ホラー小説本のおすすめ人気作品ランキングベスト20を一挙紹介!

hora-

記事内に広告が含まれています

【中級編】ホラー小説のおすすめ人気作品ランキング第10位~第4位

10位 かにみそ

作家名:倉狩聡
出版社:角川書店
発売日:2013年10月29日

第20回日本ホラー小説大賞優秀賞を受賞した倉狩聡の代表作。
ラストシーンに“ホラー小説とは思えないほどの感動的な展開”を盛り込んだ、コミカルタッチ・やや幻想タッチで描かれる“デザイン・ホラー”の傑作です。

蟹と人間との関わり合いから日常ドラマへ延長させ、実にコミカル口調で仕上げるストーリー運びは、そのテーマを「生き物の命そのもの」に当てようとするメロウタッチの成り立ちです。

「今日はいぬの日」の前作でもあり、次作に同様、日常の光景からスリルを抽出する辺りの描写が秀逸です。
「もしこんなことになったら…」的な模様がストーリー全体に染み込んでいます。

終始、コメディタッチ・シニカルタッチ・スリルタッチで締めくくる展開は、非常にバランスが取れていて痛快です。

私としては「ホラー小説」というより日常の恐怖に気づかせる“ヒッチコック的なデザイン”に受け取れ、とても懐かしい感じがしました。
「異質のホラー小説を読みたい」という人にはぜひおすすめしたい一作です。


9位 ゴーストハント1

作家名:小野不由美
出版社:メディアファクトリー
発売日:2010年11月19日

1992年まで講談社X文庫ティーンズハートから刊行された『悪霊シリーズ』のリライト新装版で、「旧校舎怪談」、「人形の檻」、「乙女ノ祈リ」、「死霊遊戯」、「鮮血の迷宮」、「海からくるもの」、「扉を開けて」からなる第1編。

舞台は、主人公・谷山麻衣が通う都内の高校。
旧校舎で心霊現象が発生し、渋谷サイキックリサーチという心霊現象の調査事務所が調査にやってくるといったストーリー。
性質的に幻想がかっていますが構成はしっかりしています。

映画『ゴーストバスターズ』を思い起こさせるような“人間VSゴースト”の設定を全体に敷き、日常の風景から異界の深淵を深く掘り下げてゆく典型的なホラー小説の体裁です。

ややライトノベル調の仕上がりですので、単調に読めることと思います。
本作もどちらかといえばホラー初級の成り立ちですので、「ホラー小説をサクッと読みたい」という人におすすめです。


8位 影を踏まれた女

作家名:岡本綺堂
出版社:光文社
発売日:2006年5月11日

『講談倶楽部』(大正14年)に初出が掲載された、『池袋の怪』、『異妖編』に次ぐ綺堂の幻想奇怪小説の先駆け的作品。
一説には「幻想小説の神髄を成す」とも言われた隠れた名作。

“影踏み遊び”をテーマに立てた民話的要素を盛り込んだ作品で、民間伝承にスリルと「怖いもの見たさ」からなる冒険をふんだんに描写したやや懐かしい仕上がりです。
半ばエキゾチックな展開も語られ、懐かしさだけでなく“臨場感あふれるリアルなタッチ”も秀逸です。

綺堂の作品といえばそのほとんどが「妖しい怪奇譚」に彩られていますが、中には伝説にまつわる神秘的な内容のものも多くあり、ぜひ本作を読まれる前後に『五色蟹』や『水鬼』などの神秘談を読むこともおすすめしたいです。
幻想的ではありますが、とてもほのぼのとした描写が散在しています。


7位 女王蜂

作家名:横溝正史
出版社:角川書店
発売日:1973年10月15日

『キング』(昭和26年)に掲載された「金田一耕助シリーズ」の一作で、『犬神家の一族』や『獄門島』と並ぶ推理・ホラーの傑作。
横溝自身も「ベスト9位」にあげるほどの秀逸作です。

“月琴の里”と呼ばれる孤島で育った大道寺家の跡取り娘・智子は、その孤島から出たことがなく、箱入り娘のように育てられる。
その智子の周りで次々と怪死事件が起き、事件解決に乗り込んだ探偵・金田一耕助と真犯人との対決が始まります。

非常に有名な「金田一耕助シリーズ」の代表作ですが、本作は映画やドラマでよく知られている様子で、なかなか小説では読まれていない隠れた名作と言ってよいかも知れません。

