猫の恩返しの簡単なあらすじ&感想とともに5つの名シーンを一挙公開!※ネタバレ解説

猫の恩返し
猫の恩返し

森田宏幸監督が2002年にメガホンを取り、ジブリ・アニメーション化で前作の『耳をすませば』のスピンオフ作品として甦らせた傑作。

『耳をすませば』で登場する月島雫(つきしましずく)がストーリー中に書いた小説を本作としており、その小説中に登場する猫(バロンとムーン)が、『耳をすませば』と本作とに共演する形で登場している。

これは宮崎駿のリクエストをうけて柊あおいが描き下ろしたコミック『バロン 猫の男爵』が原作である。

今回は、本作『猫の恩返し』という作品がどのような作品だったかを振り返り、その魅力あふれるストーリーの1場面ずつをピックアップして、皆さんとその醍醐味を楽しんでみたいと思います。

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『猫の恩返し』詳細

【DVD】『猫の恩返し / ギブリーズ episode2』

出演:宮崎駿
監督:森田宏幸
販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2003年7月4日

【本】『バロン―猫の男爵(Animage comics special)』

著者:柊あおい
出版社:徳間書店スタジオジブリ事業本部
発売日:2002年5月1日

概要

原作:バロン 猫の男爵
著者:柊あおい
監督:森田宏幸

『耳をすませば』の直接の続編ではないが「月島雫が書いた物語」という位置づけであるため、実質的には続編に近く「続編は作らない」という方針を採るジブリが試みた唯一の続編相当作品である。
キャッチコピーは「猫になっても、いいんじゃないッ?」というもので、当時、『となりのトトロ』をはじめ、『火垂るの墓』や『魔女の宅急便』などからその采配を振るっていた糸井重里によるストロボコピーである。

日本国内の興行収入は64.6億円で2002年の邦画1位を記録し、DVDとVHSを合わせたビデオグラム出荷本数は2007年5月時点で72万本に上った。

主な登場人物/声優

吉岡ハル(よしおかハル)/声:池脇千鶴
猫の言葉がなぜかわかる不思議な女子高生。
朝はなかなか起きられないで、いつも学校は遅刻し気味。
あまり自立しておらず、子供っぽい性格の持ち主でもあるため、プライベートや学校生活は比較的でバタバタしている。
加えて根っからのドジっ子。
母親は仕事をしており多忙で、家事(炊事・洗濯)はハルが引き受けている。
学校では、すでに別の彼女がいるクラスメイトの町田君に恋をしていた。
ある日、猫が車の事故に遭いそうだったのを助けた際に、自分もトラブルに巻き込まれそうになり後悔していたが、ストーリー途中で猫の王国から現れた〝猫の使者〟との出会いを含め、その後に会った王国のキーパーソン的存在・バロンのことが段々気になり始める。

バロン(正式名:フンベルト・フォン・ジッキンゲン)/声:袴田吉彦
「猫の事務所」(原作では「地球屋」という名前がある)の所長。
「男爵」という設定で、身の丈30センチほどの、二足歩行で歩く猫の獣人。
タキシード姿にステッキを持っており、イギリス紳士を連想させる風貌をしているが、名前はどちらかというとドイツ貴族に近い。
性格は如何なる時でも冷静沈着、紳士的でムタ曰く「キザ」。
剣術の腕前は一流で、身体能力にも優れているクライマックスの1シーンで、ハルに対し「俺を信じろ!」と、なかなかたくましいセリフを言っている。

ムタ(正式名:ルナルド・ムーン)/声:渡辺哲
バロンの仲間の太った猫。
普段は商店街をウロウロしている。
口が悪く短気で気難しいが、根は善良で、いざという時には頼りになる。
ハルをかなり上の階段に放り投げることができるほどの怪力の持ち主。
作中で「おれはハッキリした女が好きなんだ」と語り、半ばハルに対して比較対象を促している。
「ムタ」という名前は、元々「耳をすませば」にて原田夕子(主人公・月島雫の友だち)の自宅近くに居住する幼女が独自に名付けた名前である。

トト/声:斉藤洋介
バロンの仲間のカラス(原作ではカササギ)。
普段は石像だが、事務所が動き出すと知性を持つ様になる。
ムタとは喧嘩ばかりしているが、困難にぶつかった時は力を合わせている。
色々とハルやバロンの手助けをする。
たくさんの仲間の群れを呼ぶことができる。

