいたいがわかっている様子がある。

ある日、里佳子は岡田というプレイボーイ風のイケメンの男子と喋っていた。
岡田は里佳子の元彼氏と噂されている。
けれどそこで交わされる話題は〝軽薄な恋愛譚〟ばかり。

その様子を知った拓は、「くだらない」と一蹴して、里伽子とボーイフレンドの仲を少し疎ましく思う。

高校生活を送る中、次第に大人に成長していく拓と里伽子。

クラスメイト・松野豊も里伽子に思いを寄せており、拓の良き相談役でありながら、里伽子を巡っていろいろな妄想に耽ってしまう。

小浜ゆみは里佳子に憧れの念を抱きながらも、やはり拓や松野と触れ合ううちに、自分の役割(里伽子の侍女のように振る舞う役)に少しうんざりし始める。
ゆみも高知県ではお嬢様育ちの金持ちで、心底では里伽子に嫉妬を燃やす思いが何となくあった。

そのゆみから松野は、「里佳子は東京に好きな人がいる」という話を聞かされ、自分の思いが叶わなかった松野は1人寂しく、無言で微笑んでいる。

高知県の高校生活の中で、一緒に高知城を眺めたり、無駄話しや、恋愛を絡めた少々複雑な話しなんかもしてみたかったと反省していた拓は、その東京で、里伽子にそっくりな女性を見かけていたのだ。

「まさか、そんな偶然なんて、あるわけないか」
と電車が走り出す瞬間、ホームに残ったその女性は拓に向かって、微笑んで会釈していた。

このとき拓は、「自分が本当に里伽子を好きだったこと」に気づいてしまう。


参照サイト:naver
引用元:wikipedia


〈参考資料〉

【1】『海がきこえる〈2〉アイがあるから』

著者:氷室冴子
出版社:徳間書店
発売日:1999年6月1日

【2】『海がきこえる』

監督:望月智充
販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
発売日:2015年7月17日

【3】『耳をすませば』

出演:本名陽子、高橋一生ほか
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2002年5月24日
(※宮崎駿は『海がきこえる』を制作後、すぐにこの『耳をすませば』の制作に取りかかった。いわば『耳をすませば』は、この『海がきこえる』の後続作品のように捉えられる傾向もあるため。)

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『海がきこえる』の7つの魅力!

【その1】回想シーンの重み

本作『海がきこえる』はジブリ作品にしては超珍しい、男女の恋愛だけに重点を置いた異色的な運びによって象られます。
そのストーリー展開においてもそれまで・その後の作品にはなかなか見られない、男女にまつわる深層的な心理のやり取りがさらに深みを増していき、その後に関わるラストシーンへの人物・背景運びには、ひと口には言い切れない「男女」と言うよりは、「人間模様の脚色・描写」がふんだんに飛び交っています。

この土台作りを主にしてくれているのが、拓が高校生活を振り返るこの「回想シーン」に息衝いています。

回想していく際の拓の何気ない語りや表情などは、その「高校生活で得た思い出・価値観・経験」といったものがどんなに後世の自分に影響しているかという〝重い演出〟に何気に気づかされてしまいます。

【その2】里伽子の表情と、その憧れを引き出す2面性

里伽子という、一見、清廉な女性は、どこか洗練ながらも、その実、なかなか1側面からではつかみ切れない、〝心の奥行・見えない内面〟が表面に浮き出た、どこか魔性を秘めた存在に輝きます。

この里伽子の存在を巡って数々のクラスメイトたちが純情を引き合い・出し合い、その後にやってくる感情の浮沈のようなものに、各自が悩まされ、思い出にされていきます。

まるでこの里伽子の存在によって皆、その夏から高校生活を彩れてしまう、「思い出」を作らされていった模様にさえ見えます。

かと思いきや里伽子には、誰にも知れない「ある秘密」のようなものがあり、それは終始、拓にさえ明かされません。
そのラストシーンで、意味ありげな微笑みを返す里伽子の姿には、この「2面性」がすっかり1面に表れた「里伽子の本性」のようなものが映し出されます(そのように見えます)。