映像ではなかなか描写や展開が持つ“深み”を引き出せないものですが、小説ではその辺りをみっちり掘り下げて描かれてありますので、ぜひ映画・テレビ版を観た人は、こちらの小説版も読んでみて下さい。

小説版は映画・テレビ版とは設定がかなり違っているので、また新しいストーリー描写を堪能できるでしょう。

スポンサードリンク

6位 天使の囀り

作家名:貴志祐介
出版社:角川書店
発売日:2000年12月8日

長編3作目に当たる「ネクロフォビア」を扱った異彩のホラー小説。
貴志作品に多く見られる“人の内面をえぐり出すほどの特異の描写”が、本作の終始に脈打っています。

死ぬことに恐怖を覚える「死恐怖症」だった主人公・高梨が、新聞社の仕事でアマゾン奥地へ行って戻ってくると、それまでとは真逆の性質「死愛好症」になっていました。
それから高梨は、恋人である精神科医・早苗が常備していた睡眠薬を多量に飲んで自殺を遂げ、早苗はその死に不審を感じて独自に調査をし始めます。
調べていくと高梨に同行していた調査員たちも、そのアマゾンで連続的に変死していたことが明らかになります。

スプラッター系(流血する描写を多用する作品)から離れた“精神を侵食してゆくような脚色”で、実に貴志作品らしい「じわじわと来る恐怖の戦慄」が味わえる一作です。

自殺するまでの過程の描写がとてもリアルなタッチで、「精神に来る恐怖に弱い人」は閲覧注意の姿勢で臨んで下さい。
“血みどろ”はありませんが、それだけ濃厚な脚色に富んでいます。


5位 屋根裏の散歩者

作家名:江戸川乱歩
出版社:春陽堂書店
発売日:2015年5月20日

『新青年』(大正14年)に初出が掲載された、『人間椅子』、『パノラマ島奇談』、『蜘蛛男』などと並ぶ一人称視点でほぼ徹底された“個人ドラマ”のホラー系。

引っ越したばかりの下宿で天井に入れる隙間を見つけ、主人公・郷田三郎はその天井裏から各部屋の住人の様子を覗くようになります。
それから次々に“新しい刺激と満足”を得ようとするうち、ついに陰湿かつ残忍な犯罪を思いつきます。

一人称視点からなる「個人空間」がこれほど活きた作品は、乱歩作品の内でもなかなか珍しいと思います。
『人間椅子』や『芋虫』でも見られたような“個人が何らかの外的刺激により変調させられてゆく描写”は、読者を異常に魅了する「グロテスクな暗躍」を奏でています。

乱歩作品を読むというより、一冊に込められた“自分の本能”を見るという姿勢で読むと、その脚色や設定がさらに異彩を放つかも知れません。
ぜひ、寝る前の一人のときなどに、読んでみて下さい。
すぐ作中世界にのめり込めると思います。


4位 ぼっけえ、きょうてえ

作家名:岩井志麻子
出版社:角川書店
発売日:2002年7月10日

第6回日本ホラー小説大賞を受賞したルポ系描写の傑作で、岡山県を舞台に地方ならではの恐怖を演出した無類の一品。
「ぼっけえ、きょうてえ」は岡山弁で「とても怖い」の意味。
2006年には三池崇史監督の下、『インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜』のタイトルで映画化もされています。

岡山県にある某遊郭で、ある女郎が自分に来た客に過去の身上を打ち明けます。
“子殺し”を生業とする産婆の母親を持つ彼女の人生は、想像を絶する恥辱と混紡にまみれた異常なものでした。

私は本作を大学生頃に初めて読みましたが、正直言って当時は本作が持つ“怖さ”に気づかないまま、ただ背景と人物描写の移ろいだけに注目させられていました。

けれど後年に改めて読み直すと、経過の一場面ずつに込められた“深み”のようなものに気づかされ、その深みが“恐怖”を演出しているように感じられました。

それまで『どんな恋にも美人なあたし』や『空にキス』などの華やかな作品が多かった分、急に転向し描かれ出すホラー系の要素にはやはり“素人が描くリアルな脚色”が冴え、余計に怖さが増す感覚を味わえるものです。

文章表現は平易ですので比較的さらっと読めると思いますが、方言を駆使した特異な描写が織り交ぜられますので、じっくり腰を落ち着けて読むことをおすすめします。


best

さて、ついにここからトップ3です!
どんな小説がランクインしているのでしょうか?

ベスト3は次ページへ!


この著者の他の記事を見る

スポンサードリンク

シェア!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

スポンサードリンク