皆さんに馴染深い「スタジオジブリアニメ・映画作品」の〝20位おすすめランキング!〟を、今回ここで一挙ご紹介してみたいと思います。
まだジブリアニメには沢山の魅力と、奥深い感動の渦が沢山詰まっています。
そのまだ「出会っていない感動」を、ぜひこのランキングから見つけて頂き、皆さんの新しい糧として頂ければ幸いです。
それではさっそく、厳選に厳選を重ねた私のオリジナル・ランキングをご紹介します!
第20位 『平成狸合戦ぽんぽこ』
監督:高畑勲
出演:上々颱風、野々村真ほか
販売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
発売日:2002年12月18日
【あらすじ】
多摩丘陵を舞台に繰り広げられる、近代化と過去の歴史を大切にしたい、人間とタヌキとの合戦模様が描かれる。
多摩丘陵に長年住みついてきたタヌキたちは、それまで自分たちが住み慣れた土地をこよなく愛している。
そこへ人間たちによる近代化への躍進がみなぎり始め、多摩ニュータウンという巨大なビルディング&レジャー施設が建つことになった!
その人間の勝手を受けてタヌキたちは、「自分たちの安住の地を荒らされてなるものか!」と、巨大な陰謀に向けて立ち上がる!
【おすすめの名シーン・見せ場!】
何と言ってもタヌキたちの反抗模様が面白く、とくに〝化け学〟という「人間に化けて自分たちの理想を実現していく」という展開がいかにもジブリらしく面白い。
ストーリー全般を見ると、一見、何気ない「子ども向けのアニメ」のように見て取れますが、そのストーリー軸を担っている構成背景には、我々人間も真剣に向き合わなければならない「近代化への懸念」が立ち並んでおり、なかなか一口には言えない〝深いメッセージ〟が見え隠れしてきます。
その大変〝奥深いメッセージ〟がストレートに出ているシーンがほぼラストのシーン…。
タヌキたちがそれぞれ「自分たちの生き道」を決めて、人間社会へ溶け込んでいく場面ですが、何だか観ていると、「結局は近代化に逆らうことはできず、生き物で何でも、全てが近代化の渦に巻き込まれてしまうのか…」といった、ふっとした悲しさのようなものが浮かび上がります。
【魅力】
先述しましたが、やはり本作の魅力を言えば「ストーリーに隠れた深いメッセージ性―近代化に対する生き物たちの反抗」でしょうか。
一見すると本当にわからない部分になるかもですが、よくよくストーリーを吟味していくと、その背景に隠された〝生き物がどうやって近代化に臨み、またどうやってその近代化による犠牲に対処すればよいか?〟といった深いメッセージが、実にストレートに伝わってきます。
⇒【ネタバレ】平成狸合戦ぽんぽこの名シーンをもっと詳しく知る
第19位 『海がきこえる』
監督:望月智充
出演:坂本洋子、飛田展男ほか
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2003年8月8日
【あらすじ】
東京と高知県を舞台にしたストーリーで、武藤里伽子という万能美少女と、大学に進学したばかりの杜崎拓との、淡い高校生活から物語は始まります。
ストーリー現在は作中でパッパッと移ろいますが、だいたい高校生活がメインなので、拓と里伽子が高知県で生活していた頃にタイムバックします。
拓はもともと地元が高知県の高校生で、里伽子は東京から転向してきたスポーツ・勉強ともに万能の美少女。
彼女が転向してきたことにより、それまでの高校生活は一転する。
拓の友人たちも里伽子に興味を持ち始め、男子なら好意を、また女子ならあこがれの目で見てしまう、里伽子の一部始終の行動が大きく皆に影響していく。
そして月日が流れ、やがてそれぞれが「自分の進路」へ就き出す頃、里伽子と拓はそろって東京へと出る。
ある日、大学生になった拓は駅のホームで、里伽子にそっくりな女性を見る。
その女性を見たときの心境を反省したとき、拓は「自分が里伽子を本気で好きだったこと」にはっきり気づいてしまう…。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