ルーン/声:山田孝之
猫の国の王子。
恋人(恋猫)のユキが好きだったお魚型のクッキーを探し人間界に来ていて、車に轢かれそうになったところをハルに救われる。
猫王を反面教師にしてきたため、父親と違って誠実で真面目な性格をしている。
とてもマイペースな性格。

ユキ/声:前田亜季
ハルが幼い頃に出逢った白猫。
ハルを助ける為に彼女を「猫の事務所」へと導いた「不思議な声」の張本人。
悲しそうな垂れ目をしている。
かつてハルに食べさせてもらったことから、人間界で売っている魚の形をしたクッキーが好物。
ルーンとは恋人(恋猫)関係にあり、終盤にプロポーズを受ける。

猫王/声:丹波哲郎
猫の国の王で、王子・ルーンの父親。
青と赤のオッドアイである。
我侭な暴君だが、最高権力者なので誰も逆らえない。
ルーンを溺愛するが、彼を人間の娘と結婚させようと、彼やハルの意思を全く無視して2人の結婚を強行しようとする。
しかし論理も性格もメチャクチャな王様。
猫でありながらハルに結婚を迫り、その迫り方が余りに強引すぎたため、ハルから「このヘンタイ猫~!」と怒られた。

ナトリ/声:佐戸井けん太
猫王の第一秘書。
非常に有能で猫王を頭脳面でサポートしている。
冷静沈着な性格で、猫王の支離滅裂な命令もきちんとこなす(しかし、猫王が塔を爆破すると言い出した際は、「猫王の好感度が下がる」と判断して普段の冷静さを失いパニックになったことがある)。

ナトル/声:濱田マリ
猫王の第二秘書。
垂れ下がった耳が特徴的で、ナトリと違って能天気な性格。
半ば強引にハルを猫の国に連れてきた。
原作では大、中、小と3匹いる。

吉岡直子(よしおかなおこ)/声:岡江久美子
ハルの母。
夫はおらず、一軒家で娘のハルと2人で暮らしている。
パッチワークの仕事で生計を立てている。

ひろみ/声:佐藤仁美
ハルの親友でクラスメイト。
ラクロス部に所属している。
明るく思ったことをはっきりと言う性格。
同じクラスメイトで卓球部の柘植君がお気に入りで試合があったら真っ先に見に行く。
なお、ハルは彼女のラクロスのスティックを使ってルーンを助けたが、その際にスティックは折れてしまい、後に自宅に大量のスティックが送られた(事情が事情だったので、ひろみは怒らなかった)。

チカ/声:本名陽子
ハルのクラスメイト。
泣きぼくろがあり、眼鏡をかけている。
ひろみと卓球部の試合を観に来ていた。
劇中では名前は明かされない。

引用元:wikipedia

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【簡単】3分でわかる『猫の恩返し』のあらすじ

女子高生・吉岡ハルは、学校に遅刻したある日の放課後、ラクロス部である親友のひろみと家路についていた。
道中、何かをくわえた見かけない猫がトラックに轢かれそうになるのを目撃、咄嗟にひろみのラクロスのスティックを使って助ける。

助けられた猫は王国に一旦帰り、その後、「助けてくれたお礼」にとハルの家の玄関前に、大量の贈り物を届ける。
それが全て猫がもらって喜びそうな股旅やネズミなどであったため、ハルは困惑してしまう。

「こんなのいらない!」と怒るハルに今度は、「ハルを猫の王国に案内しよう」という猫王国紀行のお礼にすり替わる。

ここからハルの、猫の王国と現実の世界とを往来する「不思議な物語」が始まっていく(案内というが、猫の王国への紀行はほとんど強制的に連れ去られる形となる)。
そしてさらにハルは、「猫の王国に着いたあかつきには、その国の王様がハルを妃(お嫁さん)にしようと言っている」という告白も受けてしまう。

