『相棒』シリーズは2000年6月から放送がスタートし、これまでとても多くの熱狂的ファンを獲得してきた(いえば)長寿番組の1つです。
和泉聖治監督の下で主人公の杉下右京(水谷豊)をはじめ、その相棒役に亀山薫(寺脇康文)、神戸尊(及川光博)、甲斐享(成宮寛貴)、冠城亘(反町隆史)と個性あふれるキャラクターを用意し、さまざまに起こる難解事件・凶悪事件への解決に挑んでいきます。
今回はこの『相棒』シリーズを飽きるほどに観てきた私が、『相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』の魅力と構成シーンのすばらしさ(見せ場)について、存分に語り尽くしたいと思います。
『相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』詳細
監督:和泉聖治
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2008年10月22日
概要
人気テレビ刑事ドラマを映画化した大ヒット作!謎の連続殺人事件が発生。
その現場には、不可解な記号が残されていた。警察組織を嘲笑うかのような、犯人からの予測不能な連続爆破予告。
右京の推理と薫の行動力で犯人の狙いが「東京ビッグシティマラソン」だと判明したが、仕掛けられた罠は右京の推理を上回る巧妙さだった…。前売り券売上並びにオープニング動員数は好調で、GW期間の映画興行ランキング1位に輝き、2008年上半期での映画興行ランキングでも1位に輝いている。
前売り券の特典として「相棒 知恵の輪」と「相棒 ロゴ迷路ステッカー」のどちらかが用意された。
●受賞歴
第32回日本アカデミー賞優秀助演男優賞 寺脇康文
第26回ゴールデングロス賞 日本映画部門 優秀銀賞
キャッチコピーは「必ず、追いつめてみせます」。
主な登場人物
杉下右京
演:水谷豊
警視庁特命係係長、階級は警部。
性格は冷静沈着で理性的。
捜査一課らに疎まれながらも、鋭い洞察力と推理力で難事件を解決する。
亀山薫
演:寺脇康文
警視庁特命係刑事、階級は巡査部長。
右京と対照的な熱血漢かつお人好しな性格。
TVシリーズ当初は右京についていけないと思うことがあったが次第に右京の人柄を理解していき、現在では右京の良き相棒となる。
亀山美和子
演:鈴木砂羽
薫の妻でフリージャーナリスト。
薫とは大学時代からの付き合いで、TVシリーズでの紆余曲折を経て結婚、現在に至る。さばさばした性格。
今回はたまきと共に東京ビッグシティマラソンに参加している。
伊丹憲一
演:川原和久
警視庁捜査一課刑事、階級は巡査部長。
特命係のライバル的存在の「トリオ・ザ・捜一」の一人。
薫のライバルで何かと薫に突っかかってくるが、今回では協力して事件解決にあたる。
角田六郎
演:山西惇
警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策5課長、階級は警視。
「暇か?」を口癖によく特命係の部屋に入り浸ることが多い。
米沢守
演:六角精児
警視庁刑事部鑑識課員、階級は巡査部長。
趣味の落語を通じて右京と意気投合し、何かと特命係に協力するオタク的な人物。
内村完爾
演:片桐竜次
警視庁刑事部部長。階級は警視長。
刑事部の面子を重視し、特命係が独自に捜査をすることを快く思わないが、今作では、特命係の二人に片山雛子の警護の任務を命じる。
片山雛子
演:木村佳乃
元外務大臣片山擁一を父に持つ「平成未来派」に属する2世議員。右京と薫が関わった事件の中で、2人からの追求をかわした人物。
守村やよい
演:本仮屋ユイカ
大学生。木佐原芳信の娘。
一連の事件に塩谷が絡んでいると確信し、連続殺人事件の被害者に生前面会を求めていた。
かつての名は、「木佐原康江」だったが、兄の渡へのバッシングの影響により「守村やよい」へと名前を変える。
名義を変更することを勝手に決めた父に複雑な感情を抱いている。
塩谷和範
演:柏原崇
一連の事件の犯人と目される男。
木佐原渡の親友でNPOに誘ったことがある。
自分の代わりにエルドビアに行った渡に対し責任を感じている。
引用元:wikipedia
参照元:WEDGE Infinity
『相棒 劇場版』2分でわかるあらすじ
某人気ニュースキャスターが電波塔に吊るされる形で殺害された事件が発生し、その現場には「f6」という不明の暗号が残されていた。
その同じ頃、杉下右京は左翼過激派である「赤いカナリア」から爆弾つきの手紙が送りつけられた、衆議院議員片山雛子(木村佳乃)の護衛をする任務を負っていた。