見せ場としてはやはり2つあって、1つは「里伽子が高知へ転向してきた直後のシーン」と、もう1つは「拓と里伽子が東京に出て、また再会(?)したときのシーン」でしょうか。
里伽子が高知へ引っ越してきた当初のシーンでは、いかにも高校生活が活性されていく懐かしい光景・情景が展開され、おそらく観ている方も「自分の学生生活」を思い出したりして、ほんわりした気分にさせられるでしょう。
ですが、そのワンカットずつがラストシーンでの「拓と里伽子との再会シーン」に大きく影響してくるもので、何気なく観るよりも〝吟味して観られること〟をおすすめします。
そして「拓が駅のホームで里伽子に似た女を発見するシーン」ですが、何だかこのシーンがとても繊細に描かれ、これもまたほっこりさせてくれる不思議なタッチに落ち着いています。
ぜひこの2つのシーンを軸にして、本作のストーリーをあなたなりに味わってみて下さい。
【魅力】
本作の魅力は何と言っても「学生生活に募る淡い思い出」といった、実に誰にでも訪れるだろう「懐かし味を帯びた風景」で、その風景の中で立ち回る各キャラクターの行為や心情の動きなんかが、とてもリアルに見て取れる点です。
誰でも経験したことのある〝学生生活〟ならではの共感を呼べる点に長けており、この魅力をもってストーリーを最後まで観ていくと、他の作品とはまた違った「不思議な感動」にも出会えることでしょう。
ぜひ、自分を登場キャラクターの〝誰か〟になりすませてみて、作中に展開されるシーンに「自分の学生生活」を彷彿させながら観てみると面白いと思います。
第18位 『かぐや姫の物語』
監督:高畑勲
販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
発売日:2014年12月3日
【あらすじ】
(いわゆる「竹取物語」がベースになっています)。
ある山里に竹を取って生活の生業としていたお爺さん(翁)とお婆さん(媼)がいた。
ある日、いつものように山へ竹取りに出かけたお爺さんは、その竹の中に光り輝く竹を1本見つけた。
珍しい竹だと思い、お爺さんはその「光る竹」を持ち帰りお婆さんに見せようとする。
すると竹の中から小さな女の子が生まれ、その小人のような女の子は見る見るうちに人間の赤ちゃんほどに成長した。
やがて娘は少女となり、老夫婦に立派な人間の娘として育てられ始める。
あるとき、その娘のしつけ係として、都にあった宮中から相模という女官を呼び、娘を教育してもらう。
しかし娘は言うことを聞かず、奔放な日々を暮らし始める。
そのうちに娘は「なよたけのかぐや姫」という名前をつけられ、この折りから〝かぐや姫〟と呼ばれるようになった。
ある日、このかぐや姫を嫁に欲しいと言う5人の男たち(車持皇子・石作皇子・阿部右大臣・大伴大納言・石上中納言)が現れた。
相模の監督下にて、かぐや姫はその結婚条件にと「自分に見立てたそれぞれの宝物を持参せよ」と言う。しかし誰もその条件を満たせなかった。
またある日、かぐや姫に「今月の十五夜に尽きに帰らなければならない」という約束事が降りかかる。それまでの地上生活を振り返り、かぐや姫は月に帰るより、地上(ここ)で暮らしたいと泣き伏した。
かぐや姫には捨丸という男友だちがいた。かぐや姫と捨丸は相思相愛の仲であり、2人は何とか地上で一緒に暮らしたいと願っていたが…。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
やはり「竹取物語」がベースになっているということで、まずは原作を読まれることをおすすめしたいです。
その原作のうちでも見せ場と言えば、やはり3点。
●お爺さんとお婆さんが初めてかぐや姫と出会うとき
●かぐや姫が5人の男たちに自分との結婚条件を出すエピソード
●捨丸との恋の行方
となるでしょうか。
とくに捨丸との恋情の行方を追うのは、なかなか古典的な風味もあって面白いです。
またお爺さんやお婆さんとかぐや姫が別れるシーンでは、本作独特の脚色が織り交ぜられてあり、さらなる感動の渦へと巻き込まれることでしょう。
【魅力】
何と言っても古典の世界がふんだんにあふれるところが、本作の1番の魅力になっています。
昔の日本の景色を見ながら、その中で右往左往する人間模様を味わうのもまた乙なもの。