「猫のお嫁さんにされてしまう!」とそれを嫌い、唯々困惑するハルにどこからともなく声が聞こえた。

「猫の事務所を探して。
十字街に居る白い大きな猫が教えてくれるから」

誰の声とも知れず風のように流れてきたその音に、ハルはふらとその声に従い、ある日の学校帰り、ずっと気にかかるその言葉に従てハルは不思議な街へ辿り着いてしまう。

その街へは、あの独特の大きな猫・ムタに案内された。
その不思議な街にあった小さな家「猫の事務所」に連れられたハルはそこで男爵・バロンと出会う。

そうしている中、他の猫の集団がその事務所を襲う形で現れ、そのままハルを王国へ連れ去ってしまう。
それを追いかけるバロンとムタと、あとからやって来たトト。

猫の王国に着いてしまったハルは、そこで想像を超えた世界と出会う。
猫や他の動物たちがみんな「自分(ハル)にわかる言葉」を喋り、またその環境も人間の世界とは全く違った。

そしてなんと、「猫のお嫁さん」にされるという約束の下、ハルはその身体を猫のように変えられてしまった。
益々焦るハル。

強引な流れをもって「ハルの結婚式」の準備が勧められるその王国に、やっとバロン率いるハルの味方的存在・ムタとトトが現れた。

ついに結婚の準備が整い、改めて国王がハルに結婚を迫ったところ、ハルはそれまでのパニックと焦りを一気にその王にぶつけるごとく、「ぜったいイヤ!」という旨を独白する。

それに怒り、ほとんど自己中的に暴れ出した国王に、バロン・ムタ・トトがハルを救うべく、さっそうと戦いを挑んでいく。

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『猫の恩返し』8つの魅力!

【その1】ありふれた日常生活

猫の王国やバロンと出会う前のハルはごくありふれた女子高生で、その生活ぶりも、仕事で忙しい母親と暮らしながら家事を手伝っていたり、学校では片思いの男子生徒がいたりと、それなりに充実した暮らしをしています。

そんなハルの日常生活ぶりと、後に現れる「猫が見せる幻想的な世界」とのギャップが、爽快なほどに興味深く、展開が進むにつれ「このあとはどうなるんだろう?」という「次」を期待させる面白さを満載にしてくれます。

本作のメインストーリーはもちろん「人と猫との不思議な交流」にありますが、その前段階であるこの「ハルを囲んだ日常的な風景」も、ストーリーを楽しむ前の〝まくら的存在のステップ〟として楽しむことができます。

【その2】現実では叶えられない、動物と人との深みのある交流

現実ではもちろん、人は動物の言葉がわからず、また動物も人の言葉がわかりません。
細かな話で言えば「動物学」では〝動物が人の心や心理を理解している〟というような一般論もあがるものですが、普通の感覚で言ってわかりませんよね?
その〝普通の感覚〟を打破するかのごとく、本作のメインテーマはこの「人と動物の交流をできるだけ深くえぐる!」といった、少々マニアックな世界観を醸し出します。

このマニアックな交流模様を観るうちに、段々それが「当たり前」という認識を視聴者に与えてくるもので、この魔力というか求心力というか魅力というか、得体の知れない〝不思議な力〟というものが始終つきまとう本作のあり方には、きっとヒューマンドラマだけでは描き切れない、暖かみのある、幻想的な感動を受け取らされてしまうことでしょう。

【その3】猫の描き方が個性的!

猫、と言ってしまえば「ただ人の回りにいる動物・ペット」といった、半ば一般的な見解や認識に陥ってしまえるものですが、この猫の描き方にご注目下さい。

その「ただの動物・ペット」の認識を覆すかのごとく、猫をキャラクターに仕立て上げるその描写法には〝並々ならぬ筆勢〟のようなものが浮き立ちます。

登場する全ての猫の個性を見事と言えるほどに使い分け、ハルに対する猫、ハルに(まるで)敵対する猫、またハルから少し距離を持った〝他人のような存在を想わす猫〟といった風に、ハルという登場人物を「1人の人間」に見立てた上、さまざまな独自の能力によってその立場を彩らせた、不思議な〝現実もどきの世界〟を引き立てます。

この描写全てをもって言えることは、きっと「現実でもこんな世界があったらいいなぁ」「いやいや、こんな猫の世界なんて代物があったらそれだけでおっかない!」などという非常にリアル感に満ちた、〝幻想を離れた感想と刺激〟を与えられてしまうのではないでしょうか?
この〝たった猫にしてもその独自の個性を極限にまで引き出す・引き立たせる〟というジブリ映画ならではの擬人法の妙味に、アニメ枠をスッと超えられる格段の魅力が潜在しているのでしょう。
それでいてなお面白いのです。