その警備中、片山雛子が乗った車が突然何者かにより襲撃された。
そしてその襲撃現場にも、電波塔の事件のときと同じく謎の暗号が残されていた。
この2つの事件が暗号つながりで結びつく。
杉下右京と亀山薫は、一連の事件がインターネット上のSNSサイト内での擬似裁判で、死刑判決を受けた著名人を狙った連続殺人事件であることを突きとめる。
そしてその疑似裁判を利用し、2つの事件現場に謎の暗号を残した犯人が今度は東京ビッグシティマラソンを利用して、次の事件を目論んでいることにも気づく。
捜査するうちに、連続殺人事件の被害者達を訪ねまわる女性の存在が明らかになる。
そして被害者達を訪ねまわっていた女性・やよいは武藤弁護士に保護されたことを機に、事件の犯人とその犯行の目的を明確に知る。
犯人の男はやよいの元・大学の先輩であり、現在では爆弾を作る大規模な犯罪者として捜査されていた。
けれどやよいはこの先輩である男に一抹の恋心を寄せており、男を救うべく、男が潜伏していたアジトを割り出して実際に赴く。
赴いた先は地下壕であり、その男はすでに一連の事件を終えたあと、爆弾で自殺する覚悟を決めていた。
地下壕に入ったやよいと、やよいを追って同じく地下壕に入った杉下と亀山は、爆弾が爆発を止めてやよいを救おうとするが、無残にも爆弾はそのまま爆発し、犯人である男は死んでしまう。
【動画】相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン 予告編
[ad#ad-1]魅力のある構成と、各キャラクターの位置づけ
本作の見どころは何と言っても、「2つの事件が対照的に動いている」という点。
この展開にメインキャラクターである杉下右京と亀山をはじめ、脇役陣を固める捜査一課から国会議員、弁護士、警視庁までが総出でストーリーを展開していくところに、「スピーディな爽快&行き渡る満足感」が漂ってきます。
東京、あるいは国を揺るがすほどの大規模な事件が勃発している傍ら、お馴染みの伊丹刑事と亀山の軽妙な駆け引きがまた面白く、と同時に内村刑事部部長からのいつも通りのしつこい嫌味が幅を利かせていて、『相棒』ならではのサイケデリックな調子が思わず顔を覗かせてきます。
杉下はシャーロックホームズさながらの鋭い切れ味で捜査に乗り出しますが、相棒の亀山はワトソン君のようにはいかずいつもの低調で、尻上がり的な活躍を見せてきます。
まずはその杉下&亀山のいつも通りに安定したコンビの存在が本作の土台を打ちづけており、その土台に盛り込む形で、マラソンという公共の場所へと事件の発展を導いていきます。
このような土台と背景設定に裏打ちされるキャラクターの位置づけは、言えば遠隔から調子が取られた絶妙なバランスを図っていると言えます。
バランスを取る支点は4つ。
〔1〕
杉下と亀山をはじめ、伊丹・三浦・芹沢の3トリオは同じく警視庁からの捜査へ乗り出す。
〔2〕
内村、中園刑事部参事官(小野了)、大河内主席監察官(神保悟志)はその警視庁を少し上から眺めている監査役。
〔3〕
そして瀬戸内元法務大臣(津川雅彦)、片山外務大臣、武藤弁護士(松下由樹)はその捜査を担う警視庁一家を外から見守り、協力する「お客さん的なキャラ」の位置づけ。
〔4〕
そして犯人役である塩谷とやよいは、警視庁の沿革や捜査模様から一線外れた単独での独走キャラ。
この4つのキャラ設定・キャラの位置づけにより、本作の「バランスの取れた構成的魅力」は底力を発揮するほどイキイキしてきます。
↓参考DVD↓
【1】『相棒 Season15 ブルーレイBOX』
出演:水谷豊、反町隆史、鈴木杏樹
販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
発売日:2017年10月11日
【2】『相棒 Season4 DVD―BOX2』
出演:水谷豊、寺脇康文
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007年12月7日
【3】『相棒 Season3 DVD―BOX2』
出演:水谷豊、寺脇康文
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007年9月7日
『相棒 劇場版』の8つの名シーン・見せ場 ※ネタバレ
見せ場は十人十色でしょうが、ここは私の独断と偏見により、「ここぞ!」と思えたマニアックな見せ場も含めてご紹介します!