ですが私的に、「竹取物語」は日本においてこれまで多勢に愛されてきたこともあり、その内容は実によく知られているため、〝意外の結末!?〟を見つけるのは少し難しいかも知れません。
そのぶん安定したストーリーに恵まれますが、〝2番煎じ感〟がどうしても抜けないのは仕方のないことでしょうか。
[ad#ad-1]第17位 『崖の上のポニョ』
監督:宮崎駿
販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
発売日:2014年7月16日
【あらすじ】
ある嵐の日、ポニョという不思議な人魚が現れる。
そのポニョは宗介(5歳)という男の子と地上で暮らしたいがため、海底から陸上に上がろうと津波に乗ってやってくる。
宗介とポニョとの出会いは海岸で、そこで宗介は瓶に顔が挟まったポニョを助け出す。
その助け出されたことをきっかけにポニョは、宗介を心底から愛してしまう。
ポニョの父親は魔法使いで、母親は人魚。両親ともはじめ「人間と交際すること」に反対するが、2人の真剣な様子に〝条件つき〟で交際を許すようになる。
そしてついにポニョは人間の女の子(5歳)になることができ、地上での生活の門出を祝うべく、宗介の頬にキスをするのだった。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
ポニョが津波に乗ってやってくる場面はとてもイキイキしていて見応えじゅうぶん!
全てのキャラクターが実によく動き、全く「動かない点」がないくらいの躍動を持ちます。またその陰で場面全体に潤いを保たせてもくれます。
宗介とポニョが出会って交際し始める過程での、ポニョの母親が宗介に「ある覚悟」を問い詰める場面もなかなか奥深(おくぶか)でした。宮崎監督の「5歳を主人公にして大丈夫だ」という確信めいたきっかけが、この場面にかなり色濃く出ていると思います。
あと、
・ポニョが津波に乗ってやってきて、初めて宗介に思い切り抱きつくシーン
・ポニョの父親が海底にある井戸の水を観ながら暗躍する場面
・ひまわり園での仄々とした人間模様
これらの場面も、本作を彩るのにとても魅力的なカットに映るでしょう。
【魅力】
全てのキャラクターがイキイキしながら「視聴者を退屈させない連続」がまず魅力でしょうか。
何かスクリーンに映っている全ての物(背景も含めて)がいろいろな角度をもって働いていき、気づいてみれば、その躍動の全てが〝一局〟に向けて集合していくというような、今までのジブリ映画にはない「不思議な激しさ」が見て取れます。
また幻想的な展開をあたかも現実のように思わせる描写の様子も、ぜひ本作を通して1度は観てもらいたい非常にシュールな脚色に照り映えます。
第16位 『ゲド戦記』
監督:宮崎吾朗
販売元:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
発売日:2007年7月4日
【あらすじ】
現実の境界を越え、生人の呼び声によって黄泉から死人を生き返らせてきた「クモ」という魔法使いは、永遠の命を求めるためにそれまでその魔力を押さえつけていたハイタカ(ゲド・アースシーの大賢人)に反抗していき、世界平和のバランスを崩した。
エンラッドの王子・アレンは自分の善の光(正義の部分)を失い、闇の心が大きくな始め、自分の生き方に自信を持てずに自我喪失を味わう。
アレンとその師匠・ハイタカはホート・タウンという街で竜の子・テルーと出会う。
そのかつて美しかった街は、麻薬や人買いが横行し、過去からは考えられないほどに荒んでいた。
クモはハイタカを葬ろうとしてある日、ハイタカとともに暮らしていたテナー(巫女)を連れ去り、ハイタカをおびき寄せる罠を張った。
そのテナーの家ではアレンとテルーも暮らしていたので、アレンはハイタカを助けに行こうとするが、心の闇によって逆にクモに捕えられてしまう。
そしてテルーは1人、竜の姿を借りてクモ一族に挑んでいった。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
「テルーの唄」というのをご存知でしょうか?