【その4】バロンのたのもしさ

「バロン」という英語を和訳すればそれは「男爵」で、「男爵」とは英国の貴族階級では最下位に位置する階級ですが、一般の人に比べればちゃんと爵位を持った、立派な社会的地位を付与された人物になります。
その風貌というか内実(なかみ)を不断に持ったキャラクターがこのバロンであり、バロンは、非現実的な経過を沢山通って〝少し恐怖を持たせる猫の国〟へいざなわれて行くハルを援護する役に徹します。

このときのバロンの表情の頼もしさったらない!
登場始めは「全長30センチにも満たないただの小っちゃな猫(の置物)?」的な存在だったバロンだったのが、ストーリーが進むにつれ、格段に男らしく、格好よく、また常に女性をリードし護ってくれる〝人間の世界においても女性が常に「そばにいてほしい」と思える理想の男性〟のように振る舞い、そのストーリーの後半では常にハルにとって〝なくてはならない人?〟のような存在に成長してしまいます。

この変貌ぶりとストーリー経過の面白さに、ぜひご堪能するとともに、バロンの変化とその〝変化〟に段々〝恋心〟を募らせていくハルの移り変わりをお楽しみ下さい。

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【その5】脇役の地固め

やはりムタやトトといった、サブ主人公的なバロンの横でも常に場面を脚色してくれる「脇役たちの暗躍・活躍ぶり」が、終始本作のストーリーには息衝いていると言ってよいでしょう。

「脇役が生きることによって初めてその漫画・アニメは充実した成功を得る」という格言めいた言葉がありますが、まさに本作の校正はこの〝成功〟に基づいた作りをしています。

何が面白いかと言えば、ムタもトトも「真面目なシーンでこそ、たっぷりユーモアを含めた振る舞いをする」のが得意なキャラで、その機転をストーリーの要所で届ける存在となっており、またその機転がストーリー経過にあるていどの変化や脚色・演出をもたらしてしまえるほどの、非常に味のあるサブメインキャラに成長していく様子、と言えるでしょうか。
それによって視聴者の「観るべき点」をパッパッと変えていき、常に1つのストーリーをあらゆる視点によって楽しませる効果を視聴者の心に届け、そのストーリーの一本調子(マンネリ)を「飽きさせないもの」にするためのバランスを図ってくれます。

ぜひ主人公キャラを観るときには、このサブキャラの活躍ぶりも一緒にご堪能下さい。
ジブリ映画ではよくある演出効果です。

【その6】大きな刺激をきっかけに、人は成長する

人は何かを刺激に見て、その刺激による情報を心にインプットしてその後の成長を遂げていくものです。
この刺激というのはさまざまであり、日常的な物ごとから、半ば幻想的な物ごとまでが存在し、その大小を問わず、人の心に刻み込まれた刺激は「それまでになかった発見や思考法」をその人に与え、その人の人間性を成長させるものです。

ハルも同じです。

ハルははじめ、ごくありふれた日常生活に身を浸しており、その経過の延長で、「猫の王国」やバロン、バロンの仲間であるムタやトトと出会って成長を遂げていきます。

本作中でハルは、この「猫の王国」を経験することで〝自立心〟を自分の心に芽生えさせ、その前後では全く違ったあり方をうかがわせます。

それまで生活においてモジモジしていた部分がさっそうと消え、その後は「独立した女性」を気取れる〝お姉さん的な存在〟になるわけです。

「猫語がわかる不思議な女子高生」や「猫の王国」、また「猫の独自性を思わせてくるバロンやムタといった、特徴的・強力なキャラクター」をこしらえながらも、きちんとこうした「人の成長や、それによって得られる環境の変化」なども脚色に入れ、見事に人間賛歌を謳っている点は、ただの「幻想アニメ」としてしまうには勿体ない〝魅力〟があふれてきます。

【その7】躍動感が見せるリアリティ

ジブリ映画ではたいていそうですが、各キャラクターの動きや周りの物の流れが非常にイキイキとした速さを持ち、その〝速さ〟をもってストーリーの脚色に大きく「躍動の魅力」を添付する作業が多く見られるものです。

本作のストーリー効果にも実にこの〝躍動の速さと魅力〟があふれていて、とくにストーリー後半部分からの演出にはキャラクターだけでなく、背景・環境設定の移り変わりが〝リアリティを想わす流動〟を垣間見せます。

