太宰治のおすすめ小説本ランキング!人気作品ベスト20を一挙紹介!

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こんにちは!

今回は太宰治のおすすめ作品ランキングをご紹介します!

もともと私は読書嫌いだったのですが、高校時分に太宰作品に出会ってからは“読書三昧の日々”を送ってきました。そのあいだに読んだ小説のほとんどが太宰。

いうなればこの太宰治は、私を文学の世界に導いた師匠ともいえるでしょうか?

最近になって「太宰治ファンを称する作家」も多く世に出てきていますが、私も決して彼らに引けを取らない「太宰ツウ」だと自負しております。

その太宰ツウの私が今回は自信をもって皆さまに、「太宰の超おすすめ作品」をお届けしたいと思います。サクッと目を通して頂ければ幸いです。

では、いってみましょう!

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太宰治のおすすめ小説ランキング第20位~第11位

20位 富岳百景

出版社:岩波書店
発売日:1957年5月6日

タイトル通り、富士山に登ったときの出来ごとをそのまま描いた作品です。
もちろん脚色も多分に入っていて、「これはリアルな出来ごとか?架空の出来ごとか?」とわからない辺りに、“コミカルタッチな脱線の調子”が面白おかしく飛び交います。
原稿20枚ほどの短編で、のちに発表される『火の鳥』を執筆するのに布石とされた、ほぼノンフィクションのストーリー。

登場人物に「私」(=太宰?)と井伏鱒二さんが出てきますが、二人の登場場面は富士山見物に二人で行ったときの様子をそのまま描いたような、まさに臨場感あふれる仕上がりになっています。

どこから読んでも読みやすい作品で、月見草から井伏先生が放屁されるまでの描写には、太宰の“垢抜けするようなウケ狙い”が軽妙に窺えます。

「太宰作品には滑稽味を含めた作品が多い」とよく言われるものですが、この『富嶽百景』もまさにその内の1つだと思います。
真面目なシーンと面白いシーンとが混流するように表現されて、その大まかな描写は恐らく太宰独特の滑稽味を含んだ「喜劇調の展開」に近いといえます。

際立って「面白い!」と絶倒する場面はありませんが、ゆっくり読みながらしみじみ“おかしみ”を味わいたいという人には、この『富嶽百景』をおすすめします。


19位 駈込み訴え

出版社:岩波書店
発売日:1957年5月6日

太宰が本妻・美知子に口述筆記で書きとらせた作品で、太宰文学中期頃に描かれた感性豊かな秀逸作。
その内容ではイスカリオテのユダを主人公のキャラに仕立て、読者には「人との交流」についての本音を訴えかけています。

太宰初のメッセージ性を多く含んだ自叙伝的作品で、その主人公を聖書に出て来る「イスカリオテのユダ」に見立てて描いています。
嘘をつくこと、人に頼ること、人を裏切ることの痛快と残酷を、後悔への一念をキーワードに立て、非常にグロテスクかつリアルな描写をもって展開させます。

「自分も同じような経験をした…」とたいていの読者に言わせてしまうほどのリアルなタッチは、恐らくこれまで太宰作品に多く見られてきた「一人称視点」が特異的に発揮されている故の産物でしょうか。

この作品も、太宰作品の多くにいわれる「主人公に自分を見て取れる」といった常套の手法をもって描かれていて、とりわけ“感情移入させられやすい作品”の1つに数えられるでしょうか。

私も友人関係における自分のあり方を自然に反省させられていました。
友人に腹が立ったときなんかに読むのもGoodかも知れませんね。


第18位 風の便り

出版社:筑摩書房
発売日:1988年12月1日

売れない作家と、その作家が文士として師匠と仰いでいた先輩作家との手紙のやり取りが、そのままストーリーになっています。
手紙の一通ごとに主張(というかテーマ)が設けられ、その主張で展開される両者の一方通行なやり取りが、とてもスピーディに交信されていきます。
これも知人の手紙を基にして脱稿された「二次的な作品」で、いえば台本つきの作品です。

売れない作家が『へちま…』という作品を書いたあと、自分に内在していた全ての創作意欲を喪失してしまう。
そしてふぬけたように落胆した頃、先輩作家に元気づけて貰おうと一通の手紙を書き送ります。
(もちろん作品の本意はもっと根深いところにあります)。