この唄はテルーとアレンが出会った後、テナーの家で過ごしていたときに、テルーが草原の丘の上で口ずさんだ鼻歌のような唄です。
ですがこの唄が何ともしんみりさせてくれるよいもので、しっとりと唄うテルーを見ながらアレンは泣いてしまいます。(こちらももらい泣きしてしまいます)。
このシーンは私的に1番のおすすめです!
そしてラストシーンでの、テルーが竜と1つになって戦う場面。
それまでアレンが抱えていた心の闇の煩悶は、このシーンをもって終局します。
このシーンに至る前の「テルーとアレンが出会う異世界」でのエピソードがつながり初めてラストに向かえますので、ぜひこの「異世界でのシーン」もご注目下さい。
ストーリーの一部始終をつなげて観ていくと、とても泣けてくるような、凄まじい感動が押し寄せるでしょう。
【魅力】
やはり伝説上の生き物・竜を扱う点で、「現実と幻想とが往来する脚色」に最大の魅力があるでしょうか。
どうしても人間目線でいろいろな物を見てしまう私たちには、アニメ世界の飛躍的な幻想が持つ〝素晴らしさ〟のようなものを突きつけられる気がして、その特有の世界観に簡単な夢が芽生えるものです。
「竜と人間は1つになる」
このボディコピーに書かれた「簡単なようで飽きないフレーズ」に、あなたも1度、引き込まれてみませんか?
第15位 『猫の恩返し』
出演:宮崎駿
監督:森田宏幸、百瀬義行
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2003年7月4日
【あらすじ】
ある日、吉岡ハルという女子高生が猫を助けたことによって、「猫の恩返し」を絡めた不思議な出来ごとが起こります。
ハルに助けられた猫は1度〝猫の王国〟に帰り、再びハルの家へとやってきて、ハルをその王国へと案内しようとします。
しかしその王国紀行は半ば強制的で、しかもその王国へ行けばハルは、その王国の国王(猫)と結婚させられてしまうという、とんでもない条件つきでした。
それを嫌ったハルは、不思議な声に誘導された「猫の事務所」という小屋へ行き、そこでバロンという小さな紳士の猫とその仲間、ムタ、トトに出会います。
この仲間とともに王国に乗り込むのですが…
【おすすめの名シーン・見せ場!】
まずは助けられた猫が仲間を引き連れて、ハルを猫の王国へ招き入れようとする〝誘いのシーン〟が見ものでしょうか。
タイトルが「猫の恩返し」ですからそこまではよいのですが、その猫による恩返しがいささか「ありがた迷惑」的な感もあって…。
その無理を押し通そうとする王国の国王とのやり取りも面白く、ハル、バロン、ムタ、トト、を含めた、それぞれのキャラクターの個性を隈なく見ていると、本作の滑稽味というか感動が、そこかしこに散りばめられていることがわかるでしょう。
【魅力】
猫の国があるというところにまず魅力を感じ、またその猫と普通に話ができ、仲間意識を共有できる「自由な空間」が大きな魅力と言えます。
普段私たちがいつも接している猫を思いつつ本作を観てみると、何だか自分もいつかこんな〝恩返し〟的なストーリーに巻き込まれるんじゃないかという、不思議な期待さえしてしまう。
その辺りの錯覚も、本作が秘めている重要な魅力と言えるでしょうか。
つまり「とても身近なストーリーに感動がある」ということで、しかしその手頃な感動はさらに天井にあるような、奥深い成り行きを醸し出します。
[ad#ad-1]第14位 『ホーホケキョ となりの山田くん』
監督:高畑勲
販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
発売日:2015年3月18日
【あらすじ】
山田家の人々を巡る、非常に日常的な生活譚が満載するオムニバス・ストーリー。
何気ない日常の出来ごとから、結婚式や一大イベントまでのロングスケールで構成され、1つの家族の絵巻を見せられ続ける〝特定のテーマがない設定〟でストーリーは成り立ちます。