ですが後半の〝動き〟もさることながら、本作の場合はストーリー冒頭からこの演出効果が活用されており、「初めから終わりまで、飽きることなく楽しめる痛快の1作」に仕立て上げられています。
この辺りの〝リアルな躍動感〟を、ぜひご堪能下さい。

【その8】構成力の柔軟性

本作では猫が〝人の相手〟としてピックアップされ、主人公・ハルの恋人のようにまで引き上げられるという、擬人化をもじる演出法が取られています。

そのピックアップされた動物は猫であり、その猫の内面を引き出す形で、ハルという女子高生の恋人役・頼られる存在として描き尽します。

一般的に、猫というのはとくに〝女性的なイメージ〟がつけられやすいもの。
「犬は前足を常に開く形で堂々と立ち、また吠える声が大きいこと、加えて猟犬などの性質のあり方」から、そのあり方がいかにも男性的なイメージとして定着するのは一応の既説に聞えます。
逆に猫は「前足を揃えてしなやかに立ち、声はねこなで声で愛らしく、家の外よりも比較的屋内に住み着くという点」で、そのあり方は女性の性質に似ていると言われるものです。

この先行する一般的な〝イメージ〟をもって言えば、主人公・ハルという女性の相手役としては恰も男性役が採られて然りというところですが、そこを敢えて〝女性的イメージ〟が付く猫をその相手役に選び、女性であるハルとの恋物語までを描くという、何とも一般のイメージ・偏見からはかけ離れた構成が取られた点は、さすがにジブリアニメに形容される「構成力の柔軟性」を思わされます。

この辺りの面白さ・興味深さにもぜひピックアップの目を光らせて、あなたなりの〝構成から得られる魅力〟を引き出してみて下さい。

ジブリアニメの〝魅力〟といえば、先述したように「リアリティあふれる躍動感」から「各キャラクターの独特の個性」、また「脇役たちの活躍ぶり」がどうしても外せない形で活き出しますが、やはりアニメを観る上では「そのストーリーの内容に見られる重厚さ」への視点も〝楽しむための大事な要素〟になってきます。

次はその〝楽しむための要素〟の1つ1つをピックアップし、そこで感じられた率直なイメージや感動を、簡潔かつ魅力的にお伝えしてみたいと思います。

それでは本作の【名シーン】(名場面)を厳選して5つ、ご紹介してみます。

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『猫の恩返し』の5つの名シーン!(名場面)

【その1】猫の王国から1匹の猫が、ハルを迎えにくる

ストーリー前半のシーンですが、事故に遭う直前の猫を助けたハルはその夜、(ストーリー現在で)どこから来たのかわからない、1匹の不思議な猫が玄関口に立っているのを見かけます。
そしてその猫は頓狂な声と調子でハルに、「ぜひ王国からの贈り物をお受け取り下さい!あのとき猫を助けてくれたお礼です」と言われ、大量の「猫だけが喜ぶ数々の贈り物」をもらうハメになります。

このときのハルと1匹の猫との調子外れなやり取りが実に面白く、その前後のストーリーを滑稽に盛り上げる重要なシーンともなるものでしょう。

【その2】不思議な街の小さな事務所で、ハルはバロンと出会う

ある日、ハルはムタに連れられて行った見知らぬ街の「猫の事務所」という家で、大きさ役30センチの男爵・バロンに出会います。
ムタとバロンはその性格が正反対で、バロンは紳士を気取る英国貴族風のさっそうとしたナイト、一方ムタは何ごとにでもドンと構えて動じない大御所タイプの与太の出で立ち。

この事務所に入ってからそれまでの空気感が一気に変わり、いかにもメルヘンな、幻想的な世界観が活性してきます。
そこで交わされるバロンとハルの会話をはじめ、ムタとトトのじゃれあい、また突然に襲ってくる猫の群れの動きまでが実にお伽風の仕上がりで、ストーリーの醍醐味であろうノスタルジックな感覚を、一気に膨張させてくれるまでの〝不思議な景観〟を漂わせてきます。

【その3】ハル、猫に変身する

猫の王国に連れ去られたあとのハル。
そのハルの容姿は、段々とその国にふさわしいように、猫の身体的特徴を取らされていきます。
髭が生え、耳が生え、尻尾が生えてしまい、顔つきや仕種までが猫そのものを想わす、一見、可愛らしいものに変えられていきます。