その後からは一方通行な手紙のやり取りだけに、両者の価値観や創作への態度がまるで違い、その辺りにはやや“ズレ”からなる面白みが表れてきます。

文章を書いている人や、これから作家を目指そうとする人には“必読の一冊!”としておすすめしたいです。
作家の苦悩や切磋琢磨のあり方などがしみじみと、感慨深く味わえます。気晴らしに読むのに丁度よいでしょうか。

末尾になりましたが、本作の文章表現はとても美しく、『女生徒』や『春の盗賊』、また井伏鱒二著『青ヶ島大概記』や夏目漱石著『虞美人像』といったような文豪の名作に見られる“美文”で埋め尽くされており、とても端整な仕上がりになっています。
この点では誰にでもおすすめしたい一作です。


第17位 待つ

出版社:筑摩書房
発売日:1989年1月31日

いったい「私」は何を/誰を待っているのか?
省線の小さい駅で一人の女がぼんやり佇み、自分の人生に期待する特別なものを描写してゆく。
常に太宰の短編では人気ベスト5に入る傑作です。

たいていの人は生活しながら「何か」を期待して待っているといいます。
その「期待」の中味がなんなのか、具体的にはわかりませんが、そのわからない辺りをチクチクつっつきながら、だんだんその具体性を解き明かしてゆくようなそんな作品です。

恐らく誰でも共感でき、また誰の記憶にもこんな「主人公の姿」を生き写しにした懐かしい情景が甦るのではないでしょうか。
ほとんど全ての読者に「理想と主張」を訴えかける、静かなストーリーに仕上がっています。

本作は短い小説ですが、その内容を吟味してゆくと、主人公の呟きや人生への感想と思いつきが、まるで手に取るように伝わります。
この作品も太宰独特の一人称視点で描かれており、内容を読者に納得させるまでの筆勢は健在です。
かの女流作家の角田光代さんも“いちばん好きな太宰の作品”にこの『待つ』をあげていました。

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第16位 人間失格

出版社:岩波書店
発売日:1988年5月16日

『Human lost』から後年の、人の生活から逸脱してゆくまでの人間像を描いた太宰の不朽の名作。
常に「人間にとって生活とは何なのか?」を問い続け、脳病院での構想を基に綴り上げた全霊の一作。

太宰文学はたいてい3部に分断されますが、この『人間失格』のテーマは太宰の創作意欲と感性が十分に漲っていたその中期(2部)にすでにできあがっていたようです。
それから自身のうつ病のような生気の無さは太宰文学の全般を揺さぶるようになり、この『人間失格』は『グッドバイ』を描くまでの布石のように受け止められます。

物語の持ち運びの巧さをよそにしても、本作は『待つ』や『世界的』に見られるような重厚な骨子と内容に支えられ、人に生れてその自力的な能力に限界を感じた作中の「私」は、独断的に人の世界から逸脱します。
この点に、恐らく全ての人に伝わる共通点があるように感じられました。

映画・ドラマ・漫画化は何度もされており、それだけ現代にもニーズが多いこの作品は、とくに人生で落胆したときや挫折したときに読むのが一番グッとくるのかも知れません。
そんなときこの作品は、あなたの心の友になってくれるでしょう。

関連記事⇒【あらすじ&感想】太宰治『人間失格』をもっと詳しく知る


第15位 玩具

出版社:筑摩書房
発売日:1988年8月30日

「子どもと親と、どちらが大切か?」この疑問を痛快に投げつけた筆者の理想が、おもむろに展開されているやや滑稽味あふれる淡白な小説。太宰が三鷹で家庭を持ち、本妻・美知子との交流を踏まえながら父としての告白なども認(したた)めた遺作の要素も窺えます。

『玩具あとがき』でも記されていますが、太宰はこの『玩具』という作品を滑稽調に仕上げることを多少なりとも意識していた様子で、子供の存在が親に過保護に育てられ始めた当時の風潮をやや皮肉りながら、その風刺描写をややコメディタッチで改めています。
時代にというより人の価値観に注目したような、告白体の作品です。

なんとなく太宰は子供の存在を、「愛しながらも冷観していた?」というようなシニカルな描写が妙に心を打ちます。
子育てに疲れた人やこれから家庭を築く人には、“コメディ漫画”を読むような印象が沸き立つかも知れません。
本作を読んだあとは、必ず『玩具あとがき』も読んでみて下さい。
そこでは『玩具』を書くまでの具体的なエピソードが伝えられています。


第14位 小説の面白さ

出版社:筑摩書房
発売日:1989年6月27日

小説を書く上で創意すること・留意すること、その詳細が具体的に描かれます。
太宰が小説家になってしばらくした後、自分の作品が読者にどんなふうに読まれているかを俯瞰して綴られた作品です。

