夢野久作のおすすめ小説本ランキング!人気作品ベスト20を一挙紹介!

夢野久作

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こんにちは!

今回は“夢に描かれたような奇怪な作品”を沢山世間に発表してきた作家、夢野久作のおすすめ作品をランキング形式でご紹介します!

私は夢野作品と大学時分に知り合いましたが、未だもってその特異かつ奇怪な作品の妙味を忘れることができません。
それだけ印象が強烈で、いえば「日本の作家で一番個性的な発明家」としてよいほどの、実に破格の作品描写を延々織りなした作家です。

いえば夢野久作は、“小説の独創をそのまま私に植え込んだ奇人的発想の持ち主”とも言えるでしょうか。

夢野久作といえばやはり傑作『ドグラ・マグラ』で有名でしょうが、彼の作品にはまだまだ“隠れた名作”がごろごろしてあり、その著作の1つ1つを見逃すことは「小説との出会い」を思う上では非常に勿体ないと言えるでしょう。
また夢野久作の作家としての“すごみ”はその“隠れた逸材”にあると言っても過言ではありません。

そこで今回は夢野久作の有名作品ばかりではなく、あまり知られていない“掘り出し物の作品”にも焦点を当て、夢野文学をご紹介してみたいと思います。

今回は私が自信をもって皆さまに「夢野作品に仕上げられた奇想の艶やかさ」をご紹介するとともに、“これだけはぜひ読んで頂きたい!”と願う「夢野久作のおすすめ作品」をお伝えします。
お気軽に目を通して頂ければ幸いです。

では、いってみましょう!

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夢野久作のおすすめ小説ランキング:第20位~第11位

20位 死後の恋

出版社:新潮社
発売日:2016年10月28日

『新青年』(昭和3年)に掲載された、やや独白苔形式の一人称視点による短編。

舞台はロシア革命直後のウラジオストクで、ある得体の知れない男がその理想と失念に裏打ちされる風に、「私の運命を定めて下さい」と通行人や隣人を捕まえては言い放つ、半ば幻想が色濃い奇譚の仕上がりです。

一読しただけでは恐らく「何について描かれてあるのか?」とその内容把握は難しいと思いますが、二度、三度読み進めるうちに、ある一定の感想が芽生え始め、それなりの解釈を得られることと思います。

本作は終始、一人の人物が語り部となり、その一人称視点をもって独白体で綴られてゆく設定なので(書簡の内容もその人物の主観をもって語られます)、そこで描かれる描写は主にその人物一人により把握される「壁を持ったストーリー」に見なされるでしょう。
ですのでよくよく読み解かないと、ストーリー経過・展開について行けないかも知れません。

このような複雑な構成のストーリーが苦手という人には少し敬遠されがちな作品だと思います。
本作を読むときは、じっくり心を落ち着けて読むことをおすすめします。


19位 空を飛ぶパラソル

出版社:筑摩書房
発売日:1992年9月24日

『新青年』(昭和4年)に掲載された探偵・ミステリー小説。
新聞記者を主人公に立て、その周囲で起こる様々な“特ダネ”になる出来ごとを追ううち、記者はあることをきっかけにトラウマを抱える破目になってしまう。

夢野久作の作品には非常に多くの“新聞記者”を扱ったものが見受けられますが、本作もその一作で、ただしストーリー展開は他の「新聞記者モノ」とは一風違った「夢想」の要素を取り入れています。

やや面白おかしく読める内容で、登場人物の「私」が常に視点を切り替え、「私」の周囲で転がるようにして事変が移ろう人物・背景描写には、夢野作品に独特でもある“人間の臭味”が漂います。

まるで言文一致にも見て取れる文章表現がさらにストーリー性を充実させるようで、実に夢野らしい夢想の軌跡がそこかしこに表れています。

“読者を引きつける筆致”の姿勢はやはり見事なもので、それなりに重いテーマを掲げていながら、向かう結末は実に軽妙な締めくくりになっています。
本作は一度読んでから日にちをおいて、もう一度読むとそのエッセンスが効いてくることでしょう。