山田のの子(小学3年生)、まつ子(母親・40歳)、たかし(父親・40歳)、のぼる(主人公・中学2年)が贈るめくるめくありふれた日常の輝きが、どこまでも仄々とする臨場のぬくもりを伝えてきます。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
本作に限り「これ!」と言ったおすすめの見せ場はありません。
しいて言えば「全体」でしょうか。
それだけ本作に組み込まれたストーリー構成は全体的に感動があり、見る人が見ればやみつきにさせられてしまうほどの、特異な魅力が満載しています。
またしいて言うならば、まつ子とたかしの、どこにでもありながらどこか現実にはない〝あこがれを持たせるぬくもり〟を、その滑稽味とともに伝えられるでしょう。
【魅力】
これも本作に限り、全体的に魅力が活きています。
確かに見る人が見れば退屈で、これと言って特典のない作品に思えるかも知れませんが、少し別の角度から覗いてみると、意外や意外の感動をもって、これまでジブリアニメには感じたことのない、〝ドラマサイズながら底なしの魅力〟を得ることと思います。
その魅力はおそらく、皆さんがすでに体験している〝日常の空間〟からやってきているようで、それでいて作品世界に「消えないあこがれ」を持たせてくるという、奇想の仕上がりです。
「2次元のうちに3次元を観る…」、本作はそれをジブリ作品の中で最大限に伝えてくれます。
第13位 『千と千尋の神隠し』
監督:宮崎駿
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2002年7月19日
【あらすじ】
少女・千尋(10歳)はある日、両親と引っ越しに向かう途中、長くて先が見えないトンネルに出くわしました。
そこで少し休憩をしていたところ、突然両親が豚に変えられてしまいます。
千尋とともに人気のない街に迷い込んだ両親は、そこでまるで人が変わったように暴飲暴食を働き、それがもとで神々に呪いをかけられて豚になります。
その両親を助けようと千尋は、八百万の神が支配する妖怪の国へと旅立ちます。
そこでハクという、昔、千尋と1度会っている川の化身―また竜の化身でもある―イケメン男子と出会い、千尋はそのハクに妖怪の国を案内されます。
その国では「仕事を持たないと生きていけない」という凝り固まった掟があり、千尋は湯屋で懸命に働き、何とか両親を助けるヒントを得ようと奮迅します。
その湯屋には湯婆婆(ゆばあば)という頭のデカい主がおり、千尋は彼女に名前を奪われ、そこで一生こき使われる運命になりかけます。
ですが湯婆婆の姉・銭婆(ぜにーば)の登場により、何とか千尋はその窮地を脱出し、自分のテリトリーを守り抜きます。
しているうちにハクはハクで自分の運命を変えるため、ある挑戦に出ますが、そこで致命的に傷つけられてしまい、千尋はこのハクをまた何とか助けようと試みます。
そしてハクと千尋は協力し合い、その妖怪の国の主・湯婆婆に千尋の両親の呪いを解かせようと詰め寄りますが…。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
●千尋の両親の暴飲暴食
千尋の両親は引っ越し途中の街中で、別人のように暴飲暴食します。
このときの段々形相が変わっていく両親の表情が、何だかおぞましさと悲しさとを秘めた、不思議な情景を醸し出します。
ここから物語は一気に展開していきますので、どうぞこの場面を深々ご注目下さい。
●ハクとの出会い
千尋はハクという、昔に会ったことのあるイケメン男子と、妖怪の国で過ごします。
ハクはハクで悲しい事情を持ち、千尋の「両親を助けたい」という目当てと同じく、ハクには「自分を助けたい」というハードな目標があります。
この辺りのキャラクターそれぞれの躍動が本作を終始形容していますので、ぜひキャラクター1つずつの背景を吟味しながら観て下さい。