このような「2面性を持つ人」というのは一般的に誰にでも当てはまるものでしょうが、この「2面性」のあり方をここまで精錬して描き出したのは、本作をもって他になかなか見当たらないでしょうか。

【その3】きれいで、思い出を包み込むような海

タイトル『海がきこえる』にもありますように、本作の要所の場面には海が頻繁に登場し、またそのあり方がとてもきれいです。

ストーリーの舞台は先述しましたように、だいたい拓の回想シーンにある〝高知県での高校生活〟になるのですが、けっこう東京での思い出や経験も重い引き金になっていて、その東京と高知とを結ぶ形で描かれる〝海の存在〟は、まるで登場人物全ての〝思い出〟を包み込んでくれるような、暖かで、とても優しい〝母体〟のように脚色されています。

海1つの描写によって、これほどまでにストーリーと展開が脚色・演出されるとは…、と、きっとご覧になられる皆さんもその感動を呼び起こされることでしょう。

【その4】素朴な描写

東京で拓が「里伽子に似た女性」を見かけるシーンですが、この場面の描写のあり方がとても素朴でよいです。

偶然という奇跡的なシーンを彩った場面ですが、その奇跡的(軌跡的)な場面を映し出す演出と技法は、本作の主軸として取り入れられる〝人間描写と思い出の物語〟にぴったりな、レベルの高い構成・設定の織りなす業だと思えます。

人は誰でも皆、それぞれの思い出や経験をもって人生を生きているものですが、その思い出を奏でる1場面というのは、得てして不要な脚色はなされず、こうした純朴・素朴な描き方によって映し出されるものなのですね。

【その5】時折り見える里伽子の面白い表情

表情と言うより姿や仕種になりましょうが、その「天才」や「高嶺の花」などと噂される里伽子の体裁の表情にも、時折り魅せる滑稽な面白さがあります。

これは各場面を細やかに観ていかないとわからないかも、ですが、そのストーリー前後に渡って描かれる里伽子やその周りのクラスメイト(主に拓)とのやり取りには、この〝里伽子の滑稽味〟がふんだんに効果を上げていく、独特な契機が散りばめられます。

やはり〝人間模様・人間描写〟をメインに持ってきているような本作のストーリーでは、なるべく余計な脚色・演出にストイックな姿勢を持つ上で、こうした「2面にも3面にも映る、人間の独特な演技」というのに焦点を当て、その焦点に向けたストーリー運びを根差そうとする独特の〝模様運び〟が照り映えていますね。

【その6】ジブリ作品には見られなかった、恋愛オンリーの1作

ジブリ作品ではそれまで、「恋愛」というよりはそのキャラクターの人生観や、キャラクター各自が折り合って交わされる〝人間模様〟や〝自然と人間とのあり方〟といった、どちらかと言えば客観的な視点に視座が向けられたものでしたが、本作では初めて、男女の恋愛観、またその男女を取り巻く幾人かの人同士の心のやり取りといったものに、全集中力を傾けたような、異質の形に仕上がっています。

確かに「恋愛観」の描写だけでなく、先述したような「それぞれのキャラクターの人生観からその後の成長」に見られる客観的な視座も当然に含まれるのですが、メインスポットとしてはやはり、里伽子とその周りの男子や女子の〝恋愛にまつわる秘話や感情のあり方〟に当てられているようです。

これまでジブリがまるで避けてきたような「恋愛オンリー」を描いた・描き切った特異のストーリー運びを観るだけでも、おそらくジブリファンには必見で、またジブリを知らない人でも「ジブリ映画の斬新な側面」を垣間見るのに〝貴重な機会〟と言えるでしょう。

【その7】タイトルの意味深…

『海がきこえる』というこのタイトルに、すでに意味深な魅力があると思います。

「海」が見えるなら普通の形容でしょうが、それを「きこえる」と表現するところに、本作が持つ興味深いエピソードからエピローグまでが積み込まれているように感じられ、また、何か「感覚的な物思い」に研ぎ澄まされる点で、本作が持つストーリー運びを独自に展開させていけるような、独特の魅力が入っているように思えます。

タイトルを考えてみるとき、これは「海を感じる…」といったような、何か「海」というものに対する人の感情や思い出からあふれ出る、心の奥底に潜んだような感動を、そのまま言われている(問われている)ような感覚を受けるのではないでしょうか。

いかがでしたか?本作が持つ「数々の貴重な魅力」が少しでも伝わったでしょうか?
もちろんここであげた魅力よりももっと深い感動と感激が、本作のストーリーにはふんだんに詰め込まれています。
そのあり方と威力については、どうぞあなた自身の目と感覚でお確かめ下さい!
それではこの魅力にまつわる数々の「名シーン」を、厳選して5つピックアップしてお伝えしたいと思います!

