ホラー小説本のおすすめ人気作品ランキングベスト20を一挙紹介!

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【中級編】ホラー小説のおすすめ人気作品ランキング第3位~第1位

3位 エクソシスト

作家名:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
翻訳者:宇野利泰
出版社:東京創元社
発売日:1999年7月30日

1973年に『The Exorcist』のタイトルで新潮社より出版された本作は、『I, Billy Shakespeare!』、『Twinkle, Twinkle, “Killer” Kane』に続く「信仰の神秘・三部作」に組まれた1作目。
ウィリアム自身がジョージタウン大学在学中に本作の基盤となる「メリーランド悪魔憑依事件」を知り、それを契機に一気に書き上げた至高のベストセラー作。

女優・クリスの娘リーガンが段々豹変してゆく異常な経過。
教会で発見された黒ミサの痕跡。
映画監督・バークの惨殺。
一連の異常な出来ごとは次第に「悪魔憑き」の様相を見せはじめてゆく…。

完全にオカルト調の仕上がりで、「世界3大ホラー」に数えられるほどの絶品です。

ディレクターカット版やビギニング版でも映像化できない本作の深みは、その設定から脚色が緻密に描写された小説版に収められているため、その基になる本作を読むことの重要性はかなり大きいものと思われます。

翻訳も非常に優れており、本作に打ち出される行間の“すごみ”のようなものがはっきりと表現され、背景から人間模様の移り変わりにきっちり“要(かなめ)”をつける丈夫な流れを醸し出せています。

映画版と本作の違いをいえば、「魅せるために作られた脚色の出来」から「地に足が着いた無理のない脚色」に徹底されており、映画で観るよりもさらに緊張や心情を揺さぶられる膨大な恐怖が秘められている点です。

また映画と小説ではストーリー運びも幾分違った展開で、映画を観たという人でも本作ではまた違った感動が得られることでしょう。

とにかくオカルト小説においていえば、そのプロットから内容描写は確実に抜きん出ていますので、ホラー小説に触れる際には必ず一度は手に取って読んでほしい作品です。


2位 リカ

作家名:五十嵐貴久
出版社:幻冬舎
発売日:2003年10月10日

平凡で妻子思いの会社員(42歳)が、出会い系サイトで知り合った「リカ」と名乗る女性と浮気します。
ところがこの「リカ」は狂暴性を内に秘めた狂人で、会社員のプライベートは段々「リカ」に侵食されていくというストーリーです。

“いかにもありそうな話”を脚色し尽した、ホラーというよりはサスペンスチックな仕上がりです。

男女模様の移ろいが次第に狂気に満ちた展開を呼び込むところに、恐らく現代社会に通じる“潜在的な恐ろしさ”が根底から滲み出ることと思います。

読んでいて思ったことは、やはり「あり得ないようなことでも、現代社会を見ていれば起こる気がする」と言わせるほど“無理のない展開の巧さ”がホラー性を膨らませているということ。
いつ自分の交際相手がこんな風に変わってもおかしくない、そう言わせてしまうところに、本作の“悍ましさ”があると思います。

文章表現から構成はわかりやすくしっかりしていて、すらすら読めてしまう良質の一品です。
「ノンフィクション的なホラー小説」が好きな人に超おすすめの一作。


ランキング [ad#ad-1]

1位 少女病

作家名:田山花袋
出版社:文泉堂書店
発売日:1973年9月20日

明治40年に『蒲団』とともに発表された自然主義文学初期の短編とされ、当時では大衆文学小説にも裏打ちされるほどの個性豊かな傑作の一品。

作家・杉田古城はかつて人気を博した流行小説家でしたが、あれよあれよと言う間にすっかり文壇から見放されてしまい、残ったものは過去の栄華と不器量の自分の容姿、加えて“少女趣味”の変態質でした。
それから楽しみを見つけるさなかで「ストーカー行為」に没頭してしまい、それが元で事故に遭い悲惨な結末を迎えます。

見方によればヒューマンドラマからホラー仕立てに窺える一作で、無暗に用意される“ホラー的要素”はすっかり身を隠しています。
そのぶん人間描写が緻密に描かれ、人間の内から湧き出す「本能の闇の部分」が如実に浮き出た快作と言えるでしょうか。

本作も社会で織りなされる人間ドラマをこの上なく捉えた仕上がりで、いっとき流行った「ストーカー現象」の内面をとてもリアルなタッチで描いています。

ホラー的要素を含めていながらその展開や描写に全く無理がない“見事”と言える一作で、一冊の純文学小説を読みながら「ホラー小説」も味わえる、至高の一品としておすすめできます。