【その1】瀬戸内米蔵の登場シーン
まずは瀬戸内米蔵(せとうちよねぞう)こと、津川雅彦が登場するシーン。
片山雛子のよき父親役、あるいは伯父役のように出てくる米蔵は、いつどこででも鷹揚に構えたドンのような存在。
その存在感をじゅうぶん保ったまま、これまたいつどこででもプップカ嗜む煙草の煙が、米蔵の味をとてもいい感じに演出しています。
米蔵は杉下や亀山とも懇意の仲にあり、立場・社会的地位が元政治家ということもあって、警視庁部部長やはたまた官房長官の小野田(岸部一徳)よりも大きく構えることができ、その傘下で動きまわれる杉下と亀山の活躍は、なんだか観ててスカッとさせる清涼感さえ与えてきます。
いや米蔵の存在はとてもとっても大きなもの!と私的に捉えています。
【その2】有森裕子の登場シーン
相棒 劇場版では東京ビッグシティマラソンで、実際にアトランタで銅メダルを取った有森裕子が登場します。
お目玉的演出で登場させられたのでしょうが、この実物の登場シーンは、本作に象られるダークな事件模様や捜査の情景や光景を、まるで一新させてくれるような清々しさを与えてくれます。
【その3】守村やよい(本仮屋ユイカ)の単独捜査のシーン
捜査、というじゃありませんが、やよいは元大学の先輩である「恋をしていた人」を救うため、単独で(今は犯人の)先輩のヤサを探してまわります。
そのうちにいろいろな情報を嗅ぎつけ、それらを組み合わせ、遂に、思いを寄せ続けた先輩のアジトに辿り着く。
けれど先輩はもう戻れない状況に立ちはだかっており、いくら思いを寄せてくれた可愛い後輩の頼みでも、その信念を曲げることなく犯行を遂行してしまいます。
そのときのやよいの表情や心境のあり方なんかは、一度恋をしたことがある人なら、間違いなく悲哀を感じさせられ、とても魅力的なものに映っていることでしょう。
やよいの登場シーンから最後の結末シーンまでの変化を、どうぞお見逃しなくご堪能下さい!
【その4】伊丹と亀山の絡みシーン!
私的に一番好きなシーンなのです。
『相棒』といえば昔からこの伊丹&亀山の因縁がらみの掛け合いが面白く、また元捜査一課の亀山の残念な顔が浮き彫りになるほどの滑稽を見せてくれますが、本作でもその妙味は絶好的にバラエティを醸し出してくれています。
まるで子どもの喧嘩のような面白く絶妙の張り合いが、2人の人間性と、ちょっと可愛く見える主張の成り行きを垣間見せてくれます。
やはり『相棒』といえばこの2人の掛け合いは外せないでしょう。
[ad#ad-1]【その5】暗号を解読する杉下右京のスピーディさ!
これについては今さら多くを語らずとも皆さんご存知のことでしょうが、本作でも当然彼の推理は冴え渡ります。
この暗号というのは実はチェスの駒の盤上での位置のことで、同じくチェスが得意な杉下は、ネットで犯人の男とチェスをしているうちにピンときます。
この暗号解読から犯人を割り出し、犯人が潜り込んだアジトまで追い込んでいく場面が、おそらく本作一番の妙味!醍醐味!といってよいかも知れません。
【その6】無人ボートの追跡シーン
マラソン中の事件解決への捜査と、杉下、亀山、伊丹をはじめ捜査一課との絡み合い!
犯人は爆弾魔ですから、犯行場所の至る所に「爆弾を搭載した小道具」が用意されています。
ラジコンだったり、無人ボートだったり、そのまま手の込んだ時限爆弾だったり…。
杉下と亀山は捜査の一環で、ある陸橋に辿り着きます。
そのとき無人のボートが浮かんでいるのが見えました。
もちろん「その陸橋付近のどこかに爆弾がある」というネタはそれまでの捜査で挙がっています。
ここからが見せ場!