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『海がきこえる』の5つの名シーン

【その1】黄金色の海を背景に、拓と里伽子が歩くシーン

本作のカバーシーンにもよく映っていますが、高知県の天然の海辺を背景にして、拓と里伽子が2人ならんで歩くシーン。
これは拓と里伽子が修学旅行での1シーンをきっかけに、それなりに打ち解け合ったあとの場面でもありますが、なにか2人の心が追い駆け・追いつかれしているような、本作のエピソードを巧く表現している〝名シーン〟としてあるように思えます。

この場面までの2人をエピソードはもとより、それ以降で展開される拓と里伽子の心の通い合わせ方、また2人を取り巻く運命のあり方というものに、よくよく注意しながらご覧下さい。
きっと、この「黄金色の名場面」への脚色があなたの心の中でも、色濃く反映され始めるでしょう。

【その2】転校生・里伽子を迎えるときのクラスメイトの表情

里伽子は高校2年の春学期の初め、東京から高知県に引っ越してきます。

それから拓が通う高校に転校してきて、以降はクラスメイトとして高校生活を送っていきます。

この「東京から転校してきた」というだけで、里佳子は他のクラスメイトから特異な目で見られ、何か〝憧れを持たれる特別なオーラ〟をまとわされるのです。

何気ない仕草や表情を里伽子が見せるだけで(ほとんど無表情な場合でも)、クラスメイトは〝特別なものでも見るかのような目〟で見て、その様はとりわけ、映画の中の女優でも観るかのような、そんな滑稽さというか珍妙な彩りに象られます。

この辺りもなかなか面白く、その後からラストシーンまでの主人公的存在・里伽子と拓と、脇役的存在の他のクラスメイトたちとの関係・距離とを巧く切り分けたような、秀逸な〝キャラ立てのあり方・その描き方〟を見せてくれます。

【その2】コークハイを飲みながら、酔っぱらう里伽子

高校生活を送りながら、里伽子は段々クラスメイトの輪にも打ち解けていきます。
そんな中、里伽子は友だちと一緒に遊びに行ったとき、コークハイを思わず飲んでしまい、ぶすっとした顔で酔っぱらってしまうのでした。

このときの表情が何とも可愛らしく、それまで容姿端麗、才色兼備を想わせ続けた里伽子の像からは、なにか程遠い・上手くかけ離れた、子どもっぽさが見え隠れして面白いです。

人間ですからもちろんこういう1面も兼ね揃えていて、この辺りもきちんち要所に散りばめているところがジブリアニメの醍醐味とも言えるでしょう。

【その3】拓の胸に飛び込んで泣いてしまう里伽子

これはこの『海がきこえる』の中でも名シーン中の名シーンと言えるでしょう。
里伽子が自分の過去や現在において取り巻かれているいろいろな環境に対し、なんだかやり切れない思いに駆られてしまったとき、ちょうど拓がそばにいてくれたことから、思わずその胸に飛び込んで、それまで鬱積させてきた・ため込み続けてきた自分の感情を思いきりさらけ出すシーンです。

誰でも高校生頃の女の子には、こうした〝人には言えない秘密〟の1つや2つはあるもの。
里伽子も決してその例外ではなく、拓を前にして、その高校生の女子らしい哀しみのようなものを、一気にぶちまけてしまうのです。

このときの里伽子の姿や表情には、男性と女性に分かれていることで〝どうしても理解し合えないことがある〟といった哀しみの表情と、それでも〝男女に分かれているからこそ、お互いに支え合える強靭な愛情があるんだ〟というもう1つの表情と、その2つの表情を上手くコラボさせているような異様なオーラが飛び交います。

