コクリコ坂から 簡単なあらすじ&感想とともに5つの名シーンを一挙公開!

コクリコ坂から

記事内に広告が含まれています

あなたはスタジオジブリ映画『コクリコ坂から』をもう観ましたか?

宮崎吾朗監督がメガホンを取った、『ゲド戦記』に続く貴重な1品です。

高橋千鶴の作画、佐山哲郎原作によって制作された半ばオマージュ作品染みた形で発表された本作は、ジブリアニメにしては『海がきこえる』に引き続く〝一風変わったシナリオ〟で成り立っています。

今回は本作『コクリコ坂から』に秘められた魅力と見せ場、そして独断と偏見を踏まえた感想までを一挙公開したいと思います。

どうぞごゆっくりおつき合い下さい。

スポンサードリンク

『コクリコ坂から』詳細

〈DVD〉『コクリコ坂から』

監督:宮崎吾朗
販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
発売日:2012年6月20日

〈本〉『コクリコ坂から』

著者:高橋千鶴
出版社:角川書店
発売日:2010年7月10日

概要

タイトルの「コクリコ」は、フランス語でヒナゲシを意味する。
本作の街並みなどの情景は、横浜をイメージして描かれている。

原作漫画は、『なかよし』(講談社)にて1980年1月号から同年8月号まで、全8話が連載された。

スタジオジブリでは、宮崎駿以外の監督経験者は基本的に原作のある作品を題材に映画化しているが、原作のある作品において主人公や重要人物の氏名に著しい変更が行なわれたのは当作のみである。

―製作に至るまでの経緯―

製作発表から何十年も前に、宮崎駿の山小屋に姪や甥が遊びにきていて、少女漫画雑誌が置いてあり、その中に載っていた漫画を気に入った駿が長年映画化を検討していた。そして前作『借りぐらしのアリエッティ』製作中に正式に映画化されることが決定した。

スタジオジブリ経営5ヵ年計画における若手の登用を目的とした『借りぐらしのアリエッティ』に次ぐ第2作であり、本作の監督は駿の長男・宮崎吾朗が起用された。

宮崎駿、高畑勲以外の人物が、スタジオジブリの映画として2作目の監督作品を製作するのは、本作が初めてとなった。『ゲド戦記』で吾朗が監督に起用されたことに反対していた駿は「1本作ったら、もう映画監督。どうしていくかは自分次第だ」と発言している。

―公開―

日本全国457スクリーンで公開され、2011年7月16-18日の初日3日間で興収約5億8700万円、動員約45万人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第3位、最終興収は2011年度興行収入邦画第1位の44.6億円を記録した。

―受賞―

●第35回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞
●第29回ゴールデングロス賞 日本映画部門 優秀銀賞

主な登場人物・声優

―小松崎家―

小松崎海(こまつざきうみ)/声優:長澤まさみ
港南学園高等部1年(初登場時)。
空・陸の姉。母に代わって、料理や裁縫などの家事をこなし小松崎家を切り盛りするしっかり者の少女。

小松崎空(こまつざきそら)/声優:白石晴香
海の妹・陸の姉。
港南学園生徒。

小松崎陸(こまつざきりく)/声優:小林翼
海・空の弟。
港南学園中等部1年(初登場時)。

小松崎花(こまつざきはな)/声優:竹下景子
海・空・陸の母方の祖母。
魚嫌いで、海が家計を切り詰めるためにいわしばかりを食卓に出すのに不満を持っている。

北見北斗(きたみほくと)/声優:石田ゆり子
小松崎家に下宿する獣医の卵。
海の思いに気づくことなく、帯広の牧場に就職し、海のもとを離れた。

―港南学園―

風間俊(かざましゅん)/声優:岡田准一
港南学園高等部2年(初登場時)。
新聞部部長。

水沼史郎(みずぬましろう)/声優:風間俊介
港南学園生徒会長。
港南学園一の秀才。
風間の親友。

引用元:wikipedia

映画『コクリコ坂から』原作からの主な変更点

・主要登場人物の設定や主題は原作を踏襲しているが、プロットや物語の提示方法など演出は大幅に改編され、独自の作品となっている。

・映画版のオリジナル要素として、高校の文化部部室棟「カルチェラタン」が登場。
俊と水沼は、取り壊しが予定されているカルチェラタンを守るために奔走している
海はカルチェラタンの良さを生徒達に伝えるための大掃除を提案し、それを通じて俊と接近するなど、映画版のストーリーはこの保存運動を軸として、大きく再構成されている。

