夢野久作のおすすめ小説本ランキング!人気作品ベスト20を一挙紹介!

夢野久作

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夢野久作のおすすめ小説ランキング:第10位~第4位

10位 笑う唖女

出版社:筑摩書房
発売日:1992年9月24日

『文藝』(昭和10年)に掲載された、ヒューマンミステリー調の短編小説。

名家に生まれた青年医師と、“精神異常で口が聞けない女”との歪曲したような交際を描き、そのことによる悲劇が青年、唖女、青年の婚約者の全ての未来を破滅させてゆく残酷な結末のストーリー。
(しかし作品の本意はさらに奥へ突き進みます)。

現在ではよくサスペンスドラマなどに見られる一般的な脚色設定ですが、唖女を登場させることによってサスペンスからミステリ―へ埋没して行き、その経過を伴いながら夢野独特の描写によって特異な世界観を演出してゆきます。

何と言ってもストーリー展開もさることながらその表現が奇抜かつ秀逸で、読むうちにその“世界観”に引き込まれるのは時間の問題と言えそうです。

本作もじっくり腰を落ち着けて読むのに最適の一品で、ぜひ「怪奇的な世界」を楽しむように読んでみて下さい。


9位 猟奇歌

出版社:河出書房新社
発売日:2014年2月24日

『探偵趣味』(昭和2年)に初出が掲載され、その後『猟奇』(昭和3年)、『ぷろふいる』(昭和8年)にも後続掲載されたポエム調のやや散文形式に成り立つアンソロジー。

夢野の特異の世界を凝縮したような“傑作エッセイ集”で仕上がる本作は、まるで人間の本能・本性を赤裸々に詠い合わせたような極限の表現に徹しています。

読んでいると「まるで夢野の本能がそのまま剥き出しにされた文章」に見える固有の筆勢にやられてしまい、私としては知らずうちに「夢野ワールド」へ案内されたような不思議な感覚を味わったものでした。

夢野作品というより「一人の人間が描き出した心の内面」を読まされるようで、たとえ夢野作品が嫌いという人でもすっと受け入れてしまうような身近な一品です。


8位 キチガイ地獄

出版社:筑摩書房
発売日:1992年1月22日

人間の日常の生活から人間性を暴いてゆくうち、誰もに生息する“潜在的な狂気”を赤裸々に明かす、心象表現に優れた短編です。

平易な描写とありふれた光景をもって展開される本作のストーリーですが、途中から“あれ?アレ?”と思わせてくる独特の転機を軽妙に入れ、果ては括弧を付けない常套の会話体をもって未知の結末へ誘おうとする「夢野ワールド」の傑作です。

夢野作品に少しでも興味を覚える人なら本作は間違いなく至高の一作に映るでしょう。
とくに私は「会話体の結末部」に至るまでの経過で、「ああこの辺が夢野の絶妙だ…」と深く心に刻み込まれる“冷めない感動”を覚えさせられました。

たとえ夢野作品が嫌いという人にも「おすすめしたい一品」です。
間違いなく傑作の内の1つでしょう。


7位 髪切虫

出版社:筑摩書房
発売日:1992年8月24日

自然科学に知的追究をなしてゆき、その果てに宇宙空間から人間社会を俯瞰したような“ある種の千里眼”を脚色し、得体の知れない新たな生物を存在させるSFがかった幻想小説。
『ぷろふいる』に初出が掲載された、非常に斬新かつ奇抜な表現が特徴的です。

よくよく読んでいくと「髪切虫」というのがいったいどんなものなのか、終ぞわからない仕上がりになっています。
悪く言えば終始“理解できない作品”に映るかも知れない非常に“独創に富みすぎた作品”かも知れません。

表現自体はそれほど難しくないですが、内容把握が恐らく難解。
人によっては途中で読み投げをしてしまうような、斬新すぎる一作です。

ですが読解が読者によって幾らでも可能な(これも)成長型の作品で、気晴らし程度に読むなら至高の作品に取れるでしょう。
私としてはぜひ読んでほしい一作です。

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6位 あやかしの鼓

出版社:角川書店
発売日:1998年4月

夢と現実とが協奏したような妖しい雰囲気の中、鼓作りの男が思い焦がれた女性に一筋の音楽を贈る。
冒頭から経過を踏まえた結末が何とも儚い抒情仕立ての作品です。

男が奏でるその音はまるで心情を詠ったような何とも言えない悲しさと妖しさを併せ持ち、その表現ぶりは夢野ならではの“鋭くも柔いタッチ”で描かれています。
読んでいてまるで恋愛の原点に立ち戻らされたような、センチな気持ちにさせられました。

そして最後の語り部の台詞がまさに夢野の独壇場。
思わず納得させられる結末です。

夢野文学の入門書のような一作ですので、ぜひ手始めにも読んでみて下さい。


5位 ビール会社征伐

出版社:三一書房
発売日:1970年1月31日

夢野作品の内で時折り見られる“ややコメディタッチで私小説風”の作品です。

ヒューマンドラマともコメディドラマとも言いがたい少し変わった風味の小説で、その内容は私小説の随筆から逸脱したやや評論の口調で語られます。

「夢野自身の酒好き」の設定を初めに敷き、そこからストーリー展開を図ってゆく日常風景を綴ったような作品で、氏の実際の生活が垣間見られるような描写もあり、少しレトロ感も漂う後味のよい作品です。

非常に短編で表現も平易なので、さらっと読める“おやつ感覚の作品”に映るでしょう。
夢野にしては少々珍しいコメディタッチで珍味の効いた作品ですので、よければ読んでみて下さい。


4位 一足お先に

出版社:三一書房
発売日:1969年6月30日

聖書の一句を冒頭に置き、人間と自然、また人間と神秘との対談のような経過が記された夢野屈指の快作!

夢野作品全ての内で、非常に構成と表現がよくできていて、また独自の“不思議な会話体”が満載しており、夢野作品に興味を覚える人なら間違いなく魅力の一作に組み入れることと思います。

『涙のアリバイ』や『鼻の表現』で取られたようなファンタジーの原点を締めた一作にも窺われ、まるでその神話的なストーリーの内容には夢野自身の実に美しい理想とイデアが凝縮させられたような出来栄えです。

回想的でノスタルジックな哀愁が漂い、どことなくもの悲しさを残す結末にもつい引き込まれてしまいます。
「夢野作品にこんなのがあったのか…」と唸らされるほどの絶品と言ってよいでしょう。

では、いよいよベスト3です!


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