●湯婆婆と銭婆
湯婆婆と銭婆は姉妹ですが性格は真逆で、その〝反対同士のかけ合い〟が本作の大きな滑稽味となって生きています。
この2人がいるからこそストーリーに迫力が生まれ、ますます作品世界に引き込ませていく〝尽きない魅力〟を作り上げます。
●カオナシの暴飲暴食
カオナシはある日、客として湯屋を訪れます。
湯屋なので当然お風呂に入りにきました。
このカオナシは過去の出来ごとをきっかけに、千尋のことをとても好いています。
そして千尋に認めてもらおうと何とか告白をしますが、当の千尋はそれどころじゃなく、その告白に全く応えません。
それに怒ったカオナシは、湯屋にいる客から従業員までを、次々に呑んでいきます。そして肥え太った巨大となり、今度は独裁的に千尋を追いかけます。
このスピーディかつ奥深い展開に、人の欲深な深意が薄ら見えて、アニメ世界から現実の人間描写が垣間見られる貴重なシーンを抽出できます。
どうぞその辺りの経過を上手く拾って、あなたなりの解釈を得てみて下さい。その奥底には、特殊な〝闇〟が見えるかも知れません。
【魅力】
本作のプロットは子ども向けのようでいて、実はとても奥深いもの。
私たち人間の誰もが持つ「欲望」というテーマを扱いながら、それへの脚色をさまざまな角度で試み、やがては「人にとってどうしようもないエゴ」の部分を非常にリアルに浮き彫っているようです。
この「子ども向け」と「リアル」との間に、本作の魅力がぎっしり詰まっていることでしょう。
第12位 『ハウルの動く城』
監督:宮崎駿
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2005年11月16日
【あらすじ】
作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジー小説『魔法使いハウルと火の悪魔』(イギリス)を原作にしたジブリ映画で、少女から老婆にされてしまったソフィーと魔法使いハウルとの不思議な冒険譚を描く至高の作品。
主人公のソフィー・ハッタ―はある街に住む普通の女の子(18歳)だったが、荒野に住む魔女の呪いのせいで90歳の老婆に変えられてしまう。
そんな予期せぬハプニングのため、ソフィーは仕方なく街を去っていくが、その途中でハウルの仲間・カカシのカブと出会い、カブの案内でハウルの城へ行くことになった。
そのとき世界は戦争状態にあり、ひょんなことからソフィーと知り合ったハウルは「ソフィーを守るため」と戦場に赴く。
ソフィーはハウルを追うが、ハウルには別の秘密もある。
それは「自分の心臓を取り戻さなければ、再び生来の気力は宿らない」という悲壮なものだった。
ハウルの心臓を火の悪魔・カルシファーから取り戻したソフィーは、その後もハウルとともにむつまじく過ごしていく。
それからハウルの城は皆を乗せたまま、澄んだ大空へ向けて飛んでいくのだった。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
「見せ場」を言えば〝ストーリー全体〟となります。
『ハウル…』は各場面がやはりストーリー全体と密接に絡んでいますので、「1場面」を区切ってご紹介するのは難しいです。
なので、ストーリー全体を通して観ることで「この場面がこの結末につながっているから見せ場になる!」という、連動的な見方をおすすめします。
しいてあげるなら、やはり「ソフィーが90歳の老婆へと変えられてしまうシーン」と、「ソフィーによってハウルの心臓が取り戻されるシーン」でしょうか。
この2つのシーンをもって本作のメインストーリーは成り立っているように思えますので、この2つのシーンを見逃してしまっては、本作の醍醐味は味わえないように思います。
【魅力】
いろんな魔法使いと人間が共存しながら、大空を駆け巡るという〝とてもメルヘンチックな場面〟が満載です!