・映画版の時代設定は1963年5月-6月となっている。学年をまたがないため、俊は最初から高3、海は高2、空は高1である。

・制服はブレザーからセーラー服に変更。

・主人公の姓を「小松崎」から「松崎」に変更。

・下宿人「北見北斗」の名前が「北斗美樹」に、性別が男から女に、職業も獣医師から医師に変更。

・主人公の母の名前「小松崎虹江」が「松崎良子」に、職業も「カメラマン」から「大学助教授(英米文学者)」に変更。

・賭け麻雀の設定はカット。

・出生に関する疑惑は、父親の写真として海が見せた写真が、俊の持っているものと同じだったことから発覚する。

・祖父の島太郎は死亡している設定となっているほか、登場人物がかなり整理されている。

スポンサードリンク

【簡単】2分でわかる『コクリコ坂から』のあらすじ

舞台は横浜にある、海の見えるコクリコ坂。

時代は1963年の初夏。

そこに松崎海という女子高生が住んでおり、「コクリコ荘」というアパートを切り盛りしていた。

そのアパートの庭ではいつも父親をしのんで旗を建てていた。

その旗の模様は赤・白・青と、なかなか見慣れない独特のもの。

海の父親は船乗りであり、朝鮮戦争で機雷に接触して亡くなっていた。

ある日、学級新聞に「旗を掲げる少女」という匿名の投稿が掲載され、海はそれを見て〝自分のことが書かれている!?〟と内心驚き、気づけば気持ちが弾んでいた。

また海が通う高校では「カルチェラタン」と呼ばれる男子文化部の棟があり、そこで建物の老朽化を巡り〝取り壊すか否か〟について論争が起きていた。

その反対派に風間俊という男子生徒がいた。

海はこの俊と出会い、淡い恋に落ちてしまう。

そしてその出会いをきっかけにし、海も俊と同様〝反対派〟に協力するようになっていった。

2人の熱意にほだされる形をもってやがて全校生徒も協力し始め、やがて「カルチェラタン大掃除合戦」を開始していく。

コクリコ荘には、北見北斗という獣医の卵が下宿していた。

この北斗の送迎パーティをしていたとき、「(亡くなった海の)父親と友人の2人で撮った写真」が出てきた。

その写真を俊に見せると、俊はとたんに態度を改め、それから海に対してよそよそしくなる。

海はその理由を俊に問いただした。

すると驚くべき事実が判明する。

どうも海と俊の父親は同一人物らしく、俊は海の兄だという。

〝兄妹で恋愛はできない〟という暗黙の了解の下、俊は海に「これ以上深くつき合うのはやめて、友だちのままでいよう」と告げる。

これを聞いて海はひどく落胆してしまった。

一方、「カルチェラタンの大掃除」が進むにつれ、それまで取り壊しに賛成していた生徒たちも「取り壊しはやめよう」と改心し始め、建物の保存を試みるようになっていく。

しかし学校側はすでに「取り壊し」を決めていた。

理由は「メンテナンス費用がかかるから」というもの。

この〝学校側の決定〟になおも反対する海と俊は「取り壊し反対の代表」として東京へ行き、学校の理事長本人に直談判する。

そして、

「取り壊しは、(掃除されてきれいになった)今のカルチェラタンを見てから決めてほしい」

という約束を取りつけた。

この東京紀行の帰りに海は、「学級新聞に匿名でポエムを投稿した生徒」が俊であることを知る。

それによっていっそう親しみを感じた海は、「たとえ兄妹でも、好きな気持ちは抑えられない」と、今の気持ちを素直に俊に打ち明けた。

これを受けて俊も「自分も海が好きだ」と正直に言う。

しているうちに、俊の正確な出生の情報から「俊が海の兄ではなかったこと」が改めて判明した。

情報の出どころは海の母親だった。

それから後日、理事長が約束通りにカルチェラタンを視察にくる。

理事長は生徒の努力に感心し、その熱意にほだされる形をもって、結局〝取り壊し〟をやめにした。

〈関連書籍を見る〉

『コクリコ坂から』7つの魅力

【その1】学生ならではの仄々さ

本作のメインストーリー・キャラクターともに学生ながらの風情に彩られており、そのせいで、皆さんにも経験があるでしょう〝学生時代の仄々さ・懐かしさ〟が浮き立ってきます。

その学生ならではの生活譚やエピソードを全面的に掲げてくるストーリー軸のようなものが、きっと観ている方にもよくよく伝わるでしょう。

社会人になるまでの学生に見られる自由奔放な快活のあり方が、おそらく本作の魅力の1つになっているような気がします。

【その2】海が見えるきれいな景色

ジブリアニメお馴染みの、透明感のある〝奥行きが膨大な景色〟が本作でも展開されます。

その景色が「海の見える坂道・街並み」によく映えて、実に爽快なシーンの連続を映してくれます。

そこで繰り広げられる学生の生活譚からさまざまな事情、またそれにまつわるエピソードのあり様がとてもイキイキしていて、何だか鑑賞しながら「自分も学生気分」に返ったような、〝不思議な錯覚〟を感じさせられます。