ぜひじっくりとご覧下さい。

【その4】運命のいたずらか、東京で拓が里伽子と再会する

これはラストシーンでの、拓が里伽子をもう1度再確認するように見る、再会のシーンです。

それまでの、高知県での高校生活を振り返りながら、段々とまた現在(ストーリー現在)に戻っていくさなかで、もう1度拓はこの里伽子に似た女性と再会します。

これは冒頭で見たシー微妙なンと同じものですが、視聴者からすれば、拓の心情を図る点で全く違ったシーンに映るでしょう。

それまでの展開を考慮した点でこのラストシーンでの「里伽子の立ち現れ方」には、拓の成長した心が織りなす〝幻影的な里伽子への愛情〟と、それでも〝里伽子のことを忘れられない、運命への歯痒さを秘めたような、強い恋心〟のようなものが描かれています。

里伽子はそのとき、拓のその心情を上手く読み取ったのか、拓が電車に乗って遠ざかるとき、そっと会釈して微笑みかけます。
この姿を再確認したときの拓の心の中には、「やはり自分は里伽子のことが本気で好きだった」という、何物に代えがたい立派な愛情が芽生えています。

どうぞそれまでのメインストーリーをよくよく吟味した後での、この仄かすぎて、またその「仄かさ」が〝すれ違い〟のような運命への強靭な挑戦を表しているような微妙な熱愛の情景に堪能を覚えてみて下さい。

【その5】『耳をすませば』の1シーンに、拓と里伽子がカメオ出演している

これは本作『海がきこえる』のシーンではないですが、その後すぐに制作された『耳をすませば』の1シーンで、拓と里伽子が本作のエピソードをそのまま引きずるように登場する〝カメオ出演〟的な1シーンになります。

ジブリ映画では他にもよく見られる脚色・演出ですが、このようなカメオ出演を目の当たりにしてしまうと、それだけでなんだか〝舞台裏〟を覗けたような気になって、得した気分になりますね。

「ああ、『海がきこえる』のこのシーンが流れているときに、『耳をすませば』の雫がこんな形で反対側ホームの電車に乗り込んでいて、こんな風に拓と里伽子の2人を眺めてたんだなぁ…」
とでも言ったような、なにか〝舞台裏〟に引き続く感動的シーンのようなものが見え隠れしてきますね。

このシーンは『耳をすませば』でのちょうど「雫がお父さんにお弁当を届けに行くシーン」で、雫が赤い鞄とお弁当を持ちながら、拓と里伽子がいるホームの反対ホームに来た電車に乗り込むシーンになります。

ぜひ『海がきこえる』と『耳をすませば』を2つご覧になりながら、この〝名シーン?〟をご確認下さい。
『海がきこえる』を先に観て、そのストーリーに感動すればしたぶんだけ、なんだか不思議な気分に浸れますよ!

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感想&まとめ

私は本作を社会人になってから観たものですが、やはりそれまでのジブリ作品にはない、なかなか秀逸かつ特異な1作を観た気分にさせられました。

「人間描写」を上手く描いているようで、〝こうか?〟と思えば違い、また〝なるほどこういうことを言っているのか〟と思えばさらに奥がある…、そんな「それまでのジブリ作品ではあまり感じられなかった、人間描写における独特の深み」のようなものを味わった気がします。

本作は1993年に制作を終え、放映された作品ながら、『風の谷のナウシカ』から『天空の城ラピュタ』で人気を博したスタジオジブリのあり方・方針・理念のようなものから、なにか逸脱した「新しい転機」をその先に置いたような、特別な起点にあったような気がします。

それまでの作風から一変して作られたような本作の妙味というのは、おそらくその辺りの変調にあるのではないでしょうか。

〝一風変わった、ジブリアニメの珍味〟を味わってみたいと言う人には、ぜひ本作がイチ押しです!
また、ジブリ映画でほとんど語られることのなかった「恋愛譚だけの新鮮味」を味わいたいという人にも、おそらく本作のストーリーは抜群の魅力と感動とを与えてくれるでしょう。

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