とくに、ハウルとソフィーが2人手に手を取って、「空中のデート」をする場面はめちゃくちゃ気持ちよいものに映るでしょう!(ちょうどストーリーの中盤辺りです)。
そして魔法使いと言えども万能ではないところが面白く、人間と同様に〝それぞれの苦悩や落胆〟なども背負って持っており、その辺りに臨場味があって興味深い。
ぜひ各キャラクターの背景を追いかけながら、ストーリーと各場面をつなぎ合わせてお楽しみ下さい。
第11位 『耳をすませば』
監督:近藤喜文
出演:本名陽子、高橋一生、高山みなみ他
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2002年5月24日
【あらすじ】
主人公・月島雫は読書好きの中学3年生。
ある日父親が勤める図書館で借りた本に、「天沢聖司」なる人物の名前が記された図書カードが挟まれていた。
このときから雫の心は、この「天沢聖司」がいったいどんな人間なのか、ということがとても気になり始める。
またある日に雫は、学校帰りに友人・夕子とともに原曲「カントリー・ロード」の翻訳に挑んでいた。
魅力的なタイトルをつけてみようと「コンクリ―・ロード」という珍妙なものも案出された。
2人は帰ろうとして帰路へ就くも、雫はベンチに忘れ物をしており、もう1度ベンチに引き返す。するとそこに見知らぬ男子が立っており、
「コンクリ-・ロードはやめた方がいいよ」
とアドバイスされる。
それから少し経ち、雫は図書館へ向かう途中で猫に出会い、その猫を追ううちに「地球屋」という古道具店に辿り着く。
そこには猫のフィギュア「バロン」やからくり時計など、いろいろな骨とう品めいたものが並んでいて、雫は何となくその店に興味を持つ。
また新学期が始まったある日にその「地球屋」へ行くと、いつかの猫と、見知らぬ男子がいた。
雫は男子と猫とともに店内に入り、そこでその男子があの「天沢聖司」であることを知る。
そして店内には天沢聖司の楽器仲間が幾人もおり、それまでに雫が翻訳していた『カントリー・ロード』を皆で演奏して歌う。この頃から雫と聖司は淡い恋心を互いに抱いていた。
聖司にはイタリアで修行し「ヴァイオリン職人になる」という夢があり、雫もそれを応援する。
2人は「もう少しお互いに成長したら、結婚しよう」という約束をした。
【おすすめの名シーン・見せ場!】
・「天沢聖司」という図書カードを初めて雫が見る場面
・「地球屋」での演奏会
・聖司と雫の告白の場面
この3つがおすすめの見せ場!
どれも本作のストーリーには欠かせない重要な場面で、とくに最後の「聖司と雫の告白の場面」に行き着くまでには上の場面での展開が必須の要素になります。
聖司の真剣な「ヴァイオリン職人になる」という夢を応援する雫の姿と、まだ若い中学生の2人が互いに「結婚しよう」と約束する甘酸っぱくも素敵なストーリーが、何とも心を強く打つことでしょう。
【魅力】
中学生という若い2人が「夢に向かって前進する!」というストーリーだけで、本作のほぼ全ての魅力がみなぎってくると思います。
その「夢」や「淡い恋愛譚から婚約にまで展開するストーリー」は、冒頭の「天沢聖司という名前が記された図書カードの発見」から始まります。
この〝その後の素晴らしく魅力的な展開を想わせてくる冒頭の始まり方〟が、本作の魅力への第1歩を大きく奏でています。
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