【その3】「カルチェラタン」に見られる時代錯誤

カルチェラタンというのはちょうどフランスで起きた「学生運動によるテロ」を匿った特定地区を指しますが、これをもじった形で本作でも〝学生と学校側との1大抗争〟を巻き起こす特殊な空間を指しています。

この「カルチェラタン」の響きが背景と上手くコラボしているような感じで、レトロ感を醸し出す〝貴重な構成要素〟になっています。

この設定から学生紛争の充実が生まれ、ストーリー自体もそれによる〝特殊なロマンス〟に囲まれています。

スポンサードリンク

【その4】純朴な交流のあり方

高校生だからか、各キャラクターの立ち位置やその性格から出る言動の全てが、ほとんど純朴を突きつける、生粋かつ聡明なものになっていて新鮮です。

またその新鮮味を奏でる形で、とても清らかなストーリーを見せつける〝上手い具合の引き金〟にもなっています。

とくに俊と海、またカルチェラタンを築きあげている〝反対派の学生〟の熱情からは、何とも懐かしい〝成長の感動〟を覚えることでしょう。

【その5】時代設定の巧妙

時代が1963年ということで、ちょうど朝鮮戦争に近いこと、またカップラーメン新登場の時期、さらに「ケネディ暗殺事件」という〝歴史を感じさせる世情〟が反映されており、視聴者としてついそちらの方にも興味を湧かせてしまう「巧妙なストーリー深さ」を感じさせられます。

いろいろなことが一気に起こった時代でもあり、〝カルチェラタン〟も学生運動が盛んな当時の日本の世情にピッタリな空気を揃えています。

こうした時代の骨組みの下、実に妙技を奏でる形で〝時代〟を反映させ、ストーリーの背景や土台設計をしっかり構築してしまう、絶妙の描写を取っているのかも知れません。

【その6】成長していく人物像

俊と海の登場シーンを観ていると、その2人を取り巻く環境を背に、人間の成長というものがとても素直に伝わります。

何かが起きて1つのキャラクターが成長し、以前とは違ったことを考え、またその考えを基にして行動するというような、一種の〝成長型のエピソード〟が斬新に見られて嬉しいものです。

このキャラクターの成長は現実に私たちにも起きていることで、言えば本作で奏でられるすストーリーには「とてもリアルな人間描写」がイキイキしており、その描写をもって最後までを告白していくというような「キャラ立ての土台」がしっかり備わっています。

この辺りが一瞥にも伝わる「見応えのある作品を作る強い要因」になっているのかも知れません。

【その7】地に足の着いた安定感

ストーリー軸を基本にして言いますと、本作は終始この「現実的な、地に足の着いた安定感」によって支えられています。

各キャラクターの言動が向かう先はもとより、作中で展開されていく時代の流れや経過によって移り変わるさまざまなハプニングであり、その構成が〝きちんとした線引き〟の上で成り立ちながら、1つずつの展開が上手くかみ合っていく「生活のリアル」を演出します。

この「つながり」のようなものはジブリ映画でことさら大きく取り上げられてきたものですが、本作のそれは非常に現実的な観点からそれをなしているようで、言えば「安定から作品を生み出している」と言って過言ではない〝ノスタルジー〟も演出します。

次はこの魅力をさらに掘り下げる形で、「名場面」の中から5場面を厳選し、お贈りしたいと思います。

スポンサードリンク

『コクリコ坂から』5つの名シーン・名場面

【その1】「自分のことが書かれたポエムの掲載!?」

学級新聞はいわば全校生徒の注目紙であり、そこに「自分のことが書かれたポエム」が掲載されるだけでもおそらく嬉しいハプニングに見舞われます。

このときの〝期待する海の表情〟が目を引きます。

おそらく誰にでも1度はある〝予期せぬことでウキウキしてしまう瞬間〟に映るでしょうか。

その後のストーリーを垣間見ていくごとに、このときの海の細かな心境がはっきりと見て取れるでしょう。

ぜひお見逃しなく!

【その2】カルチェラタンでの紛争・論争!