ですが、ハルはその経過をことに嫌い(というか怯え)、「自分が猫になること」から何とか逃れようと試みます。

もちろんその嫌がりようには「猫のお嫁さんにされる!」というハルにとっては〝悲劇的な結末(ゴール)〟があったからですが、それでも、バロンと交流を深めるうちに、段々またその猫の姿・あり方に愛着を沸かせるような、不思議な心境の移り変わりを見せてくれます。

このハルに見られる、猫になり始めの「嫌がりよう」と段々経過に従い「猫の姿に愛着を覚えるような表情」の2つを対照させてみることで、本作の主人公・ハルのあり方がやや詳細に見えてくるでしょうか。

【その4】ハルへの別れを告げるバロン

猫の王国を脱出したバロンとハル。
ハルはそこで、バロンからお別れを告げられます。

「この猫の国の脅威から堂々と脱出することができた君は、これからは1人立ちして、自分を見失わずに生きていくんだ」
というような旨を、淡々と、さっそうと、告げられます。
そして、
「もしハルが本当に私たちのことを必要としたなら、きっとまた猫の事務所の扉は開くだろう。
そのときまで、しばしの別れ!」
そしてその後の人生を模索しながら歩んで行こうとするハルに、
「恐れることはない。
遠いものは大きく、近いものは小さく見えるだけのことだ」
と言い、バロンは1人立ちしていくハルを最大限の賛辞をもって励まします。

何となく『ラビリンス~魔王の迷宮~』(監督:ジム・ヘンソン、出演:ジェニファー・コネリー、デヴィッド・ボウイ、1986年、アメリカ)のラストシーンに似ていますが、それまでともに戦い、喜怒哀楽を分かち合ったことで恋を覚えた、そのバロンとの別れを悲しむハルにとっては、至高に悲しく、また転機を迎えた出発点とも言えるシーンになるでしょう。

このときのバロンのセリフもそうですが、その1つ1つに応えるハルのセリフや表情もまた、それまでのストーリーを締めくくる感動的なラストを魅せてくれます。

【その5】ハルに結婚を迫る、猫の国の国王

ハルが猫の王国へ着いた後、さっそくあの〝自宅に土産を大量に持ってきた猫〟の伝達通り、そこの国王がハルに求婚してきます。
これにハルは戸惑いながらも猛反対!
「このヘンタイ猫~!!」
と一蹴するハルと、された国王とのかけ合いの滑稽さは、まるでドツキ漫才を観ているような珍妙なシーンに映るものでしょう。
本作のストーリー中、1番率直に「面白い!」と言える場面かも知れません。

ここでも擬人化されたそれぞれの猫の脚色が光り、国王を取り巻く猫たちのハルに対する振る舞いのあり方が滑稽と言うより魅力的で、それはまるで人間の世界でも普通に見られるような、〝真面目に線引きされた厳粛と逸脱〟の気色さえうかがわせてきます。

ムードは珍妙かつ滑稽ですが、そのストーリー構成にはとても緻密に練られたプロット作成があるようにも見え、面白いながらにも斬新な感動を伝えるためのギミック的設定が、この「求婚の場面」(国王がハルに愛情を掻き立てる場面全般―嫉妬も含めて)の要所に散りばめられている様子です。

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感想&まとめ

私は本作を社会人になってから初めて観ましたが、やはりジブリアニメの爽快な〝幻想の世界〟に打ちのめされるほど、その作品が持つ独特の世界観にどっぷりハマらされたことを記憶しています。

猫の擬人化はさることながら、その擬人化されたオリジナリティあふれる猫たちと、人間世界の日常からやってきたハルとのメルヘン・滑稽味あふれる展開が、他のジブリ作にはない「動物と人との、何気なくも深い絆を思わすストーリー描写」をはっきり植えつけられました。

面白いながらにもそのストーリーには文学的な感覚があって、確かにキャラクター構成では猫や女の子といった〝子どもじみた遊び〟のようなものを感じさせられますが、そのキャラクターの背景(うしろ)で進んでいるストーリー演出には「なかなかその感動を消化するのに手ごわい、人が自立する上で大切なものへの解釈」といった、隠れた妙味が彩られているように感じた次第です。

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