18位 いなか、の、じけん

出版社:三一書房
発売日:1969年6月30日

「大きな手がかり」「スットントン」「一ぷく三杯」など20編からなる超短編集で、夢野が実際に九州各地の農村や漁村で起きた事件を取材し、それをモチーフにして描かれています。
脚色を重ねたフィクション風のものから、ほとんど事実を描いたノンフィクション風の短編まで、オムニバス形式で綴られます。

非常に軽快な文章運びで各ストーリが展開され、どれも夢野らしい奇怪なテーマと脚色を兼ね揃えた秀逸な作品に仕上がっています。

中にはとてもシュールなテーマを扱ったものや、緻密な描写に彩られたものまで様々な視点から構成されたコメディタッチのものもあり、読者を飽きさせない周到な企画も組まれています。

どれも非常に読みやすい短編ですので、短時間でさらっと読めてしまう手ごろな作品です。
といってもまた中には“細かく回想的な場面展開”が不断に彩られたものもありますので(夢野らしいタッチなのですが)、好き嫌いは分かれるかも知れません。
あまり意気込まず、気軽に読んでみて下さい。


17位 押絵の奇蹟

出版社:角川書店
発売日:2013年10月25日

『新青年』(昭和4年)に掲載された、病床にある女流ピアニストが自分の過去に思いを巡らせ、母親と自分の出生の秘密を暴いてゆくややサイケデリックな作品。

背景や人物構成がしっかりとまとまっていて、読んでいて重厚なテーマとそのストーリー性に気づかされる一般的な回顧小説の仕上がりになっています。

ですが所々で夢野らしい女性の脚色や、半ば少し狂ったような舞台設計が垣間見られ、他の小説とは一線を画す“奇妙な魅力”を覚えることでしょう。

私は本作を半ばまで読んだところで、それまでの展開から“恐らく夢野が狙っていた読者へのどんでん返し”に気づかされました。
ですが少々内容全体を把握するのが難しい作品かも知れません。

幻想小説や探偵小説、その他の推理モノを多く読まれてきた人には向いている作品です。
思考を柔軟にし、想像を巡らせながら読むのに適した作品と言えるでしょうか。

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16位 オンチ

出版社:筑摩書房
発売日:1992年10月22日

『人間レコード』や『芝居狂冒険』、また『夢中運動の事』などにそのテーマの基調が泳いでいるややコメディ風に描かれたヒューマンドラマ。
夢野が得手とする“吃りを織り交ぜた会話体”(吃音症を交えた会話調の意)が所々で挿入された、ヒューマンドラマながらもサイコチックな構成です。

舞台は二次大戦後の荒れ果てた風景で、その中で繰り広げられる人間・世情描写を基軸に仕立ててあり、なかなか結末までの運びを明瞭にしないやや難解な作品です。

本作も実に夢野らしい人間脚色の連続で、読み進めるうちに「何について言っているのか?」と多少もどかしさを覚えてしまうほどの特異な伏線や描写が散在しています。

上記した『人間レコード』や『芝居狂冒険』、あるいは傑作の『ドグラ・マグラ』に付随する連関描写までが設定されてありますので、短編サイズですがじっくり落ち着いて読むことをおすすめします。


15位 少女地獄

出版社:角川書店
発売日:1976年11月29日

『新青年』(昭和9年)に掲載された書簡形式の作品で、「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」の3編からなる一話完結型のヒューマンドラマ。

私はとくに「何んでも無い」の姫草ユリ子にまつわる凄絶な人生のあり方に圧倒され、また「火星の女」で悲劇のヒロインを演じる少女の悲壮な生活のあり方に心を打たれました。

夢野作品の中ではかなり有名な作品で、文章表現から恐らくテーマ・構成のあり方も比較的掴みやすいものですが、解釈にまつわるストーリーの内実を紐解くとなかなか一口に言い表せない「主張の重み」のようなものがひしひしと伝わってきます。