前半の学校でのシーンです。

先述の通り「カルチェラタン」は論争のアジトのようなものを指す言葉で、本作においてもその意味は通用します。

ここで各学生たちが〝自分の主張〟を曲げずに押し通そうと懸命であり、そのあり方が何とも「学生運動」が盛んだった〝あの頃〟を思い出させるようで、観ていて何だか仄々と、また熱くさせてくれます。

たかだか「建物を取り壊す・壊さない」をテーマにした紛争ですが、「1つのことに必死で向かって努力している姿」はいつ見ても気持ちのよいものですね。

そのあり様が本シーンに満開です。

【その3】何気ない日常の風景…

コクリコ荘から最寄りの繁華街で、海と俊は何気ない語らいをします。
ちょうど中ほどのシーンになります。

このときの〝昭和〟を思い出させるレトロの基調がとても鮮明に活きていて、2人の周りを行き交う人々の情景にも、当時を沸々と思い描かせる平然の活気が溢れています。

街にはコロッケ屋があり、肉屋があり、またその周辺で見られる日常の風景があり…、とくに夕方間近の人の風景が上手く現実模写を企てています。

本作に彩られる最大の魅力は、もしかするとこの〝現実模写〟なのかも知れません。

【その4】自分の父親が好きな人の父親と同一人物!?

後半のシーンで、自分たちの父親が同一人物だと判明した後、「それでもあなたが好き」と告白し合う俊と海の恋愛の場面です。

「父親が同一人物」というだけで〝エッ!?〟と思わす不思議な情景を醸しますが、それでも2人はそれぞれの思いに正直を持ち、やがては「結ばれ合おう」とした報われぬ努力に奔走します。

ここでも学生ならではの気勢の良さが若く発揮され、観ていて実に新鮮な気持ちにさせられます。

さらにそのとき2人を取り囲むレトロな街並みのあり方が実に秀逸!

この背景を観ながら2人を見守るだけでも、このシーンに一見の価値ありとなるでしょう。

スポンサードリンク

【その5】それでもやっぱり!

ほぼラストシーンになりますが、俊と海は「自分たちの父親が同一人物」ということで、あえて恋愛に踏み切ることをやめていましたが、それでもやっぱり最後は「血のつながりがない他人同士」ということで落ち着きます。

その安定をもって今度は、次の展開(人生における展開)へと突き進もうとし、そこでストーリーは終わります。

その後の2人の人生が果たして〝どんな形に彩られるのか?〟という期待をさまざまな角度から想像し、いっそうストーリーへの没頭力・熱中力は増していくことでしょう。

この安心をもって視聴者の方でも、「ほっ」とするハッピーエンドをもらえてしまいます。

〈関連書籍を見る〉

【感想】

私は本作をつい最近観たのですが、「さすがにジブリの歴史で異色の作品と謳われただけあるなぁ…」という、特別の感想を持ったほどでした。

宮崎吾朗監督によって作られた作品は『ゲド戦記』もそうでしたが、やはり宮崎駿監督の作品とは一風変違い、何か「さらに現代ベース」を取り入れたような、いわば〝柔軟な若さ〟があるような気がします(どちらにも見合った魅力はありますが)。

そのせいかストーリーに無理なく入っていける観やすさなんかもあって、〝ストーリーに没頭・熱中させてくれる懸け橋〟のようなものをすぐに用意されるという、感動にさらに近まる「身近な観方」ができるのが有難いです。

「観やすい点」では〝ベスト3に入る作品〟と言ってよいかも知れません(もちろん個人差はあります)。

どうぞまだ観ていない人は、1度手に取ってご覧下さい。

おそらく、それまでのジブリアニメからは想像もつかないような〝引き付けられる魅力〟を感じることでしょう。

〈↓さらなる関連書籍を見る↓〉
この著者の他の記事を見る

スポンサードリンク

【イチオシ】動画配信サービスおすすめランキング!

動画配信サービスなら映画や海外ドラマが見放題です。
当サイトイチオシの以下の動画配信サービスを是非チェックしてみてください!
海外ドラマや映画を見るなら「Hulu」がおすすめです!
第1位.Hulu アメリカ発の動画配信サービスとあって、海外ドラマ・映画が豊富で、画質も良いのがメリット。
さらに、国内ドラマの見逃し配信やHulu独自のオリジナルコンテンツなど全ての動画が見放題です!
第2位.U-NEXT 動画配信以外にも、電子書籍や有名雑誌などが見放題なのが特徴的です。
ただ、日本の動画配信サービスのため、Huluに比べて海外のドラマや映画が少なく、料金も他よりも高めです。
第3位.dTV 豊富なコンテンツがバランスがよく揃っていて、最も料金が安いのがメリットです。
また、dTVオリジナルコンテンツ「BeeTV」やライブやカラオケ動画なども魅力的!

シェア!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

スポンサードリンク