それを見つけた亀山はいつもの正義漢あふれる体育会系の役動力で、陸橋から川へ飛び込み、その無人のボートに乗り込もうとする。
けれどボートはとたんに走り出します。
そこで伊丹が別のボートで無人ボートを追い駆けていく途中、亀山もその伊丹が運転するボートに乗り込みます。
ここから、普段はいがみあっていた亀山と伊丹の共同作戦が始まります。
なんとも男気の絶えない熱い友情が、このシーンには満載でした。ぜひご堪能下さい!
【その7】杉下と亀山が犯人のアジトへ乗り込む!
本作のクライマックスとも言える大体的な見せ場でしょう。
はじめに乗り込んでいた(というより先輩に会いに行った)やよいをも救うべく、杉下と亀山はできるだけ犯人を刺激せずにアジトへ潜入し、爆弾を爆発させずに事件解決を図ろうと慎重になります。
けれどもなかなかアジトを特定できず、乗り込むまでにはかなりの時間がかかってしまう。
そのうちに爆弾はタイムリミットを刻んでしまい、とうとう爆発してしまう破目に…。
その爆発するほぼ直前に杉下はアジトへ潜入し、やよいと会うことができますが、爆弾の爆発直前ということもあり、結局そのアジトのさらに地下室にやよいを連れ込み、自分ともに身を隠す。けれど結局…。
やよいと先輩である犯人との再会、その二人を見守りながらも犯人である以上その男を逮捕しなければならない杉下と亀山。この辺りの臨場感はそれまでの展開を全て許容していく、抜群の魅力を醸し出します。
【その8】実は本当の犯人は…!?
確かに爆弾を作り、一連の事件を引き起こしてきた犯人は、やよいの元大学の先輩・爆弾魔の塩谷でしたが、最後にどんでん返し的な2次のクライマックスがやってきます。
それは一通りの捜査を終えて「事件解決」の印(いん)を打たれる直前のこと…。
「まだ事件は終わっていませんよ」
杉下の静かな一言が、ハッピーエンドかと思われた展開を大きく、または静かに、覆していきます。
過去に悲惨な運命を遂げたある青年の父親が、舞台の最後で登場してくる…。
やよいの先輩・塩谷の犯行も、実はこの父親の依頼により受けたもの?
なにはともあれ、最後の最後まで気の抜けない異例の展開が、ドラマならぬ映画仕立ての渾身の魅力を飾り立てます。
感想&まとめ
やはり何と言っても本作は『相棒』初期の杉下・亀山のコンビで送る壮大なスケールの作品だからか、最近に観る映画『相棒』とはまた一味違った、独特のノスタルジーと1つ1つの場面の〝冴え〟が煌めくように感じられます。
むしろ私は『相棒』ドラマシリーズの方を先に観ていたので、ドラマサイズで繰り広げられる〝人間味あふれる展開の魅力〟の方に傾倒していましたが、本作の醍醐味というか最後まで注目させられる底力のようなものは、このドラマサイズの哀愁を見事に演じ切る、(映画としては)少し異質の魅力に窺えました。
私的に「『相棒』の魅力と完成度は、人間模様のリアル感にある」と思っています。
どんなに大規模・凶悪な犯行や事件が起きていても、必ずその「犯行に至るまでの犯人側の哀しみ」というようなものが見えてきて、「事件解決できたからハッピー」とはいかない複雑な形容が取られています。
本作でもこの辺りの臨場感・寂寥感、また人間の正直さと愛情が、全ての展開に行き渡っていて、観終わった後の感想にもそれなりの感動が立ち込めました。
[ad#ad-1]相棒 -劇場版-を観る前におススメしたい『相棒』ドラマシリーズ
本作『相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』をご覧になる前に、ぜひ観てほしい『相棒』ドラマシリーズ作品を、ここで5品、ご紹介したいと思います。
「ああなるほど、『相棒』って元はこんなドラマから始まってだんだ」などと感想を先に植えつけておくことで、さらに本作の展開・仕上がりにも深い感動と予備知識を得ることができると思います!
ではさっそく・・・
Pre season「恐怖の切り裂き魔連続殺人!」(第2話)
シーズンに入る前のプレシーズンの傑作!