本作もじっくり腰を落ち着けて読むのに最適の一作と言え、二度、三度読むうちにその本懐のようなものを垣間見られるでしょう。


14位 瓶詰の地獄

出版社:角川グループパブリッシング
発売日:2009年3月25日

『猟奇』(昭和3年)に掲載された書簡体形式で成り立っている作品で、この手法は『少女地獄』や『押絵の奇蹟』でも取られており、内容描写は独白体形式であるとともに、そのどれもが非常に短い掌編で綴られている。

ホラー調の仕上がりで半ば猟奇的な表現もあり、文章表現は平易ながらも夢野独特の言い回しも見られて読解に難解な部分があり、一応でも読み解くまでにはそれなりの集中が必要かも知れません。

ですが夢野作品の内では「生粋のホラーサスペンス作品」ともいえる逸材で、夢野作品の内から「怪奇的な作品を読みたい」となったときには絶対に外せない一作です。
ぜひ読んでみて下さい。

猟奇的や惨たらしい場面が苦手という人には読みづらいかも知れませんので、本当に気が向いたときに読んで下さい。

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13位 支那米の袋

出版社:筑摩書房
発売日:1992年3月24日

『死後の恋』と同様にウラジオストクが背景に敷かれており、日本人である青年軍人と当地の踊子とのサイコチックな恋情のストーリー。

夢野作品には時折り本作や『死後の恋』などで見られるように“外国が舞台になっているもの”がありますが、それゆえのストーリーの膨らみが妙に冴えわたる特有の描写展開が敷き詰められているものです。
本作にもその魅力がたっぷりあり、独特の異国情緒が飛び交います。

また夢野特有の“サイコチック”なストーリー展開で、人間描写の一端ずつから先読みのできないサスペンスが表れ、その運びがストーリー全体に巧くバランスを与えています。

なので、テーマや内容を把握するまでにはなかなか集中を要しますが、一旦オチまでの流れを掴んでしまうと後の展開を読むのは早いと思うので、「読みやすい作品」の1つにあげています。

少し欠点をいえば“途中経過から結末までの流れが強引?”なところでしょうか。
推理小説を読む感じで読むと、けっこう楽しめるかも知れません。


12位 ビルディング

出版社:筑摩書房
発売日:1992年8月24日

『探偵クラブ』(昭和7年)に初出が掲載された掌編で、巨大で四角いビルディングの中の宿直室で眠る「私」がその隣室で“まるで自分の分身のような存在”に気づいてしまう、非常に幻想風味の深い作品。

特異の一人称視点により独白体を取ったストーリー構成で、夢野自身の幻想をそのまま描写したような“実に夢野らしい生粋の幻想掌編”の一作です。

ストーリーというよりも描かれた表現の妙味を読み解くのが恐らくメインに来て、読後の感想を元に、「何が描かれてあったのか?」と反省させられる作品に映るでしょうか。

非常に短い掌編なのでごく短時間で読みやすく、その内容への解釈を幾様にも取れる「それなりに読み応えのある作品」だと思います。
夢野の幻想に興味のある人は、ぜひ読んでみて下さい。


11位 微笑

出版社:筑摩書房
発売日:1992年8月24日

本作も非常に短い掌編で、半ば童話的な始まりを迎えますがその実、非常に現代風刺を内に込めたミステリアスな仕上がりです。

夢野作品で多く見られる背景描写の“お手本”とも言える作品で、その背景からキャラクター描写の緻密を解き明かしてゆくというような、実に「夢野作品の構成方法が明るみに出された作品」と言ってよいかも知れません。

描写と打って変わってその内容には“人の世情に対する、とても掘り下げられた風刺”が絡んであり、この辺りの解釈をどう取るかは読者によって変わってゆく「成長型の作品」かも知れません。

じっくり読んでみると絶対に面白い作品に思われますので、ぜひ一度は触れてほしいです。
私的に氏の小編の内では“傑作”の1つと思っています。

次ページからベスト10です!どんどんいきましょう!


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