夢野久作のおすすめ小説本ランキング!人気作品ベスト20を一挙紹介!

夢野久作

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夢野久作のおすすめ小説ランキング:第3位~第1位

3位 焦点(フオカス)を合せる

出版社:三一書房
発売日:1969年7月31日

『冗談に殺す』(昭和8、春陽堂)から初版が発行された、一人称視点から三人称視点で描写してゆく異国奇譚の回想型ストーリー。

上海を舞台に異人と日本人との交流を描く、半ば枠小説型の述懐譚かつリアルタイム調の展開で、両者の視点と外界に起こる出来ごとの焦点とをまるで“秒読み調子”で合わせたような、特異な設定が敷かれた作品です。

本作でも夢野特有の「枠を付けない会話体」が散在しており、どこからどこまでが会話の部分で地文なのかと、境界線の引きにくさが難解さと面白味を与える仕上がりです。

ですが内容を読み解いてゆくと非常に奥深いテーマが窺え、恐らくそのテーマに気づけば読者は本作の“醍醐味”を痛感することでしょう。
そこまで来れば実に爽快な読み応えを味わえます。

非常に実験的な仕上がりになっており、「夢野作品の王道を知りたい」という人にはぜひ一読してほしい作品です。


2位 ドグラ・マグラ

(小説)

出版社:筑摩書房
発売日:1976年10月

(漫画)

出版社:イースト・プレス
発売日:2008年10月1日

小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』と並んで、日本探偵小説三大奇書に数えられる名作で、夢野自身その執筆に10年以上の歳月をかけた渾身の傑作。

夢野久作は精神病者に関する小説『狂人の解放治療』を作家デビューした年(昭和元年)に発表し、その作品を『ドグラ・マグラ』と改題し、その後から10年をかけて緻密に加筆修正・推敲が施されました。
本作の発表の翌年に夢野は死去しています。

本作を読んだ読者は必ず一度は精神異常をきたすとされるほど、その描写は常軌を逸したものと言われます。

「胎児よ…胎児よ…何故躍る…母親の心がわかっておそろしいのか」、この冒頭に惹かれて読み漁った作品ですが、その“精神に鈍痛を残すような描写”は未だ記憶に鮮明に残り、行間にある奇妙で慟哭のような“擬音”は強力な回想を持ち上げてきます。

「まるでこの一作を描くために夢野久作は生まれてきたのか?」そう思わされるほど全霊が傾けられたような一作で、「夢野久作といえばこの作品」と言わしめるほどの稀代の秀作とされる一品でしょう。
もうこのような作品は出ない、と読んだ直後は普通に思わされました。

ただ非常に長い作品ですので、充分に時間をかけて読むことをおすすめします。
普段から本を一気読みする人でも、最低一週間をかけて読んでほしいです。
読めば読むほどに吟味(あじ)わいが出てくる作品ですので、1センテンス1センテンスを堪能しながら読み進めてみて下さい。

本作の規模に配慮した上で、先にコミックなどで慣れておくのもよいかも知れません。
ですが小説に描かれたその深みはなかなか絵に出ないので、メインは小説で読むことをおすすめします。


ランキング
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1位 縊死体

出版社:三一書房
発売日:1969年7月31日

『探偵クラブ』(昭和8年)に掲載された、最も夢野独自の幻想描写が浮き彫りになった作品です。
非常な短編の中で表現される人間模様とストーリー設定は、『ドグラ・マグラ』を単一化したような夢野文学の結晶を織りなす至高性。

夢野作品の内で一番“夢野らしさ”が浮き出ており、主張の骨子の部分だけが浮き彫られた夢野文学の生粋性を感じさせられた作品でした。

表現は終始平易なのですが、一定の解釈を得るまでには相当の時間がかかる非常に奥深さのある作品です。

本作も非常に短い短編ですのでさらっと何度も読め、また何度も感想を重ねられる手ごろな一作です。
本作を何度か読めば「夢野文学の神髄」を掴める、夢野作品きっての名作と言えます。
また、最も“行間を読むのに適した一作”とも言えるでしょう。


次点紹介

以下、今回のランキングには入れませんでしたが、私のおすすめする次点作品を紹介します。

次点 奥様探偵術

出版社:筑摩書房
発売日:1992年8月24日

『婦人サロン』(昭和5年)に初出が掲載された短編小説で、探偵小説というよりは日常の風景にややミステリー風味が加味されたようなコメディストーリーに程近いです。

「探偵小説?」と惹かれて読みがちな本作ですが、その内容は一人の「奥様」が身の周りや空想において発見する“日常の不思議”が列挙され、その流れはすっと心に入ってくる素直なものです。

気晴らしに読むのに適した作品で、『犬と人形』や『キューピー』、また『スランプ』などでも見られたような夢野独自の滑稽譚を合わせ見ることでしょう。

夢野作品の内ではあまり知られていない作品ですので、ぜひ一度手に取って読んでみて下さい。

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まとめ

ここまで読んで頂きありがとうございます。

以下に、私がおすすめする夢野久作著作の作品を纏めます。

・1位 縊死体
・2位 ドグラ・マグラ
・3位 焦点(フオカス)を合せる
・4位 一足お先に
・5位 ビール会社征伐
・6位 あやかしの鼓
・7位 髪切虫
・8位 キチガイ地獄
・9位 猟奇歌
・10位 笑う唖女
・11位 微笑
・12位 ビルディング
・13位 支那米の袋
・14位 瓶詰の地獄
・15位 少女地獄
・16位 オンチ
・17位 押絵の奇蹟
・18位 いなか、の、じけん
・19位 空を飛ぶパラソル
・20位 死後の恋

ランキングに入れた作品には(私的感想や見解)が多分に含まれていますが、恐らく全ての読者に“夢野文学独自の幻想の魅力”が伝わることと思います。

夢野久作といえばそのネームの通りに“夢で見るような幻想をもじった作品”を非常に多く描いた作家ですが、その内容の妙味は幻想に偏らずむしろ人間描写・心理描写にその真髄が表れ、たいていの夢野作品をどこから俯瞰しても“人の内面をえぐったような狂気的な表現やテーマ”が飛び交います。

夢野作品の魅力をいえば、

「人の本性を夢と幻想から描き出すことで、小説の表現枠を自由に超えている点」

ではないかと思います。

夢を扱うことによって「人の究極の空想や我儘」を羅列でき、その羅列からある規則性をもって作品を創作するという、他の作家にはなかなか真似できない奇抜な表現法の持ち主と言えます。

夢野の作家としての実力は短編にも長編にも表れており、『ドグラ・マグラ』で見られた“人が潜在的に持つ狂気と本能の荒々しさ”は、コメディタッチで描かれた他の作品にもありありと浮き出ています。

ランキングでは2位にあげましたが、『ドグラ・マグラ』は夢野が作家として全霊を注いで成立させた無類の一作ですので、ぜひ冒頭部、あるいはその結末部だけでも読んでほしいと思います。

あなたの“夢で見るような自由と幻想”が、夢野作品の世界の中で協奏しながら合流されるとよいものです。

ぜひあなたの文学コレクションに、「夢野久作の幻想の世界」を加えてみて下さい。

あなたの素敵な小説との出会いを願っています。


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