「平成の切り裂き魔」と異名をとる生瀬勝久演じる切り裂きジャックさながらの犯人の姿が、あまりにもハマりすぎて怖いくらい。
本作では亀山とこの犯人・浅倉禄郎(あさくらろくろう)との関係・絡みをメインに引き立て、その友情と理想が段々崩れていくシーンを前衛に出してきます。
この辺りの亀山の哀しみが何ともリアル。
もともと浅倉は法務省からも推薦されるほどの超エリート中のエリート。
けれど生活歴からくる悲惨な情景が、その心をゆがめてしまい、浅倉は後戻りのできない凶悪漢になってしまいます。
この浅倉と杉下と超エリート同士のかけ引きも超魅力的です!
Season1「警視総監室にダイナマイト男が乱入!」(第1話)
『相棒』シリーズ中第1話の処女作であり、これは半ばコメディドラマにも近いような、わくわくしながらも気軽に楽しめる、絶妙に面白い1作です。
和泉聖治監督の「遊び?」のような采配が切れ味よく発揮されていて、こともあろうに警視庁に立てこもる「ダイナマイト1本を持った冴えない男」の何とも言えない男気を讃えています。
この1作でおそらく、『相棒』シリーズの滑稽味の内実(なかみ)がわかることでしょう。
Season2「クイズ王」(第12話)
杉下右京の頭脳明晰なる実力に嫉妬した元クイズ王のある女性が、その嫉妬欲と自己顕示欲によって、遂に犯罪に手を染めてしまったという、日常にも見られそうな人間ドラマあふれる仕上がりになっています。
この1作はぜひ実際にご覧になって、その興味深(おもしろ)さと感動を味わってほしいです。
やはりラストシーンでの杉下と女性クイズ王との駆け引きが、何とも言えない哀愁のようなものを漂わせてきます。
Season3「異形の寺」(最終話)
双子で生まれた姉と弟の物語を冒頭に置き、その弟の方は「体は男性、心は女性」といった存在で、なかなか辛い人生を歩みます。
もともと弟想いの姉・姉想いの弟でしたが、時がたつにつれ、姉は弟の存在を疎ましく思い始めます。
それでも姉弟は、再び力を合わせて生きていきます。
けれど、結局姉は自殺します。
愛する人との結婚が、この弟の存在のために破談になったことがきっかけでした。
こんな悲惨かつ哀しい運命を背負った弟はやがて、女装したまま尼寺へ入り、その後の人生を精進して暮らそうとします。
しかし過去の悲劇の刃が訪れて…。
姉が自殺したとき、この弟もそばにいました。
杉下は捜査を進めるにつれ、この弟のある核心に迫ります。
「実は姉がいなくなればいい」と思ったからこそ、そのとき姉の自殺をとめなかったのでは…と。
事実、事件にまつわる犯罪や、犯行らしい言動は何1つ行なわれていません。
人の心に踏み込み、その心の住み込む殺人犯を追い詰めるという異例の展開が、これまでにもその後にも無い独特のミステリアスを醸し出します。
そう『相棒』の醍醐味は、このような「人の心に住む善と悪、天使と悪魔を浮き彫りにすること」にあり、その魅力の底力が最も発揮されているのが、この最終話「異形の寺」だと感じています。
Season10「逃げ水」(第2話)
真面目な姉と、どうしようもないほど落ちぶれた弟の物語。
弟は少年院帰りで定職にも就けず、毎日をふらふらと自堕落に生活しています。
あるときこの弟が姉の家にきて、「今度こそ最後だから」と金の無心をし始めます。
けれどこのとき姉には、生涯をともに暮らそうとするパートナーがいました。
「こんな弟が、ずっとこの先もつきまとってきたのでは、自分の人生が全部駄目になる」
そう思った姉はついに弟を殺害してしまいます。
そして弟の遺体はそのパートナーの男性とともに遺棄してしまう。
事件解決まではかなり早い展開で進みますが、この姉が言うラストシーンでのセリフが、そのドラマの全てを物語るような、秀逸な仕上がりになっています。
幼少の頃、もともとは純朴な少女と少年だった姉と弟。
ぜひそのラストの姉のセリフを吟味してみて下さい。
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