描写・形容はともかくとしてその作品の内容は主に「小説家を目指す人」と「小説の編集者」に宛てられており、「編集者を含め、読者がどんな心得をもって小説に対するべきか?」という文学に携わる者の姿勢について延々語られています。

当時の文学界事情を少し調べてみると、「編集者や読者」と作家の立場はまるで主人の奴隷の立場のようで、太宰はそのことについて猛抗議・猛反発をした作品をいくつか残しています。

現代と昔(近現代頃)では文学界の様子も小説に対する意識も変わり、この時代の変遷によって小説のあり方にも“売れればいいや”的な風潮が飛び交うようになりました。

現代の小説界のあり方にそれなりの疑念を抱いている人には興味深い作品となるでしょう。
太宰の活躍頃からすでに小説界の変調は始まっていたのですね。

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第13位 女生徒

出版社:岩波書店
発売日:1957年5月6日

思春期にある女生徒の心情を純粋に綴った「一日日記」の仕上がりです。
これもまたある女性ファンからの手紙を基にして書かれた作品で、現代においても太宰ファンから相当の人気が寄せられる絶品です。

太宰作品には「誰かの手紙」や誰かの実生活を傍観して創られたノンフィクション的なものが多いのですが、この『女生徒』ほど、「女性の心理がわかっていないと書くことができない」と言われるほどの“依存性に偏った作品”は少ないかと思います。

朝起きてから夜寝るまでの女生徒の平凡な一日を、誰にでもわかりやすく脚色し、本当に心に沁み通るほどの美文をもって仕上げています。
思春期にまつわる平凡が、太宰独自の世界観をもってさらに具体的に描かれます。

読了後でもあの「末尾の一文」の影響がほとほと強まる…。
そんな哀愁のようなものがほんのり浮き立つ、悲しくも後味のよい一品です。

関連記事⇒【あらすじ&感想】太宰治『女生徒』をもっと詳しく知る


第12位 道化の華

出版社:筑摩書房
発売日:1988年8月30日

太宰文学の背景に敷かれる「道化」の源流といってもよい作品。
本作の発表を機会とし、現代まで語り継がれる“太宰文学”への印象が確立された。

道化と聞いて“太宰治”を思い浮かべる人は、恐らく「太宰ツウ」といわれる人たちでしょうか。
この『道化の華』は、太宰の事実上のデビュー作ともいわれる『逆行』の色素を多分に含んだ、太宰文学の根底を成す作品の1つです。

私は本作を読みながら、太宰がいかに対人恐怖を覚えつつそれでも人との交流に生活の基盤を置き、そうした喧騒あふれる世間の濁流に自分をもませ続けていたのかと、少し太宰を不憫に感じた次第です。

テーマはどちらかというと「自然主義になされる人間描写」のようで、無頼派に謳われた太宰特有の筆勢はその身を控えています。
生粋の太宰文学からなる作品や、幻想小説・浪漫派に謳われる陶酔系の小説を求める人には少し向かないかも知れません。

けれどその内容の根底には「人を喜ばせる」といった太宰自前の「もてなし」もあり、読み方一つでその脚色の向きは違ってくるでしょう。


第11位 黄金風景

出版社:筑摩書房
発売日:1988年9月27日

「太宰の私小説なのか否か?」という賛否が分かれるところですが、「私」で登場する主人公はまさに太宰が生まれ育った良家のボンボン。
そのボンボンが、ある女中を卑しめチクチクいじめるその経過から始まります…。

多くの現代作家が「非常に好きな太宰作品」の1つにこの『黄金風景』をあげますが、その描写は実に端的で“淡い思い出”への回想を綴っており、加えて場面一つ一つの描き方には実に新鮮でレトロな印象が残されます。

「リンゴの皮むき」の描写1つにしても、おのずとそのむいている光景から情景までが、昭和初期に感覚を引き込まれたまま、いま目前で現れているほどの好印象。

「黄金風景」というのが具体的にどの描写を指していうのかわからないですが、作品内に彩られる“美しい描写”はただただ心を弾ませてきます。
「太宰の私生活のありのままを覗いてみたい…」という人にはぜひおすすめしたい作品です!
「主人公=著者」の設定は定義としてはありませんが、太宰の実生活の有り様が薄ら窺えてくる作品でもあります。

次ページからベスト10です!それではいってみましょう!


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