次点紹介

以下、今回のランキングには入れませんでしたが、私のおすすめする次点作品を紹介します。

次点 震える舌

作家名:三木卓
出版社:講談社
発売日:2010年12月15日

昭和50年に河出書房から刊行されたノンフィクション系の一作で、作者の実体験を元に描かれた破傷風に罹った少女にまつわる作品。
“オカルト・ホラー”と言われるきっかけの発表から3年後の映画化では、「従来見られなかった、斬新な恐怖映画の成立」とも評された。

マンション近くの工場排水が注ぎ込む水たまりで泥んこ遊びをしていた少女は、落ちていた釘でケガをしてしまいます。
その傷が元で破傷風の経過を辿ってゆく少女の容態は、両親を精神的に狂わせるほどの凄まじい光景を突きつけます。
少女の周りで繰り広げられる人間模様が鋭く浮き彫られた渾身の一作です。

事実を描いた作品だけに「いつ私も/僕もこんなことになるかわからない…」とリアルな恐怖を与える本作は、他の“創られたホラー小説”とは一風違った角度から読めるでしょう。

私は先に映画で本作を観ましたが、しばらくうなされるほどの恐怖を覚えさせられました(実話です)。

本作も映画とは少し違う運びになっていますので、ぜひ小説の方でその妙味を味わってみて下さい。
ノンフィクションが軸になっていますので、本作は映画と小説の違いにさほどの差異はありません。
ですので、先に映画を観て小説に向かっても大丈夫だと思います。

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まとめ

ここまで読んで頂きありがとうございます。
以下に、私がおすすめするホラー小説を纏めます。

・1位 少女病
・2位 リカ
・3位 エクソシスト
・4位 ぼっけえ、きょうてえ
・5位 屋根裏の散歩者
・6位 天使の囀り
・7位 女王蜂
・8位 影を踏まれた女
・9位 ゴーストハント1
・10位 かにみそ
・11位 夜は一緒に散歩しよ
・12位 霊感!
・13位 鬼談
・14位 死と影
・15位 人間椅子
・16位 夜叉ヶ池
・17位 鍵のかかった部屋
・18位 黒い家
・19位 エス
・20位 黒面の狐

いかがでしたか?
今回は少々私の独断と偏見が織り交ざったランキングになりましたが、それでも実際に読んで素直に覚えた感想を基にしているので、必ずあなたにもそれなりの読み応えと感動を与えるものばかりと自負しております。

純文学・大衆文学をはじめ、ホラー小説、サスペンス・ミステリー小説、ヒューマンドラマ、風刺小説、現代小説等に描かれたいろんな小説を読むことは、ある意味で、その作品世界とあなたとの出会いだと思っています。

ぜひその「出会い」を大切にし、あなたの人生における糧として頂けたら幸いです。

今回あげさせて頂いた作品の中で、私がぜひとも皆さんに読んでもらいたいと思うものは、
●『少女病』
●『かにみそ』
●『黒い家』

の3つでしょうか。

貴志祐介さんの作品が少し多めにランクインしてしまいましたが、現代ホラー小説の内で私が一番“ホラー要素”を単直に感じさせられたのがこの貴志さんの作品です。

とくに『黒い家』には、異常に巧い場面運びが活きている上、リアルタイムで描かれたような臨場の“すごみ”が満載です。

『少女病』や『かにみそ』は一風変わったホラー要素の“すごみ”を味わえ、どちらも独特の世界の内で“人間に宿るホラーの正体”を描き出しています。

ランクづけした作品を読みながらその関連作品・派生作品にも興味を覚えたならば、ぜひあなた自身が選んだその一作を大切にして下さい。
そのときから、あなたの“ホラー小説への冒険”が始まります。

ホラー小説の魅力を言えば、

“恐怖体験をすることでまず心の動きが敏感になり、その機敏をもっていろんな妄想や空想を膨らませてくれる「発想の種」を与えてくれること”

でしょうか。
ホラー小説に限らずどんな作品も、この「発想の種」を元に描かれています。

ホラー小説を読むことで「新しい発想」があなたに宿り、もしかするとあなたも何らの作品を描く作家になれるかも知れません。

ホラー小説と一口に言ってもいろんなホラー小説があります。

ぜひあなた自身の目で、その作品に内在された“すごみ”と、その恐怖体験による「発想の種」を発見してみて下さい。

あなたの素敵な小説との出会いを願っています。


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